写真も自転車も“娯楽”としてやっていないから

2002年9月に「OLYMPUS E-20」を購入した時のテーマは「E-20で腕を磨く」でした。その後、撮影機材そのものは変わっていますが一貫して「腕を磨く」を通しています。

写真撮影も“10人10色”ですので、他の人たちがどのような考えで“写真”という趣味をやっているのか分かりませんが、時々「何か違うな」という妙な違和感を覚えることがあります。それが何なのか随分長いこと分かりませんでしたが、最近あることが切っ掛けでようやく自分の中のモヤモヤが晴れました。

それは「私にとって“写真撮影”は娯楽ではない」です。

正直言って、今まで写真を撮っていて「楽しい」と感じたことは殆どありません。なぜならば被写体に対峙して、「どうやったら良いのか」をあれこれ考えながら撮り、「より良く撮るためにはどうしたらいいのか」を撮っている最中だけではなく、撮る前、撮った後も考えています。結果的に、自分が納得できるような写真を撮れたときの「満足感」を楽しみとしています。

あくまでも私の考え方という前提で言えば、「腕を磨く」ことを目的としている撮影に関しては決して「楽しい」というものではありません。何も写真撮影のことだけではなく、スポーツに関してもそれは同じだと思います。能力を上げるための練習というものは辛く厳しいものです。それを乗り越えてこそ「楽しい試合」も可能になるのだと思います。

「娯楽ならば単純に楽しければそれでいい。ただそれだけのこと。」ということを最近理解しました。ゆえに私がやっていることは娯楽ではない。

ただ言える事は娯楽でやっていては「腕を磨く」にはならない。なぜならば今もっているスキルの範疇で楽しんでいるだけだから。

過去を振り返ると、単純に「撮っていて楽しい」と感じた撮影は、動物園で動物を撮った時だと思う。これは“動物写真”というジャンルではなく、あくまでも遊びとしての撮影ゆえに、見ていて面白いと感じた動物たちを、ただ撮るだけという行為は「撮っていて楽しい」と思う。そこには「腕を磨く」という要素は皆無だから。仮に動物園とはいえ“動物写真”を撮ろうと取り組むとしたら、まずは気持ちの入り方が違う。とうぜん撮影機材も違う。何度も通って動物たちを理解する必要がある。ベースとなる知識習得のため動物写真家の本を買って勉強する必要がある。ゆえに単純には楽しめなくなるが、撮れた写真に満足できるようになれば、それが楽しみになってくる。それは全ての撮影ジャンルに共通していえること。

最近始めた自転車も同様で、走っている最中は「楽しい」とは思わない。のんびり走るという考えを持っていないため、自分ではそのつもりはなくても何故かムリをする。走るコースを決めて、それをやり遂げたときの達成感に喜びを感じ、それが楽しさになる。だから「次はどこを走ろうかな」と次の計画作りに取り掛かり、それがまた楽しい。

簡潔にまとめると「頑張っている自分が好き」ということになりますか…(頑張っていないと堕落することを分かっているから)

追記.
この日記を読んだ後輩に「○○さんって写真が好きじゃなかったんですか?」なんて言われた。うーん、よく読めば何が言いたいのか分かると思うけど、分からないのかなぁ。なんか最近、こういうパターンが多いような気がする。ストレートに言い切った方が良いのだろうか。

実話を参考に例えると…

あれは私が中学生の頃、1年から2年に上がる時にテニス部のコーチの主観でレベル分けされました。

2軍と3軍。

1軍は3年生のレギュラーで、新入部員の1年生は蚊帳の外。

私は何故か2軍に選ばれていました。

で、2軍の中である期間を過ぎると2軍(上)、2軍(中)、2軍(下)に分けられます。日頃の練習態度と練習試合の結果で上下するわけです。最終的に2軍(上)に残ったメンバーが3年生になった時に1軍となり、そのままレギュラーとして大会出場選手となります。

当然の如く2軍の中では静かな競い合いがあるわけで、特に2軍(中)に位置する人たちは必死に練習して2軍(上)を目指すわけです。下克上が有り得る練習試合の場合は、どうやったら勝つことができるのか、それはもう真剣そのもの。日々努力の成果が翌年のレギュラーの座ですからね。それはもう日増しに上手くなっていくのを身近で感じたものです。

3軍は1年間何をやっているのかといえば、完全に“放置”です。とりあえず義務として部活に来ますが、好き勝手やっています。いちおう練習ですが、毎日が遊びの練習試合ばかりやっています。指導も受けずに素人が適当にやっているだけですから上達することは100%ありえません。

私はもともとレギュラーなんて興味が無く、義務として部活をやっていただけで、興味対象は勉強でもなく、趣味に没頭していたため、部活も適当、勉強も適当な生活を送っていました。ある時期、サイクリングのために部活を数日間サボッたことが原因で3年生から鉄槌をくらい、そのまま3軍へ降格。その時はせいせいしましたけどね。

ところがところが、3軍で同級生と遊びのテニスをする毎日が楽しくて仕方がなかったものです。真剣にやる部活ではなく、娯楽レベルのテニス遊び、お互いにそこそこできる程度の遊びの練習試合を毎日やったものです。隣の必死な2軍集団とは雰囲気が全く違う“のほほん”としたものです。そんなんですから毎日やっても決して上手くなることはありませんでしたが、楽しければいいじゃんと過ごしたものです。

半年後には2軍と3軍では圧倒的な力の差がついたのは当然の結果です。

で、これにはオチがあって、“のほほん”と過ごした3軍全員が3年になった時点でクビになりました。部活をクビになるなんてありえるのかと驚きしかありません。そこからもう大変でした。高校進学のためには必ずどこかの部活に在籍しておく必要があったからです。同級生が部長をやっている某文化部の顧問になきついて入部させてもらいました。これがまた、私に合った雰囲気の部で、それから充実した部活動になりました。

最後は予断になりましたが、超簡潔にまとめると「上を目指すのなら『楽しければいいじゃん』ではダメだ」ということです。


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