再び三陸海岸へ 後編「釜石~石巻」

「再び三陸海岸へ」の後半パートです。

3月中旬になってから急きょ決まった二度とないGWの9連休をどう過ごすのか。その日のうちに往路のフライトを確保してからあれこれルート決めしたわけですが、どうしても上手くいかず、もたもたしていると復路の交通手段がなくなります。

とりあえず往復とも仙台空港を使うことにして、現状の気力と体力を踏まえて走行コース決めをしましたが、結果的には“緩めの設定”で正解でした。

三陸海岸の南部は「リアス式海岸」になっているため、2014年5月の時に走った北部との違いを実走することで体感することを楽しみにしていたわけですが、ルートラボで走行ルートを引いてみて愕然。

漠然と「宮古~石巻」の区間くらいなら2日あれば十分と考えていたのですが、嫌な予感がしたため、「宮古~釜石」の区間を省いて「釜石~石巻」にしておいて、さらに「気仙沼~女川~石巻」も状況次第で「気仙沼~石巻」でいくことにしました。

5月1日

遠征三日目も天候不順の予報になっているため、なるべく前倒しで進めます。そのため釜石のメインの観光ポイントになるはずだった「鉄の歴史館」をパスします。


スタート直後からアップダウンの連続で、平坦区間が殆どありません。


少しでも勾配がきつくなれば、あっさりと押し歩きに入ります。のろのろ上って、漕ぐのを諦めて、ひたすら押し歩き。交通量が多い場合はものすごく邪魔な存在になりますが、並走している自動車道が無料区間になっているため、一般道を走る車は殆どありません。そのため、狭いトンネルも安心して通ることができます。

三陸鉄道リアス線は大船渡市の盛駅が始終点です。その先のJRの路線は復旧していません。ならば、その先に行くための交通手段はどうなっているのか。


大船渡市の盛駅から先の区間には、臨時の代行バスではなく「BRT(バス高速輸送システム)」というものが運行しています。これは災害で壊れた線路を埋めて、そこにバス専用の道を作り、列車の代わりにバスが走ります。そして、従来の駅があった場所がバス停になります。


昨日の雨でチェーンオイルが全て流れてしまったため、大船渡市のホームセンターで自転車用のチェーンオイルを購入。


それにしても「リアス式海岸」の一般道は「上って上って、いっきに下って、港町。上って上って、いっきに下って、港町。」の連続です。海沿いの道のはずなのに海をあまり見ることができません。


山の中に突然現れたレジャー施設。GWということもあるのか賑わっているようです。

峠を越えてようやく陸前高田市に到着。情報番組で何度も取り上げられていた「奇跡の一本松」は見ておかなければならないものだとは思うのですが、その少し手前で衝撃的な光景が目に飛び込んできて愕然とさせられます。妙な震えさえ身体に感じるほどです。


鉄筋コンクリート5階建ての市営住宅「下宿定住促進住宅」。その5階部分に5階の床上まで津波が到達していたことを示す表示があるのです。それを見ると想像を遥かに超える津波の高さだったことが分かり、しばらくその場から動けませんでした。


遠くからでも分かる「奇跡の一本松」と被災した「陸前高田ユースホステル」。この辺りはまだまだ復興工事中であり、観光地化されていません。よって「どうしても見ておかなければ」という人だけ見に来る場所です。車で来た人は、観光物産施設「一本松茶屋」に車を停めることになりますが、それほど駐車場が広いわけでは無いため、混雑期は避けた方が良いかもしれません。


奇跡的に生き残った1本の松も震災から1年後に枯死してしまったため、モニュメントとして保存整備されています。


さて、釜石の宿からここまでの距離は僅か60kmですが、既に6時間も要しています。ブロンプトンから離れたのは「奇跡の一本松」のところだけですから、非常に遅いペースで進んでいます。“緩めの設定”のはずなのに、全く緩さを感じない1日です。


アップダウンの連続にそろそろ限界を感じ始めたころに宮城県突入。


立ち寄りポイントが殆どないため「大理石海岸」に寄り道。白く見えている石は大理石だそうです。のんびりと遊歩道を歩きたいところですが、ここまでのペースを考慮するとその余裕はないため、先を急ぎます。


