たくさん走れば痩せるというわけではないけどね

最近いろんな人から「痩せたね~」と言われます。自転車の話をすると「どれだけ走っているの?」と聞かれるため、直近の走行距離を答えると「それだけ走れば痩せるハズだね」と言われますが、実はそんな簡単なことではないのです。自転車ダイエットというものは「何も考えずにたくさん走れば痩せる」という簡単なものではなく自分に適した「PDCAサイクル」をキッチリ回すことが重要です。適当にたくさん走ればやせるなら全員が自転車ダイエットに成功するでしょうが、実際のところ途中で挫折するか、適当なところで満足してやめてしまう人が多いのでは?

何事も上手くできるようになる条件は、本質を理解して「PDCAサイクル」を回せるかどうかだけです。成功事例を真似する事は成功への近道ですが、多少の成果を得る事はできても、表面的な事柄だけを真似しても成功しません。ジテツーにせよ、週末サイクリングにせよ、走っている割に脂肪が落ちていかない人は「とにかく走ればいい」と考えているハズです。

自転車ダイエットには大きく分けて3段階あります。

第一段階 基礎体力アップ
まずは走ることに慣れること
余分には食べない
40km程度走っても疲れなくなったら第一段階は終了です

第二段階 LSDで脂肪減
LSD走行を身に付け、“効率”を考える
余分には食べない。
BMIが24を切るようになったら第二段階は終了です

第三段階 筋トレ併用
LSD走行で脂肪を落としながら、負荷が掛かる区間も走って筋力アップ
十分に食べてもいいが、必要以上には食べず、食べるものにも気をつける
アスリート体型になったら第三段階は終了です(ダイエットとしては完了です)

第一段階の走行距離を「40km」とした場合…
ぶらぶらと寄り道をしながら平均15km/h程度で走った → ダイエットにならない
実走時間は2時間で走りきったけど、途中で糖分補給も食事もした → ダイエットにならない

「たくさん走ったから食べても良い」となるのは「第三段階」になってからです。

必要なもの
第一段階 ヴァームウォーター
第二段階 ヴァームゼリー、ヴァームウォーター、アミノゼリー、ビタミン剤
第三段階 ヴァームゼリー、ヴァームウォーター、アミノゼリー、プロテイン、ビタミン剤

長距離になる場合は走行距離に合わせてカロリー摂取が必要ですが、最初の40kmはカウントしません。それ以降に走る距離から消費カロリーを計算して、その半分以内のカロリーを摂取します。よって「これから走る分を計算して補給する」が前提ですから、走行後の補給は必要ありません。

勘違いしやすくて、一番の過ちは「頑張って走ったご褒美」です。「ダイエット」として走るのなら、走行後の“ご褒美”と称する「アイスクリーム」や「ケーキ」などは不必要です。それが余分なのです。“ご褒美”が許されるのは「最初に立てた目標をクリア、あとは長期的な取り組み」という段階になってからです。早くても「第三段階」に入ってからです。

「走り方」も重要な要素ですので、試行錯誤して自分に合う方法を見つけ出すしかないのですが、結局のところ「あれこれ考えて試すことが好き」という性格であることが大切かもしれません。そして、上手くいかなければ自分の過ちを認めることも大切です。上手くいくのにも理由があり、上手くいかないのにも理由があります。「PDCA」の「C」と「A」を蔑ろ(ないがしろ)にしては成功へのサイクルは回りません。

追記.

運動ダイエットは単純な算数であることも忘れてはダメです。
日曜日に頑張って一日で160km走ったとする。
仮にカロリーを4000kcal消費したとする。
走行中に「補給」という名目で飲み食いして余分に2000kcal摂取。(平日の昼間と比較しての摂取量)
翌日から「運動したから腹が減る」とか「少しくらい間食してもいいや」で平均して500kcal余分に毎日摂取。
余分な摂取量は2000+500×6=5000kcal。(本人は、この時点で消費量より摂取量の方が多いことに気が付かない)
日曜日にたくさん走ったのに体重が減らないため、平日に1日だけ40km(1000kcal)程度走ってみる。
それでようやくチャラなのに本人は「今週は200kmも走ったのに痩せない」と驚く。

驚く前に算数してみようよ。

追記2.

