正しいやり方が必ずしも良いやり方とは言えない

年度末になるとやたらと工事が増えるとか、自衛隊がバンバン実弾演習をするとか、会社内でも与えられた予算を使い切るために慌てて買い物をするとか、いろいろあります。

客観的に見ればこの方法は非常にムダがあるように思えます。

「予算を使う」のではなく「必要な時に必要なものだけに使う」ようにする。

これが「理想」でしょう。

しかし、理想を唱えている人は現実を知らない人たちです。

国、県、市、町
大企業、中小企業、零細企業
左ほど融通が利かないことは明白ですが、「現実」は同じです。

一番わかり易い例をあげましょう。

個人の家庭

「妻が買い物する度に、例えば大根1本を買うのに、いちいち夫に確認するのか。」

ということです。

あらかじめ決められた「生活費」の中でやりくりするのが一番上手くいく方法です。

決裁権がどこにあるのか。

予算内のやりくりに関する決済権は家庭ならば妻にあるでしょうし、企業ならば部門長にあるでしょう。

しかし、最初に低めの予算組みをしておいて、後から追加しようとした場合は必ずもっと上の「決裁権」を持つ人の了承が必要です。

その追加申請額は家庭なら1000円規模かもしれません。中小企業で10万円規模、市で数千万、県で億単位、国で数百億、、、

そして、追加申請には非常に手間と時間が掛かります。

家庭ならば追加申請が面倒だからということで妻の預金を崩して生活費に回すこともあるでしょうが、企業も行政もそんなことはできません。

与えられた予算内でやりくりするというのは一見ムダのように思えますが、実は一番効率が良い方法なのです。

ここで最初の話「年度末」に戻すと、「なぜ経費を使い切るのか」がポイントですが、「余らせると翌年分が減らされる」からです。つまり節約節約節約でやりくりした結果、「少なくてもやっていける」と上の決裁権を持つものに判断されてしまうのです。

もし予算が余った場合、家庭ならば「へそくり」でしょうが、企業も行政も「へそくり」はできません。へたすりゃ「横領」で捕まります。そこで節約節約節約でやりくりして、結果的に余りそうならば年度末にパッーと使うわけです。

何を今更そんなことを‥

「Webサイト」でおもいっきり嵌った。「正しいやり方」をやったら全然上手くいかん。最初からガバッと予算をキープして、その中でやりくりするという従来のやり方なら、すんなりいっただろう。

しかし従来のやり方では、最終的には良いものはできあがらない。実際の話として失敗例が非常に多い。

「結果はどうであれ、やることに意義がある」という考えならば、従来のやり方が「良いやり方」である。

結局のところ「決裁権」そのものも移管されるような仕組みになっていなければ、「正しいやり方」が「良いやり方」になることはない。


1つ星 0
読み込み中...

関連エントリー