○○、おまえもか

私が現実逃避のため「趣味」に精力を注いでいる間、私の周りの環境が少しずつ変わっていった。もちろん良くなるわけではなく、ますます悪くなっていったのである。

「リストラはしない」などと公言しているわりには、影のリストラが着々と進められ、すでに何人かは辞めた。そして「現場へ異動させれば辞めるだろう」とエライ人たちに思われている連中が次々と現場へ異動させられ、その連中は昼の休憩時間になると必死に転職先を探している模様。

そして……

来月付けで「若きエース」が退職することになった。まだ「相談」レベルかと思っていたら「決定」だそうだ。二十数歳で独身なら決断するのも早い。私がもしその年齢なら、私もさっさと辞めているだろう。

ところがだ。彼の上司は、彼がなぜ辞めることを決断したのか未だに理解できないようだ。ほんと「人」というものを分かっていない哀れな管理者。この「哀れな管理者」が会社にゴロゴロそこら中にいるわけだから困ったものです。

沈没寸前の船から「若きエース」が脱出したことで、海に放り出されそうだった「古株の苦労人」が残留することになった。早い話「船から一人放り出せ」という指示を受けた管理者が手を打とうとしていた矢先、自分で脱出ボートを調達した「若きエース」が「それではサイナラ」と逃げてしまったようなもの。しかし「古株の苦労人」がこのまま船に乗っていられるのかといえばそうじゃなく、半年の猶予期間を与えられただけだそうだ。

執行猶予期間を与えられた同僚は執行日までに転職先を探さなければならず、必死になって人材バンクと連絡を取り合っている。

「この先短い年寄り」と「戦力不足の若者」を追い出したいのが会社の本音。しかし現実には「エース級」が逃げ出す始末。

「延期になっただけで半年後に放り出されるんだって」と古株の苦労人が同僚たちに話していると、その中の一人が「それまでに、また一人いなくなれば再び延期だね」とポソッ。まさか……

「○○、おまえもか!」(「ブルータス、おまえもか」by シーザー)


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