私の勤務先は中小企業といえども業界内ではそこそこの規模であるが、昔からの“しがらみ”なのか変な慣習がある。
メーカーといえども一般消費者にアピールしていき、ブランドを浸透させていくというのは時代の流れであろうが、相変わらず何かあるたびに「OEM」という話になる。
もう今となっては本来のブランドでの販売比率は30%をあっさり割り、詳しくは調べていないが25%程度まで落ち込んでいる。
店頭での商品名は特定販売店向けの“オリジナルブランド”だらけである。全く同じ商品であっても“5種類”以上の商品名が存在する。
そんな状態であるから、消費者からの問い合わせ窓口に「○○店で購入した商品がホームページに掲載されていないが、これは偽物なのか」という質問が結構頻繁に来るのである。
ネットが普及していない時代ならば「当店オリジナル商品です」という店員の説明で納得する消費者が大多数だったかもしれないが、自分で調べることが当たり前になった現在ではそれはもう通用しないだろう。自分が何を買ったのか、特に高額商品ならば調べたくなるのは当然。
ところが、営業部門というものは「一般消費者」には目が向かず、相変わらず「販売店」の都合ばかり考えている。最近も“2種類”のオリジナルブランドが作られ、それらでの販売数アップのためにあれやこれやと社内は大混乱。
それにしても変だと思いますよ。「○○○○○ブランドをグローバル展開していく」と役員さんたちは声高に叫んでいる割には、国内向けには大量の「OEM」でよしとする。海外での販売数は非常に少ないのに何が「ブランドを大切にする」なんだ。矛盾しまくり。
本田宗一郎著書「やりたいことをやれ」のP88
藤沢武夫が、かねがねいっているが、世界へ進出するには、自分のブランドというものを大事にしなければいけない。これが第一の条件だということをいっている。
われわれでも、アメリカの商事会社からバイヤーブランドで何万台買いたいといった注文があった。本当はのどから手が出るほど受けたかったが、必死に我慢した。(中略)この我慢と努力が、世界にHONDAのブランドを確立したゆえんで、大成功をよんだ。
自社ブランドを安売りしちゃダメだ。死守するつもりで、誇りを持たないとね。
中小企業といえども「ブランドに誇りを持て」という一文を経営方針に入れて欲しいものです。それにしても販売店側の力が強い業界は辛い…