読み進めると腹が立ってくる書籍「下流老人」

読んでいて途中で腹が立ってきた書籍などなかなか無いものです。なぜならば、そのような書籍など最初から読もうとは思わないため読んでいて腹が立つことなどありません。しかし、今回ばかりは地雷を踏んでしまいました。その書籍のタイトルは「下流老人」。


下流老人 一億総老後崩壊の衝撃

少し前に話題になった書籍です。まずは「年収400万円でも将来、生活保護レベルの暮らしに!?」ってどういうこと?って思わせます。ただ、読み終わってから気が付いたのですが出版が「朝日新書(朝日新聞出版)」です。購入時に、これに気が付かなかったのは迂闊でした。


第1章 下流老人とは何か
第2章 下流老人の現実
第3章 誰もがなり得る下流老人
第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
第5章 制度疲労と無策が生む下流老人
第6章 自分でできる自己防衛策
第7章 一億総老後崩壊を防ぐために

目次のタイトルだけ見れば、なかなか実のある内容なんだろうなと思わせます。しかし、第1章を読んでみると「なぜそうなのか」の核心をついていません。変な敵を作らないための防御なのか、それとも本当に分かっていないのか。医療が発達しすぎたため、自力で生きていけない人が長生きしていることが「下流老人」になってしまう大きな要因になっていると私は思います。さらに核家族化が進み過ぎたことも「下流老人」の要因でもあります。

第2章では「下流老人」になってしまう切っ掛けの事例が書かれています。三世代家族構成で、ピンピンポックリならば「下流老人」などにならないことが読み取れます。しかし、「同居をしましょう」とか「ピンピンポックリのための生活をしましょう」とは言わず、それはムリという前提で話が進みます。それ以降は著者の活動に批判が多いのか、それに対する反論と自分の考えの正当性をひたすら述べているだけ。

著者:藤田孝典
1982年生まれ。社会福祉士。
ルーテル学院大学大学院総合人間学研究科博士前期課程修了。
首都圏で生活困窮者支援を行うソーシャルワーカー。
NPO法人ほっとプラス代表理事。
聖学院大学客員准教授。

一般企業で働いたことがないため、思考に偏りがあるようです。現実に起きている事実を延々と述べているだけで、結局のところ何一つ解決策を述べていません。日本国民の大多数が「下流老人」になり、年金だけで生活することができないため権利である生活保護を受けろ、無料の医療機関を受診しろ、公営住宅に住めetc。言っていることがむちゃくちゃです。要するに財源のことは何も触れずに「国が面倒をみろ」って言っているのです。「どうせ将来の年金など当てにできないのだから国民年金など払う必要などない。適当に働いて自由気ままに生きて、最後は困っても国が面倒を見てくれるのでしょ」という人たちを増やすだけです。

この著者は国民年金がどういう人たちを対象にしているものなのかも理解していません。大勢の困っている人たちに接してきたため、そもそも論ができなくなっているのかもしれません。

今回は「朝日新書(朝日新聞出版)」の書籍を買ってはいけないという教訓になりました。



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