アドラーが1時間でわかる本

「アドラー『人生の意味の心理学』 2016年2月 (100分 de 名著)」を読めばだいたいのことが分かりますが、「具体的にどういうことなのか」というレベルまで落とし込んではいないため、分かり辛いパートがあります。その分かり辛い点を題材にしているのだろうと思えた「まんがでわかるアドラー勇気の心理学」は「アドラー」に興味を持つ切っ掛けになれば良いという内容であって、理解を深めるには至りませんでした。

どうしても分からない点は「共同体感覚」です。


中野明(著) 「超図解 勇気の心理学 アルフレッド・アドラーが1時間でわかる本」

フロイト、ユングと並ぶ心理学の巨人、アルフレッド・アドラー。”自己啓発の源流”として知られ、「勇気の心理学」とも呼ばれるその学説の全貌、のちの社会に与えた影響、さらにはアドラー自身の人生などを、豊富な図解により短時間で理解できる一冊。

目次

1.アドラー心理学とは何か
2.アドラー心理学のカギ「劣等感」
3.人間の生き方を決める「ライフスタイル」
4.アドラーが提唱した「共同体感覚」とは
5.取り組むべき「人生の三つの課題」
6.今を生きる“武器”としての「勇気の心理学」

著者はアドラー専門の研究者ではなく心理学者でもありません。アドラーに関する書籍を読み漁った著者が、普通の言葉でアドラーの心理学とはどういうものなのか説明してくれるような内容です。よって、さくさくと読み進めることができます。

アドラーの心理学に必ず出てくる5つのキーワード「劣等感」「ライフスタイル」「共同体感覚」「3つの課題」「一歩踏み出す勇気」の中の「共同体感覚」が一番分かりにくいのですが、この書籍は「共同体感覚」に重きを置いている点が特徴かもしれません。

本文から重要なところを抜粋してみます。

共同体感覚を平たく言うと、人が全体の一部であること、全体のとともに生きていることを実感することです。

四つのパーソナリティー類型論では共同体感覚と、社会的関わりを持つための行動力である活動性の2変数をとり、それぞれに「高」「低」のレベルを設け、4象限のマトリックスでパーソナリティーを分類します。

私たちがちょっとした勇気を持って一歩踏み出すことで、容易に自分を変えられるばかりではなく、共同体感覚をも手に入れることができる

共同体感覚で互いに理解し合えば、戦争など地球上から消滅する。人類は地球人としての共同体感覚を持つことが望まれているのである。

人は必ず何かに属している。何かとは組織(社会)であり、それが共同体というわけです。あまりにもシンプルすぎて、「心理学」で説明されると逆に分かりにくいです。この書籍のように一般的な説明をしてもらえれば何冊も読むという手間が無くなります。

ただ、アドラーの「共同体感覚」はあくまでも理想論であって、現実的ではありません。何千年経っても地球上から争いがなくならないのは、なぜでしょうか。少し深読みすると、争いが無くならないから、アドラーは理想論を唱えたのかもしれません。

「アドラー心理学」も「ドラッカーのマネジメント論」と同様に大多数の人には、一過性のブームで終わるような気がします。



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