気仙沼の北部エリアの一番メジャーな立ち寄りポイント「巨釜(おおがま)」。唐桑半島に入ったあたりから妙な霧に包まれていて海岸の景色を楽しめません。


そのためか、「巨釜(おおがま)」の迫力が倍増していて海岸に吸い込まれそうな雰囲気がしてきました、


隣の「半造」の散策コースは「巨釜」より緩い代わりに広すぎるため、一周すると40分ほど掛かります。一番手前の景色だけ拝んで退却です。それにしても、迫力を感じさせられる海岸です。


「さて、今日はこれでおしまい。宿まであとちょっと。」と気楽に考えていると、なんと予定外の峠越え。もう上る力が残っていないたあめ、約2kmをひたすら押し歩きです。峠を示す看板がない代わりにお地蔵さん。「猫に餌やり禁止」の看板があるため覗いてみると…


2匹の猫ちゃんが何やらお菓子を食べています。

18時少し前、疲労困憊で宿に到着。走行距離が93.5km、獲得標高が1697mという区間でしたが、10時間掛かりました。一番最初にプランした「120kmくらい大丈夫」を強行しなくて正解でした。

5月2日

天気予報によると今日から晴天続きのようです。ようやく綺麗な海を見ながらサイクリングできます。


昨日は気仙沼市内の観光ができなかったため、まずは港周辺をブロンプトンでぶらぶらします。


雨の翌日は強風が定番ですが、強風どころか爆風です。写真を撮る度にブロンプトンが倒れます。港に向かってブロンプトンが勝手に動き出してから倒れた時には非常に焦りました。運が悪ければ、ブロンプトンが港にドッボーン!ですよ。


気仙沼「海の市」の駐車場係に「営業してますか?」と聞くと「はい」という返事だったため、館内を散策してみると入館できても営業時間外です。空きスペースで営業時間になるのを待っている人たちもいますが時間がもったいないので、再び港周辺をうろうろしますが、ものすごい追い風アシストがあれば、復路はものすごい向かい風で感覚的には時速10km程度しか出ません。


日本で唯一のサメの博物館「シャークミュージアム」。「シャークミュージアム」内にあるシアタールームで震災のリアル映像が上映されますが、「背筋に冷たいものが走る」とはこういうことなのかと感じさせられる衝撃的な映像です。

さて、石巻まで約90kmありますが、一昨日のような雨でもなく、昨日のような急坂の連続と言うわけでもないため、景色を眺めながらのんびりいきますか…

ところが、天気予報では「西の風」となっているのに、なぜか強い向かい風です。上りでもないのに上り用のギアを使わなければ進みません。さらに気仙沼までの区間と違って、気仙沼からの区間は妙に交通量が多いです。道幅がそれほど広いわけでもないため、大型車に後ろにつかれると安全に退避できる場所まで気合を入れて走る必要があって、かなり疲れます。愛知県なら自転車を無視してすれすれで追い抜くような状況でも、こちらの大型車は安全に追い抜きができるまで待ってくれるため、それが却ってプレッシャになります。普通車でも大きく離れて追い抜いてくれます。たまにすれすれで追い抜いていく車がいますが、レンタカーまたは関東地区ナンバーだったりしました。この辺は北海道と同じです。


「三陸復興国立公園」の一つ「岩井崎」。宿から僅か17kmの距離ですが、時刻は既に10時15分です。東映映画のオープニング映像のような荒れた海を目の前で見ることができます。


「潮吹岩」は、まさに「ザッバーン!!」ですよ。


左の写真は2011年3月11日の大津波が引いた後に残っていた松の木です。その姿が龍のように見えるため「龍の松」と呼ばれるようになりました。左の写真は、第9代横綱・秀ノ山雷五郎の銅像です。


爆風なら良い波がくるのでしょうか。上手く波に乗れていないようでしたが。

この後も相変わらずの向かい風で「余裕があったはずなのに、このまま行くと石巻到着が夕方になってしまう」「そもそも日本一周編じゃないので無理する必要は無い」「あーなにか良い方法はないものか」などなど「もう勘弁して」の連続で気が滅入ります。


「あっ!!」と思いついて急停止。これってBRTでは?

