今さらですが「初めて中華を統一した秦国の王 = 始皇帝」ということを「キングダム」で学びました。「キングダム」は実際にあった出来事を脚色した作品ですが、登場人物なども実在した人物がモデルになっています。
始皇帝 中華統一の思想 『キングダム』で解く中国大陸の謎
【『キングダム』から、2000年間、中国を「影」から支配してきた原理を読み解く! 】
・秦の統一は400年早かった。秦を「異常な国」に変えた法家の思想
・媧燐も李牧も呉鳳明も、なぜ「他国を滅ぼして中華統一する」と言わないのか?
・なぜ鄴の城主は難民を受け入れたか? 背後にあった氏族制社会
・李牧の「七国同盟」は、既得権者たちの抵抗の象徴
・2000年間、中国大陸を規定してきた国家モデル「古典中国」
・中国人はなぜこれほど「自信満々」なのか?
【目次】
第1章 『キングダム』前夜 ~春秋戦国時代はなぜ550年も続いたのか?
第2章 法家と秦の大改革
第3章 中華統一と空前の権力
第4章 始皇帝はなぜ儒家を憎んだのか
第5章 理想のゆくえ
秦王・嬴政が中華統一を成し遂げても僅か十数年で秦国は滅亡して再び乱世になります。なぜなのか。「キングダム」のこれまでのストーリーの中でも伏線が張られていることが、この書籍に書かれています。それを踏まえて「キングダム」を読みなおすと奥深さがさらに伝わってきます。それにしても政と信が苦労して中華統一を成し遂げて平和な時代になっても、あっという間に乱世に戻ってしまうわけですから、「あの闘いの日々は何だったんだろう」となります。政(始皇帝)が亡くなった後の話ですので「キングダム」で描かれることはないとは思いますが、再び乱世に戻った時に、秦国の大将軍たちがどうなったのか気になります。
書籍を読んでみての感想ですが、「織田信長は秦王・嬴政と同じだったのか」です。信長の目的と手段が嬴政と同じなのです。ということは、「本能寺の変」が起きていなくても、最終的には家康の天下になっていたことになります。時代に早すぎる革命には歪みが生じるといった感じでしょうか。
再び乱世の時代になってしまっても、時代が統一に向けて少しずつ変わっていけば、中華統一こそあるべき姿になり、中央集権に拘る現在の中国のあり方にも納得させられます。
大国が再び統一されたという歴史を持つのは中国だけだそうです。ヨーロッパはローマ帝国が滅んだ後は、独立した国々になって現在は“EU(欧州連合)”という経済的および政治的連合という形式です。キングダムに登場する李牧(りぼく)が目指していたものはEUのようなものです。その辺を踏まえると、「合従軍編」の理解度が進みます。アニメだけだと李牧がなぜ合従軍を率いて秦を攻めたのか分かりにくいです。
ということで、「キングダム」の「なぜ、なぜ?」の答え合わせをしてくれる書籍です。