「肥満遺伝子検査」をやってみた

世の中には「食べても太らない」という人たちがいますが、たいていは「そもそもカロリー摂取量が少ない」または「ちょこちょことよく動き回る」のどちらかです。「殆ど動かずガッツリ食べても太らない人はきっと何かの病気なのでしょう」だとは思うのですが、極端な例を除けば同じような食事、同じような運動量でも痩せる人と太る人がいます。それが「体質的な個人差である」と片づけられてきたものです。

2018年1月18日放送のNHKまちかど情報室で「肥満遺伝子検査キット」が紹介されていましたが、今まで試したことに納得できない点が多々あり、その「確認」を兼ねて自分でも試してみることにしました。


ダイエットの近道は遺伝子で自分の体質を知る事から GeneLife DIET 肥満遺伝子検査キット(Web版)
※検査結果レポートの違いでWeb版と紙版&Web版があります

この手のものは万人にお勧めできるものではありません。

本来なら「定番のダイエットをやっても上手くいかない」理由を教えてくれそうな検査キットですが、この検査キットで教えてくれる内容で解決するのなら、検査しなくても自己解決できていそうです。

「遺伝子検査って今風で面白そう」「いろいろと検査するのが好き」「個人差が何なのか知りたい」という人向けの“ネタ”的なものであって、世の中に溢れる情報を鵜呑みにする人には不必要です。

開封、DNA採取、送付、返信までの一連の流れはいろんな人が詳しくレポートしているので「GeneLife 肥満遺伝子検査」で検索してください。

しかし、私が「知りたいこと」は見つかりません。

まずは予習を兼ねて下記のサイトで勉強すると、「体質的な個人差」のことが分かります。

肥満に関する遺伝子のはたらき
https://www.futaba-cl.com/column/c-016.html

基礎代謝が-300~+170Kcal/日も違えば、もう“誤差”とはいえません。「しっかりやっているのに、なんか計算が合わない」と感じている人は「-300Kcal」のグループの人たちかもしれません。


約3週間で検査結果が届きました。

炭水化物を控えても全く効果が無く、それどころか「米を減らした分をおかずでカバー」なんてやれば体重の増加が止まりません。何かを減らして何かを増やす方法では上手くいきません。体調面を考慮すると、「バランスよく食べるが食べ過ぎない、運動を欠かさずに毎日600Kcal分やる」でしか体重は減りません。計算が合わない点は「運動量が少なければ食事も減らす」をやっても体重が増えてしまうことです。逆に「運動しすぎ」ではなく「毎日ある一定量の運動を続ける」と体重は減り続けます。

そのような状況ですから検査結果の予想はある程度ついていましたが…

なんと!


これってどういうことでしょうか。デブだった頃でも内臓脂肪は殆どなく、完全なる皮下脂肪デブでした。今でも体重が増える時は全身に脂肪が付きます。「内臓脂肪を減らすの簡単、皮下脂肪を減らすの大変」ゆえにいろいろと自らの身体を使って検証してきたわけで、最後の“ネタ”で「糖質の過剰摂取により内臓脂肪型肥満になりやすいタイプ」なんて言われたら“ちゃぶ台返し”ですよ。納得いきません。

私の場合
β3AR遺伝子が変異型ヘテロタイプ
UCP1遺伝子が変異型ヘテロタイプ
β2AR遺伝子が変異型ホモタイプ
という複合型となっていますが、3種類の遺伝子とも変異型というのは珍しいのでしょうか。


「3種類の遺伝子×それぞれの遺伝子の3パターンの変異型(ワイルド、ヘテロ、ホモ)×性別」で全54パターン、それを4つの遺伝子型ダイエットタイプ(りんご、洋なし、バナナ、アダム・イブ)に分類しているわけですが、男性の場合はβ3AR遺伝子が変異していれば「りんご型」、女性の場合はUCP1遺伝子が変異していれば「洋なし型」であると決め打ちされ、「りんご型」なら「糖質制限」、「洋なし型」なら「脂質制限」が落としどころになっています。ここが納得いかない点です。複合型は無視ですか?

3つの遺伝子のことをもう少し知る必要があります。

肥満と健康(倹約遺伝子の話)
http://www.tougewo-koete.jp/taisibou/kenyaku1.html

β3AR遺伝子とUCP1遺伝子は「倹約遺伝子」に該当します。これらが変異している場合は「倹約」ですから低燃費ということであまりエネルギーを使ってくれません。β2AR遺伝子は「浪費遺伝子」に該当するため変異していれば高燃費となります。

結局のところβ3AR遺伝子、UCP1遺伝子、β2AR遺伝子とも変異している場合はどうなんだ。だんだん分からなくなってきました。

そもそも論に戻すと「遺伝子型ダイエットタイプとは、同じ組み合わせを持つ人の性別、身体的特徴、食事の傾向などを統計的に解析し、分類したものです」となっているため、「この組み合わせだとこうなっている人が多い」というだけであって、食生活、運動習慣で大きく変わってしまうため正解ではないようです。

理屈的には完全なる「りんご型」なら「糖質制限」、完全なる「洋なし型」なら「脂質制限」が効果的ですので、「糖質制限やっても痩せない!」という人は「洋なし型」の可能性はありますが、複合型の可能性も高いため、「偏った食事などせずに運動もしっかりやりましょう」となります。

さて『「肥満遺伝子検査」をやってみた』の落としどころは何でしょうか。

β3AR遺伝子が変異型の場合は糖質を控えろ
UCP1遺伝子が変異型の場合は脂質を控えろ
この二つは分かりやすいけど残りの一つが分かりにくいです。

β2AR遺伝子が変異型の場合はタンパク質“も”代謝されてしまうので筋肉がつきにくい。結果的に太り始めると身体全体に脂肪が付く。

まとめると、糖質減らして、脂質減らして、タンパク質増やして、筋トレ含めて運動は必須ということでしょうか。そこそこの負荷を掛けて運動すれば体重が減り、運動量が減れば体重が増える実情に合致するような。

私の場合、消費カロリーだけで見れば自転車とウォーキング(早歩き)は同等ですが、筋肉への負荷は自転車の方が高いため、今まで通り減量目的なら自転車が良いのかもしれません。



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