最初の上司は仕事の指示はいっさいしない人で「仕事は自分で探して考えて行動して結果を出すものだ」という方針だったので、私としては仕事がしやすい環境でした。当時は「自己啓発云々」という話などなくても自然に独学で仕事の幅を広げていったものです。結果的にいろんなことをやらせてもらえました。「俺が分からんことをやってくれた」で評価してくれたとても良い上司でした。
世代交代ということなのか、ナンバー2だったA氏が部門長になった時は暗黒の時代でした。「あれこれいろんなことをやって会社に提案する」でやっていると「そんなことをやるな」と妨害される始末。その人は生粋の技術屋ですが本人の自覚がないため部内があっという間にぐちゃぐちゃになって、短期間で元の部門長が戻ってきました。
そして数年後、会社の中であれこれと人事に関する裏工作があったのか、部長クラスの鞍替えが頻繁に起きた時期に他部門の部長が兼任することになりましたが、IT関連には疎い人だったため、何やってもプラマイゼロの評価でした。プラス評価されなくてもとりあえずは好きなようにさせてもらえていたので、今思えば「まだ良かった」となります。
さらに数年後、いろんな部署で管理職の世代交代があって、うちの部署は「管理職などやりません」とか「もうこの部署は嫌です」とか「会社を辞めます」とかで、管理職候補の生え抜きがいなくなって、自動的に昇格したB氏が管理職になりました。
管理職という仕事を模索していた当初は「害が無いだけマシ」だった存在のB氏もまわりから「〇〇課長」と毎日何度も呼ばれることで「俺は課長なんだ」という態度を取るようになり、非常に鬱陶しい存在になってきました。B氏が管理職になる前までは会社の業績が悪かったため賞与は常に減額されていました。「業績が悪いから仕方ないか」なら特に問題にすることはありません。しかし、業績が回復しても賞与は減額されます。その理由は「やっていることが分からないので評価しない」というB氏の判断によるマイナス査定でした。妨害してきたA氏でもマイナス査定だけはしませんでしたが、「われ関せず」のB氏になった途端、常にマイナス査定です。
ここ半年ほどB氏とぶつかることが多いため、いろいろと投げかけてみた反応からして「めんどくさい部下」扱いされているようです。
いろいろと思いめぐらせてみると今まで私がやってきたことと真逆なことがB氏にとっての正解であり、この会社の中で上手くやっていく方法なのかもしれません。
・意見を言わない
・要望を出さない
・正論で通さない
・「やってみせる」は通じない
・他人の成長を期待しない
・提案の押し売りはしない
・単なる我儘でも聞く
・担当外のことに口を挟まない
意見を言っても理解されず「面倒なことを言うやつ」扱いされ、要望を出せば関係ない理由を出されてもみ消され、議論に持ち込めば「それは正論だね」で話の腰を折られる。他人にやってもらうまえにまずは自分がやってみなければと思いますが、自分ができていないことを部下に要求する管理者たち。その人が少しでも成長するように「あーだ、こーだ」と助言すると鬱陶がられ、それに気が付いて突き放せば「冷たい」と非難される。昔は会社や他部門に提案することがその仕事の1歩目であり、その責任部署の担当者といっしょに進めたものですが、今は「何言ってんだこいつ」扱い。他部門からの単なる我儘な要求はベストであるわけではないため、落としどころを探すわけですが、それが気に入らない人が増えたようで「対応が悪い」となる。昔と違ってメールというものがあるので会社内でいろんな情報が飛び交うため、気になったことにはついつい一言入れたくなりますが、たいていは無視される。
今でも建前上は、「私がやってきたこと」を会社としては良しとしていますが、現実問題として正反対のことに徹している社員ばかりです。そのような社員が世代交代で各部署の管理職をやっているわけで、私のような昔のやり方の社員は異端児扱いされるのは当然なのかもしれません。私といっしょにあれこれやってきた昔の管理職の人たちも今となっては異端児だったわけで、今は役職を外されている人が大多数です。
30年前から20年前に頑張っていた人が「もうどうでもいい」という考えを持つようになったのは急速に進めた世代交代にあると思いますが、会社はそれに気が付いていないのは明白です。