アスリート体系になったら、BMI22前後を維持した状態で体脂肪率10%を目指す「第四段階」に突入です。『心拍計トレーニング開始』に続く。

追記3.

BMIが24以上あるのに「体重が減らなくなった。でも食事内容は全く変えていない!」という考えは間違っています。トップページの「効率良く自転車ダイエットをやるには」をご覧ください。

追記4.

第二段階を進めていくといくつかの「壁」が出てきます。食事内容を気を付け、毎週欠かさずに走っている割には脂肪が落ちていくペースが悪くなります。上記の「追記3」の補足になりますが、「食事内容」そのものが原因です。「筋力アップよりは、まずは体重減」という方針ならば食事内容を根本的に見直す必要があります。そのことで再び脂肪が落ちていくようになりますが、ある段階にくると妙にトルク不足を感じるようになります。その「壁」が来た時点で第二段階は終了です。その時のBMIがいくつになっているのか分かりません。痩せる事が目的で体型が標準に収まっているのならば、普通の人はそこで自転車ダイエットは終了です。アスリート体型を目指す場合は第三段階への取り組みとなります。

追記5. 極寒のジテツウの「ハイケイデンストレーニング」での検証結果より

「絶対やり遂げる!」という強い決意と精神力と実行するための時間とお金を持っているのならば…

冬場に「LSD領域でのSTHC(スモールトルクハイケイデンス)走行」をお勧めします。これについては段階はありません。やればやるほど脂肪が落ちていきます。ただし、中途半端にやると効果はありません。

既にある程度走れることが前提条件となります。(例:40km程度なら走っても疲れない)

心拍計は必須です。さらに回転数を感覚で分かるようになるまではケイデンスメーターが必要です。そして週に最低4日は走り、週間の走行距離を150km以上とします。

自分のLSD領域の心拍数を計算しておきます。走行時は心拍数と回転数を常にチェックします。速度は全く関係ありません。使用する自転車は何でも良いです。

LSD領域:
 『(210 – 年齢/2 – 安静時心拍数) x 0.65 + 安静時心拍数』
  ~ 『(210 – 年齢/2 – 安静時心拍数) x 0.75 + 安静時心拍数』

「軽いギアでくるくる回す」という気楽なLSD走行ではなく「とにかく回せるだけ回す」という走り方をします。ただし「LSD領域の範囲内で回せるだけ回す」ですので、決して速く走るためではありません。ギアを変えずに回転数を上げていくと心拍数があっという間に高まってしまいますが、それは負荷を高め過ぎているからです。LSD領域を突破してしまったらギアを一段軽くします。そしてさらに回転数を上げます。再びLSD領域を突破してしまうのならギアをさらに軽くします。慣れてくるとLSD領域でも100rpm以上回して走ることができるようになります。

走り終わって全身に疲れを感じたらそれが正解です。もし膝周りとか太ももに疲れを感じている場合は、筋力を使った走りになっています。筋肉痛になるようでは全くダメです。

筋力を使わずに心肺を使って走れば脂肪は燃えていきます。このSTHC走行は冬場にやるのが効果的です。冬場でも汗だくになりますので水分補給をしっかりしましょう。

走行中のカロリー摂取については消費したカロリーの20%だけで十分です。LSD領域で走れば残りの80%は余分な脂肪を燃やしてエネルギーにしてくれています。

なお、カロリー制限の必要性はありませんが、ダイエット目的ならば生活活動代謝量を超えないように食事内容を気を付ける必要があります。(自転車走行分を生活活動代謝量に加えてはダメです)

極論を言えば、氷点下でも汗だくになるような走り方をする必要があるということです。実際に冬場にやってみれば分かりますが、LSD領域で筋力に頼った走り方をすると汗などかきません。



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