今日の話は先日の友人との会話が元ネタになっている。
友人「知人の外車は馬力があるからブレーキを踏んでいても進んでしまう」
私「それって“馬力”じゃなくて“トルク”でしょ。その車は低速トルクがありすぎるだよ。」
トルクと馬力の違いが分かっていないというか“トルク”というもの自体知らない人が多いのかも知れない。世間一般的には「あの車は280馬力だ」とか「いじった車みたいで400馬力もあるんだって」のような会話が普通かも知れない。(ちょっとだけ車に興味がある人たちの間では)
しかし単純に「パワー=馬力」であると覚えてしまってはいけない。まるっきり興味がない人にはどうでも良いことなのだが、それなりに車の話をしているのなら、正しいことを覚えておくべきだ。
日記を書くにあたり、非常に分かりやすい例えは何かと考えてみた。
「鉄鎚(かなづち)で釘を打つ」
一回の打ち込みで釘がどれだけ板に食い込むかが“トルク”。
ある時間(例えば10秒間)でどれだけ板に食い込むかが“馬力”。
一回で1cm、10秒間に10回打つことができれば釘は10cm打ち込まれる。
一回で2cm、10秒間に6回打つことができれば釘は12cm打ち込まれる。
つまりは瞬間的な力こそが“トルク”であり、それを時間あたりどれだけの力を発揮したかが“馬力”なのである。
例話ではなく教科書的な回答については下記のページを参照のこと。
まずはここがお勧め。
http://tamagoya.ne.jp/driver/035.htm
こちらはちょっと難しい。
http://www.autoascii.jp/auto24/toyota/mechanism.html
簡単解説ならこちら
http://www7.lunartecs.ne.jp/~analysis/column/2001072.html
ここでふと目にとまった記述
> 日本では自動車の税金は排気量で分けられていますが、
> フランスでは馬力で分けられています。つまりフランスでは
> 馬力の大きいクルマは税金をたくさん払わねばなりません。
なんとフランスでは既に「馬力」に税金を掛けているようですね。私も常々そうあるべきだと思っていました。
なぜならば
「同じ2000ccなのに馬力が140psと280psの車があり、その2車種の税金が同じである。」
「2500ccで180psの車は2000ccで280psの車よりも税金が高い。」
という事実に納得がいかないからである。
ここで「トルクと馬力」に戻して考えてみると、「馬力」ではなく「トルク」に税金を掛けるべきだと思えてきます。
トルク 30kgm 馬力 180ps
トルク 20kgm 馬力 200ps
NAならば前者は3000ccで後者は2000ccです。
一番多い街乗りで3000ccの方が燃費良いことはないのに関わらず「馬力」で区別してしまうと2000ccの方が税金が高くなってしまう。ならば従来通りの「排気量」で区別すれば良いのではなるのだが、問題は「ターボ車」です。
2000cc ターボ
トルク 40kgm 馬力 280ps
2000cc NA
トルク 20kgm 馬力 200ps
前者の燃費がめちゃめちゃ悪いのは誰でも知っている事実。なのにこの2車種が同じ税金でいいのであろうか。
「トルク」に税金を掛けるのならば、トルクを抑えて馬力を稼ぐようなエンジンにすれば税金が安くなるので超高回転型(10000回転オーバー)エンジンを搭載すればいいのか。
2000cc NA
トルク 20kgm 馬力 260ps
そんなものを作ると、とても街乗りには使えません。
排気量、馬力、トルクという個々の数値のみで税金を決めるというのは、どれも不適切のようだ。
ならば一番“平等”な方法はいえばやはり「燃費」であろう。
ところが、燃費にもいろいろとトリックがあって、完全な平等とはいえない。有名なところでは「ホンダ車の燃費はカタログ値と大幅に違う」というものがある。それは10・15モードが良くなるようなチューニングをしているとの噂である(あくまでも)。トヨタの車は「実際の走行」の燃費を重要視してチューニングしているらしいので、カタログ値と実際の走行時にそれほど違いはないようだ。
「10・15モード」の検査方法はこちらのページを参照のこと
http://www.eccj.or.jp/databook/1998/p96.html
つまりは、実際の走行時はともかく「10・15モード」の検査の値が良くなるようなチューニングをすれば、カタログの上では「燃費がいい車」となるわけだ。
最近よく見かける「5ナンバー枠いっぱいいっぱいのワゴン車」の税金が2000ccまでの車の税金と同じだというのも納得がいかない。「5ナンバー」といっても、あれってかなりデカイですよ。
ガソリン税と軽油税の差別もしかり、車に関しての税金には納得がいかないものが多い。
納得いかないついでに検索してみると
「軽油とガソリンの税金の違い」
http://homepage2.nifty.com/osiete/s767.htm
以上のようなことを同僚に話していたら、彼からのコメントは
>基本的に税金を払いたくないのなら税金が安い車に乗れば
>いいということじゃぁないですか。
であった。
論点がズレてしまっているようである。
私はそういうことを言っているのではない。車に掛かる税金の不公平さを言っているのです。
最近問題になっている「軽自動車」に話を変えてみるとするか。
ターボ付き軽自動車とコンパクトカー(VITSなど)を比べたら、なぜ「ターボ付き軽自動車」の方が税金が安いのか。「“軽”だから」それこそ変です。「税金が安いから“軽”を買う」という消費者心理があるのは事実である。元々、軽自動車というものは庶民に車を普及させるために用意された「特別な制度」である。車が普及しきった現代社会においてそのような「特別な制度」がまだ必要であるとは思えない。どう考えても一部の自動車メーカーを保護するための制度である。コンパクトカーよりもパワーがあって豪華で価格も高い軽自動車(一部の車種だが)が一番税金が安いなど許せるものではない。
このような「不公平」を無くさずに「環境税」なんて導入されたりしたら、ますます車に掛かる税金が増える。
たぶんこのままいくと「燃費の悪い車に環境税を掛ける」となるでしょう。
そして、いわゆる「環境に優しい車」には環境税が掛からない。だからといって自動車税が安くなることはない。単なる上乗せされるだけ。
税金を一本化するのが一番の公平かつ簡単な方法である。
それはガソリン税である。燃費が悪い車ほどガソリンを使うわけだから、結局のところ税金もたくさん払うことになるのである。最近の噂では、「目的税」であるべくガソリン税が余ってきているので違う用途に使ったらどうかというふざけた事をいう政治家がいるらしいが、それこそ変な話である。そしてただでさえ税金の塊のような自家用車に「環境税」を組み込もうなどとは許せない。
自動車税も重量税も廃止して、全て「ガソリン税」で賄うべきなのである。それが一番平等である。