50歳過ぎでなくても「老後のお金の不安がなくなる本」はお勧め

お金に関する制度が新設されたり修正されたりするため、職業でFPをやっている人なら常に情報のアップデートをしているのは当然として、趣味でFP3級を取った場合はその時までの情報を理解しているだけですので、自分が実際に退職金や年金を貰う時期には「十数年前はこうだった」となりかねません。

頭の良い官僚たちが試算して唐突に発表した「老後資金2,000万円不足問題」が一般庶民の不安を煽ったことで、自分で勉強する気がある人向けの書籍が大量に出版され、本当のところはどうなのを理解すれば不安は解消されたはずです。勉強しない人にはただただ不安にさせただけのような気がします。

さて、定期的にこの手の情報をアップデートする必要があるので、評判が良さそうな書籍をポチしました。


竹川美奈子 著「老後のお金の不安がなくなる本」

目次
序章 知ることで不安は払拭できる
第1章 公的年金は長生きリスクに備える最強の保険
第2意 外と知らない退職給付(退職金・企業年金)制度
第3章 人生を通してお金をふやし、楽しく使うための「管理術」
第4章 非課税制度を活用!自分でも老後資金を準備
第5章 公的年金や企業年金、iDeCoの資産をどう受け取ればよいか
第6章 「自分で準備」してきた分をどう引き出すか

「老後資金2,000万円不足問題」の“2000万円”という数値がどこから出てきたものなのかは序章に書かれています。

5.4万円×12ヶ月×30年≒2000万円

序章の段階で結論が書かれていますが「人それぞれいくら必要なのか全く違う」です。

40年間も会社勤めして、それなりに年収があって、高額な厚生年金を納めてきたならば、もらえる年金もそれなりに多いです。さらに子供たちが独立して持ち家に夫婦二人暮らしで、生活水準もそれほど高めず無駄な贅沢を求めず、日々平穏に暮らせれば良いとなれば、年金生活の心配はありません。(年金をもらうまでの繋ぎは貯えでカバー)

仕組み的に納めた額が少なければ貰える額も少ない。独身者なら貰える年金は一人分だから少ない。その割には生活費は二人暮らしの半分にはならない。

よって、各自でシミュレーションしてみることが大切。

FP3級の知識があれば第4章あたりまでは理解できていることですが、3級程度の知識では足りないのが第5章です。

全額控除される“お得”な制度は実はというワナが待っていることを知らない人が多そうです。それ以前に「退職金」を年金代わりに分割で貰うと損することすら知らない人が多いのでは。

公的年金と個人年金には所得税と住民税が掛かります。

公的年金の受け取りは65歳がベースで繰り上げと繰り下げができますが、平均寿命より長生きする自信があるのなら繰り下げが圧倒的に有利です。

70歳までは個人年金と貯えでカバーしますが、個人年金を年額でいくら貰うように設定するのかも重要です。

冷静になればおかしな制度ですが、貯蓄代わりのつもりで個人年金で貯えていくと、いざ貰う時にガッツリと税金を納めることになります。銀行などの定期なら利息分の20%だけですから、もともと利息があまりつかないだけに損した気分にはならないはず。

それと景気で変動するやつは、上がった下がったと余計な心配事になるので、余裕がある人向けです。

今は“お得”かもしれないけど将来的には“損”する可能性があることは分かりにくいようになっているものです。とりあえず老後のために何かやっている人は要チェックです。



関連エントリー