IT業界は新しい言葉を作り出すのが好きで、それをトレンドとしてユーザ企業相手に商売するのが近年のパターンである。
「SOA」とは「サービス指向アーキテクチャ」のことであるが、このセミナーに参加するまでは「CRM」のところでも話題になった“サービス”のことであると思っていたが、実は各システムがもっている機能のことであった。少し前に流行った「オブジェクト指向」をもう少しユーザが分かりやすくしたレベル、つまりは各システムがもっているサービスをもっと動的に使えるようにしようというのが「サービス指向アーキテクチャ」である。
IT化が叫ばれていたとき「自社に合ったパッケージを探して導入しましょう。低コスト、短納期、高付加価値のものが導入できます。」が一般論であった。コストをあえて無視した場合は「ベンダーそれぞれ得意分野があります。自社が欲しいものを作ってくれる最適なベンダーを選定してください。」も一般論であった。当時はそれで良かったかもしれないが、数年間かけて導入したシステムを全社レベルで統合して使おうとすると「歴史は繰り返す」が如くさっぱり上手くいかない。早い話、目先のメリットのみでシステムを導入してしまっているからである。
そのようなことがユーザ側から問題定義されるとITベンダーとしては“新しい商売のネタ”になるわけで、これからはパッケージに関して“標準仕様”を作り、その標準仕様に基づいて作られたもの同士ならばお互いに自由にやりとりができ、一括管理する仕組みも作ることができるというわけである。
IT業界が作り出している“流行(トレンド)”に踊らされること無く、自社の足元をしっかり見て、一歩引き客観的に自社にとって何が必要なのかを冷静に判断することが現時点での最善な選択肢であると思えた。
「○○○○○は遅れている」と一部言われているが、トレンドに乗り遅れ躊躇していたことが今となっては吉と出ているように感じる。そして○○○○○の伝統である内作を今後も進めることでSOAなどに振りまわれることもなく、「今必要なものを」ムダなく導入し発展させていくことも可能である。
3日間のまとめ。
企業それぞれ社風(体質)があり、世間の流行り物が必ずしも自社に合っているとは言い切れないということを改めて実感させられた3日間でした。