小学生歴史王チャンピオンの決勝戦の一場面。
予選をブッチギリで駆け抜けた天才少年の優勝は明らかで、彼に対戦するのは「信長大好き少女」と「ジャイアン少年」。
あっさり終わるかと思われた決勝戦だが、「見せ場」があった。
出題に正解すると他の2名のどちらかのポイントを奪取でき、ポイントが無くなった者はその時点で失格となるルールである。
順当に天才少年はポイントを稼ぎ、「信長大好き少女」のポイント残が“1”になった場面。ここで天才少年がどちらからポイントを奪取するのか。予選の成績からすれば天才少年のライバルは「信長大好き少女」であり、「ジャイアン少年」は敵にもならず。ならば「信長大好き少女」からポイントを奪い勝負の決着をつけるのが最善策であろう。
しかし、天才少年が「信長大好き少女」からポイントを奪い失格に追い込むとなると「あいつ酷いやつだ」と周りから思われるだろう。決勝戦の観客は出場者の家族や知人友人であるからして、天才少年に向けられる視線は厳しいものがある。いやはや天才少年の立場としては難しい選択を迫られている。
天才少年は考えた挙句、「ジャイアン少年」からポイントを奪う。これで周りの人たちは「ホッ」としたことであろうが、当事者である「信長大好き少女」は大粒の涙をポロポロ流す。“情け”を掛けられたことがよほど悔しかったのであろう。
天才少年とは力の差かあるとはいえ、テレビチャンピオンに出場して決勝戦まで進出できる人たちには人並み外れたプライドがあるのも事実。
結果的に天才少年は「信長大好き少女」のプライドを傷つけてしまったことになった。
どちらを選択したとしても天才少年は「酷いやつ」と周りから思われてしまったわけだから、本当に可愛そうなのは力の差がありすぎた天才少年だったのかもしれない。