レールをつぶして作ったバス専用の道を走るので国道に乗り場があるとは予想外。とりあえず、路線図と時刻をチェックしてみて、掲示されているQRコードを読ませて運行状況を確認。1時間に1本の割合で向かい風区間をワープできる便があります。これは超ラッキーです。路線バスとは違い、JR列車の代わりのBRTですから荷物が多くても問題ないはずという決め打ちして、ブロンプトンをパッキングしてバスを待ちます。


もともと乗客数が少ないことを想定してか座席数は少な目です。その代わりにスペースに余裕があります。荷物置き場もあるため、そこにブロンプトンを置きました。

しばらくは車中から走るはずだった景色を眺めますが、ブロンプトンではきつそうな道がひたすら続いています。うーん、これは「ワープした区間をリベンジ!」という気楽に考えるのは躊躇します。


バス専用道路が完成すれば、とても便利な交通手段になりそうです。


13時15分、約40kmのワープ終了。自走していたら15時30分になっていた可能性大です。

過去の走行ルートと照らし合わせてみると、ここから石巻市内までは全く同じルートを逆方向に走ることになるようです。それだと面白みに欠けるため、女川経由で石巻へ向かうルートを検討したのですが、爆風では仕方ありません。


途中で大きな鳥居が見えたため、花まつり開催中の「奥州柳津虚空蔵尊」に立ち寄ることにしました。


「ちょっと覗いてみるか」という程度で立ち寄りましたが、撮影も楽しめるお寺さんです。鳥居をくぐってきたのにそこにあるのがお寺さん。駐車場からの参道にも鳥居があるのに山門もあるお寺さん。


「なで寅」と「なで牛」。神社なのか寺院なのか?


もうどっちでもいいでしょという雰囲気。


不思議な空間でした。


最上川を下っていくと石巻市に突入。

実は「気仙沼~女川~石巻」を実行できなかった場合の代替案があるのです。石巻の宿に荷物を置いて、軽装備でリスタート。


超激込み状態の「石ノ森漫画館」。今回は入館しませんが…


入り口に仮面ライダードライブの「トライドロン」が鎮座しています。番組を観ていないのでこの車がどのように変形するのか分かりませんが、子供たちが食い入るようにこのトライドロンを見ています。

さて、代替案とは、石巻市から女川町まで追い風に乗って走って、復路はJRで戻るという案です。ただし、線路沿いの道を選んでは景色を楽しめないかもと思って、あえて上りコースになる山側の道を選んだのですが…


なんと!ようやく上りが終わったかという分岐点で完全通行止め。仕方なく来た道を戻って、平坦道になる線路沿いの道で女川町を目指します。


女川町に来た理由はこの「女川いのちの石碑」を見るためです。ドキュメンタリー番組を観た時に「見に行かねば」と思ったからです。
いのちの石碑プロジェクト


左の写真は「旧女川交番(東日本大震災の震災遺構)」です。右の写真は復興した女川港です。


女川駅前プロムナード「シーパルピア女川」でグルメの予定でしたが、営業時間が17時までの店が殆どでグルメ無しになりました。


女川駅から石巻駅までJRでワープします。


タイミングよく石巻駅にラッピング車両が停まっていました。この車両を絵になるような構図で撮るには撮影場所の開拓から始める必要がありそうです。

最終日の移動を考えると少しでも荷物を減らしたい。


ということでブロンプトンと自転車用品類を宅配。

最終日に松島周辺のポタリングを予定していましたが、遠征4日目で自転車旅は終了です。

「震災地がどのくらい復興したのか現地で自分の目で確認すること」に関しては、まだまだ完全復興までには時間が掛かりそうという点だけは分かりました。今回の未走区間をリベンジすることを兼ねて、5年後くらいに「三度目の三陸海岸」を実行しようかと思います。

以下は石巻市内で見つけたモニュメントです。5年前とは設置場所が若干違っていたり増減しているため、改めて撮影しました。










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