タイトル詐欺?「年収200万円でもたのしく暮らせます」

最近過激な発言が目立つ森永氏ですが、それはあくまでも自分の立ち位置を意識した仕事としての発言なのか、それとも心の底からそう考えているのか。民主党政権時代の「がっちりマンデー」を毎週欠かさずに観ていましたが、その時の森永氏のコメントは結構参考になることが多かったのですが、アベノミクスで景気が良くなり、その後のコロナショックのタイミングから森永氏の発言には「?」がたくさん付きます。

今さら感はありましたが、「年収200万円」でもまともに生活できると主張している森永氏の著書をポチしました。

年収200万円でもたのしく暮らせます コロナ恐慌を生き抜く経済学
年収200万円でもたのしく暮らせます コロナ恐慌を生き抜く経済学 (著)森永卓郎

2003年に私は、『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)という本を上梓 し、大きな反響を得ました。サラリーマンの平均年収は300~400万円にまで落ち込む。抜本的な生活スタイルの改革が必要だと訴えました。いまの経済状況は当時より深刻です。おそらく、普通の正社員でも、業種・職種によっては、年収200万円台という人が大半を占めるようになるのではないでしょうか。100万円台の人が出てきてもおかしくありません。長期間デフレが続いていた日本では、多くの人がなんとなく働いて、そこそこの暮らしができました。それは、ある意味で「バブルの時代」。これからは、違います。「年収200万円しかない」といった危機感をもち、生活スタイルを変えていく必要があります。
第1章過去最大級の経済不況に備えよ! ~コロナ・ショックは「終わりの始まり」
第2章最大の敵は国内にあり! ~コロナ対策で露呈した日本政府の弱点
第3章これから日本経済はこう変わる! ~10年後の未来予測
第4章日本株が危ない! ~成功する投資、失敗する投資
第5章都会を飛び出し「トカイナカ」で暮らせ! ~自給自足で自律的に働く方法

書籍タイトルが「年収200万円でもたのしく暮らせます」となっているので、当然ながら「200万円で生活する」がメインテーマだと思いたくなりますが、最後まで読んでも「200万円で生活する」は明確になっていません。例のムック本と同様にタイトル詐欺です。

「本当に200万円でたのしく暮らせるのだろうか」と書籍の頭から順番に読みましたが、いきなり「第1章」から退屈に感じます。そして読み進めるほど、斜め読みになっていきました。「第1章過去最大級の経済不況に備えよ!」「第2章最大の敵は国内にあり! 」「第3章これから日本経済はこう変わる!」は正直言って読む必要はありません。そして実際に投資をやっている人なら「第4章日本株が危ない!」を読めば「何言ってんだか」と呆れます。森永氏はコロナショックの直前に日本株の殆どを売却して損害を免れたそうです。売却した理由が、米国の専門家との対談の中の「バブルだから弾ける」を信用してすぐに売却したとのこと。そのあとにたまたまコロナショックが起きて株価は暴落したことで「どや顔」。ところが、投資家ならここで「前もって売っておいたオレは凄い!」と自信をもって、暴落した株を買い漁れば良いのに森永氏は何もしていません。そして未だに「もうすぐ暴落する」と言いふらしています。

どこまで読み進めたら「200万円で生活する」の話題になるのか、だんだんイライラしてきました。そして『第5章都会を飛び出し「トカイナカ」で暮らせ! 』は森永氏自身の話です。最後まで「200万円で生活する」に辿り着きません。

おおざっぱにまとめると「コロナでリモートワークになったので、生活費が安い地方で暮らして、さらに自給自足すればなんとかなるでしょ」になります。

実際問題として、定年退職後の収入は夫婦二人の年金のみで、いろいろと引かれて実収入が200万円だとしたら、「生活費が安い地方&持ち家&最低限の娯楽&健康であること&多少の自給自足」という条件を満たす必要がありますね。

専門家たちの空論より、実際に200万円で生活している人たちを数多く取材して、それをレポートにした方が役に立つような気がします。



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