「安いニッポン」って何だろうと興味本位でポチした書籍です。あれこれ大量に買っているため、中古で手に入るなら中古で良いかとなりますが、役に立つ良い書籍は中古でも高かったです。
安いニッポン 「価格」が示す停滞 (日経プレミアシリーズ) (著)中藤玲
「日本の賃金はこの30年間全く成長していない」
「東京は世界一高い」と言われたのも今は昔、物価も賃金も「安い国」となりつつある日本。
国は、企業は、個人はこれからいったい何をすべきなのか?
百円ショップ、回転ずし店、シリコンバレー、インド、アニメ制作会社、京都、ニセコ、西川口……
日経記者が現場から安いニッポンの実情を伝え、その解決の糸口を探る。
【目次】
第1章 ディズニーもダイソーも世界最安値水準――物価の安い国
第2章 年収1400万円は「低所得」?――人材の安い国
第3章 「買われる」ニッポンーー外資マネー流入の先に
第4章 安いニッポンの未来――コロナ後の世界はどうなるか
第一章ではとにかく日本の物価は他の先進国に比べて異様に安いことの解説です。バブルまではイケイケドンドンだった日本ですが、バブル崩壊後は「失われた10年」「失われた20年」「失われた30年」とどんどん“失われた”の延長戦です。そろそろ“失われた”を使うのをやめたらどうでしょうか。戦後の復興とともに大躍進してきた日本は、バブル崩壊で成長は止まったのです。デフレからいつまでも脱却できない理由は、日本中が安さを求めているからです。 「卵が先か鶏が先か」状態で、安さこそ正義というなら物価は上がりませんし、収入も増えません。
第二章は日本の所得がなぜ低いのかの解説です。
少し前に私が日記で書いていたことと同じことが書かれていたので妙な安心感があります。
→ 就職したらすぐに読むべき書籍「本当の自由を手に入れる お金の大学」
要するに「年功序列&終身雇用」を壊さずに若い人の給料を無理やりあげるような給与制度にしたことで、長年働いても給与がそれほど上がらなくなったわけです。さらにバブル崩壊後から続くデフレで、給与の底上げがされるわけがないのです。平均賃金が下がっている理由は、残業の激減と非正規雇用者の増加です。
『年収1400万円は「低所得」?』に関しては、アメリカで都市部に住むなら1400万円でもぎりぎりの生活になるということです。とにかく全てにおいて高いということになりますが、他国から見れば日本の物価が安すぎるのです。
第三章は日本のありとあらゆるものが安いため、外資に狙われているという解説。それからインバウンドの解説は、コロナ禍前の「どこに行っても外国人で溢れている」を納得させられるものです。
第四章はコロナ禍で「とにかく安ければいい」と「高くても良いものが欲しい(良い体験をしたい)」の二極化が進み、前者が日本人向け、後者が訪日客向けになっていくという解説。
昔は日本人が海外で豪遊していたことがあったかもしれませんが、日本人の金銭感覚は世界で通用しないほど低い状態にあり、海外で豪遊などできるはずもなく、日本国内でも「とにかく安く遊べるところ」に集中しそうです。
ということで、日本の現実が良くわかる書籍でした。