最近、某君が「給与」の事で少しばかり悩んでいるらしい。それは私も通ってきた事柄だから良く分かる。
若いうちに結婚して、すぐに子持ちになると、私の勤務先の給与では“かなり”生活がキツイです。妻子持ちで稼ぎが一人、そのうえアパート暮らしとなっては正直言って“なんとか生活しているだけ”という状態になります。子供が小学校に上がれば「共働き」ができて、多少は余裕ができるかと思っても、出費もそれなりに増えるため生活水準は何も変わりません。親元からなんらかの援助があるか、多少の我慢を強いられるとしても親と同居をするか………(私は同居を選択)
某君の場合は新婚でまだ共働きであるため、結構余裕があるように見えても、この先を考えると不安になるのでしょうね。頑張って貯金しておきましょう。それでなぜ悩んでいるのかは「他の監督者と比べて給与が低い」ということらしい。まあこれについては給与体系の仕組みを知っていれば悩むことは全く無いけど、その“からくり”を知らない(上司から説明を受けていない)のならば、「なんでだろう」と思うのは仕方がないところか。
私の時代の初任給は今思えば信じられないくらいに安かったです。学生のバイトでも月に10万円程度は稼いでいたのに、大卒の初任給が14万円弱で、あれこれ引かれるとほんとバイト君と変わらない収入でした。ところが時代はバブル景気に突き進み、初任給が年々上昇していき、新入社員が先輩社員よりも高給取りになってしまいそうな勢い。そこで“調整”のため、昇給額がかなり高かったわけです。年に2回ですから、単純に現在の2倍以上の昇給額になっていました。バブル景気の終焉とともに昇給は年に一度、それも地域相場に合わせた適正額となり、合わせて初任給アップも打ち止め(物価上昇分程度のベースアップ)。
ここまでは景気に合わせた初任給と昇給額アップの話ですが、ここからが“からくり”の話です。
一般社員、監督者、管理者(&もっとエライ人)、それぞれの昇給ベースが全然違います。このため、少しでも早く主任になり、少しでも早く係長になり、少しでも早く課長になることが、基本給をあげる唯一の方法です。それ以外にありません。
そう「他の監督者と比べて給与が低い」の答えは簡単ですね。誰よりも早く昇進した人が給与が高い。かつ、そのような人はもともとの評価も高いため、昇給時の査定も高かったということです。一般社員の場合は査定による差額は数百円、せいぜい千円程度ですが、役職者になればその差額は大きくなります。
で、ここまでで、それじゃ誰が一番得してきたのかというと、もう分かりますね。
バブル景気突入前に課長または部長になっていた人たちです。
「初任給に対する基本給の調整」という恩恵は全社員に当てはまるわけで、一般社員の基本給をベースアップさせるついでに管理者の給与も大幅にアップしたわけです。とうぜん監督者も大幅アップです。哀しいことにバブル期を役職なしで過ごした私の世代とその下の世代の人は、殆ど恩恵を受けていません。世の中景気が良いのに、なんで私はこうなんだろうと嘆いたものです。
その後、高給取りが増えすぎて数年前に管理者の整理がされたという悲劇もありますが…