短編小説「23分間の奇跡」

何が切っ掛けだったのか分からない書籍がいくつも「そのうち買うリスト」に入っていて、それらが送料無料にするための“ついで買い”候補にもなっています。

今回の「23分間の奇跡」もなぜ「そのうち買うリスト」に入っていたのか思い出せませんが、中古で200円だったので“ついで買い”しました。


23分間の奇跡
ジェームズ・クラベル (著), 青島 幸男 (翻訳)

「みなさん、おはよう。わたしが、きょうからみんなの先生ですよ」と新しい先生がいった。時間はちょうど9時だった。その女教師は“最初の授業”で、いったい何を教え、そして子供たちは、23分間でどう変わったのか―?自由とは、国家とは、教育とは何か、読者ひとりひとりに問題を提起する。やさしい英語の原文を巻末に収録。

情景をイメージしながらゆっくり読み進めましたが、偶然にも23分で読み終えました。

「ある国のとある学校に新しい先生がやってきて、そこから何かドラマが始まる」というお話ではありません。最後まで読むと序盤に「新しい先生の代わりに今までの先生が教室を出ていった」真意が分かります。

この短編小説は1963年に書かれたもので、翻訳版は1981年に出版されたという古いものですが、今なお問いかける難しいテーマです。学校教育という枠に収まらず、社会全般に対しても同じ問題であることが分かります。

「ダメなものはダメ」で良いのか。純粋な子供たちにそのような教育をしては単なる洗脳にしかならない。「なぜ」を教えてこそ真の教育。しかし、純粋ゆえに真の教育も実は洗脳。「みんなが言ってる」「みんながやってる」に流される日本人こそ改めて考えるべきことがこの短編小説に書かれています。



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