2007年9月19日

カメラ業界の常識は非常識

調整に出した「E-510」がいったいどうなっているのかオリンバスに確認するようにキタムラに依頼したが、今日になっても連絡がなかった。「もうええ加減にして!」とキレモードで電話すると…

「もっと詳しい調査をするために別の所へ送り、そちらで調査中。早くても来週末になるだろう」のような回答がオリンパスから“今日”あったそうだ。

おーいちょっと待て!

「E -510に問題なしと判断してレンズの調整をすることになっていたんでしょ」とツッコミを入れると「E-510をこのまま返却しても何も進展しないため、またご迷惑を掛けることになる。現在、別の部署で詳しい調査をしているため、いつ返却できるのか分からないらしいです。」って…

「私のE-510に問題が無いと言っているのなら、私のE-510で実験する必要なんかないでしょ。他のE-510を調べても同じでしょ。早く返してください。来週末なんていったら調整に出してから1ヶ月以上も掛かるということですよね。」とユーザとして当たり前のことを言えば「通常、カメラの修理には1ヶ月は掛かります。」とそれが常識のように言われてしまった。

いやはや、オリンパスの技術者の“頑固な生真面目さ”は認めます。それは社風でもあるのでしょう。例の“最新手振れ補正”を見れば分かります。しかし、それはあくまでも企業側から見た“頑固な生真面目さ”であって、必ずしもユーザ側のメリットと言えるのか。

「E -510に問題なし」と判断された時点で「E-510」が返却され、「継続調査する」の一言があればそれでいいだけだ。何か分かったら改めて「E- 510」の調整をしてくれたらそれでいい。預かった「E-510」を「詳しい調査をしたいから」という理由で、ユーザに返却しないというのは単なるオリンパスの都合だ。

「例のレポートを提出したことで詳しい調査をすることになった」と言われても、こちらにとっては“火に油を注ぐ”ようなもので嫌がらせをされているのかと思える。参考資料を提出したんだから、あとはそちらの機材で実験すればいいでしょ。

過渡期にある製品というものは必要な時に購入して、そこからどれだけどのように使えるのかが“製品としての価値”で、「使うのか分からないけどとりあえず買っておく」というものではない。よって購入してすぐに使えない期間があればそれは“損失”である。

今回の件で「カメラ業界」というものは古い体質にあると感じた。「過渡期の製品」というものがどのような位置づけにあるのか理解されていない。もうひとつ「カメラというものは特別なイベントがあるときに使う」という大昔のカメラの使い方のまま扱われているのではないのかと思えた。“特別なイベント”というものは年に何回もあるわけではなく、“1ヶ月間”くらい修理期間を要しても文句は言われないという風潮があったのであろう。

「カメラは日常的に使われるもの」という意識がオリンパスとカメラ店にあれば、今回のような対応にはならなかったハズである。

例えば「車」で、「ある条件で不具合がでるが、致命的な欠陥ではないため、可能ならば直して欲しい」と修理を依頼したとする。

調べてもらっても原因が分からず、日常の使用で影響が出ない程度に修理してユーザに返却する。メーカー側で継続調査して、考えられる原因をリストアップして、同一車種で検証する。ある程度絞り込んだ時点で改めてユーザに連絡して再修理。

このようにユーザの手元から離れる期間を最小限にする努力をするものだ。これをオリンパスに置き換えると、「徹底的に調べ上げるので車をいつ返却できるのか分かりません。完全に直りましたら返却しますので待ってください。」のようなものである。その間「車」を使えないユーザはどうすればいいのだ。

「車」の修理に関しては、ユーザに迷惑が掛からないような体制がとられていて、修理に2日以上掛かるのならば催促しなくても「代車」を用意するのが当たり前。

約25年前のことであるが「ビデオデッキ」は過渡期にある製品であった。現在のデジカメのようにビデオデッキにもハマリまくり、最終的には“300万円”ほど投資した。

過渡期にある製品は楽しいものであるが、新しいゆえにいろいろとトラブルも起きるものである。故障することも結構有ったが、修理のためにビデオデッキを1ヶ月間もメーカーに預けるなんていうことはありえない話である。当時、高価なビデオデッキを買っている人というものは「録画コレクター」である。つまり、1 日でも使えないことがあると大変なことである。毎日録画する人もいれば週に何本かの番組を録画するだけの人もいるであろうが、一週間以上修理に時間を要するということはない。特にSONYの対応は素晴らしかった。故障しても急いでいることを伝えると自宅に来てくれて修理してくれた。急がない場合でもサービスステーションに持ち込めば2日間もあれば修理してくれた。ビクターも1週間以内であった。

つまり、当時の「ビデオデッキ」というものがどのような位置づけにあるのか、メーカーのサービス部門が理解しているため、素早い対応が当たり前になっていたのである。

「カメラ業界の常識は他の業界の非常識である」ことにそろそろ気が付いてほしいものだ。