辞書のような「働く人のための精神医学」

「更年期障害かも!!」と心配になって、和田秀樹(著)「男も更年期で老化する」を読んでみましたが、どうやら微妙に違うようです。ダン・ニューハース著「不幸にする親 人生を奪われる子供」に書かれていることが根本にあるよう思えるのですが、もう少し勉強してみます。


岡田尊司(著)「働く人のための精神医学」

厳しい競争と難しくなる対人関係のなか、非正規労働者や働く女性だけでなく、比較的恵まれた大企業の社員や、精神的にタフだと思われていた人までもが、うつや不安障害になって仕事ができなくなるケースが急増している。

本書は、働く人がぜひ知っておきたい精神的疾患や心のトラブルについて、そのエッセンスをわかりやすくまとめたもの。人格の土台にかかわる愛着障害や発達障害、パーソナリティ障害から、適応障害、うつ、気分障害、不安障害、アルコール依存症、薬物依存症、摂食障害、統合失調症、睡眠障害まで、病状、診断、治療や克服のポイントを、多くの具体例とともに解説する。

数多くある精神医学の書籍の中からこれを選んだ理由は「夫婦という病:夫を愛せない妻たち」の著者だからです。健康本、片付け本と続き、現在は精神面での書籍を読んでいるわけですが、難しい分野だけに“読みやすさ”と“分かりやすさ”に加えて“共感を得る”ような文章が必要です。

「働く人のための精神医学」はタイトルに“働く人のための”が付いていますが、決してそのような限定された内容ではありません。

ありとあらゆる精神障害を取り上げて「どのような症状なのか」「どのような人がなりやすいのか」「治療法は」の構成で書かれているため、「もしかしたらこれかもしれない」という目星を着けるのに役に立つ内容になっています。さらに探究したければ、それぞれの専門書を読めばいいため、「最初の一歩」に該当する書籍という位置づけにあります。

この書籍を読んでみると、「その人の個性」なのか「精神障害」なのかは紙一重であることが分かります。あまりにも個性が酷くて周囲に迷惑を掛けるほどになると「精神障害」かもしれませんが、「ちょっとクセがあるよね」程度ならば「個性」かもしれません。

誰でも書籍に書かれている症状を複合的に持ち合わせているのが当然で、何も持っていない人はこの世にいるのでしょうか。個性こそメリットでありデメリットであるため、その個性を自覚して生きていけば良いわけで、逆に無自覚で他人に迷惑を掛けることが問題です。

個性なのか障害なのか判断は難しいかもしれませんが、身近にクセが強すぎる人がいる場合はこの書籍を読んでみると良いかもしれません。もちろん自分を知るためにも読んでみる価値はあります。

改めてなぜタイトルに“働く人のための”が付いているのか考えてみると、会社にはいろんなタイプの人がいて、個性が強すぎるゆえにトラブルを起こしたり、人間関係を悪くする人もいるかもしれません。一見すると無個性に見えても、実はそれが個性だったりするため、なかなか難しいものです。

「あいつはダメなやつだ」と決めつけるのではなく、「なぜなんだろう」と冷静に考えるためのヒントを与えてくる書籍ということで「働く人のための精神医学」なのかもしれません。人を使う側とか教える側の立場の人が読めば、抱えるている悩みが僅かでも減るかもしれません。



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