新人類世代に適した書籍「60歳で家を建てる」

数年前に妻から「家をリフォームするくらいなら建て替えた方がいい。大きい家は要らないから平屋で」と言われたことがあり、「えっ平屋なの?」とその時は思ったものです。しかし、昨年末から家のことをあれこれやっているうちに、「荷物が減ればシンプルな平屋で良いかもしれない」と思うようになりました。

もともと妻は「二階に上がるのがめんどくさい」らしく、二階に上がるのは月に1、2回程度です。「二階に上がるのがめんどくさいから平屋が良い」が妻の本音かもしれません。

ここで思考を整理するために「なぜ平屋なの?」を勉強してみます。


湯山重行(著)「60歳で家を建てる」

建築家の筆者が「60歳からの人生をどう生きてゆくのか?」「身の丈にあった必要十分な家とは?」「60歳になって本当に自分が住みたいと思える家とは?」を考え、出した答えが本書です。

いま50代~60代前半の人々は、アメリカンカルチャー全盛期の70年代に青春を過ごし、ライフスタイルへのこだわりが強い世代。彼らがリタイアを迎えるとき、家にも新しい視点が必要になってくるはず。まだまだシニアと呼ばれるには早すぎるオヤジたちが共感できる、家づくりのアイデア満載の実用エッセイです。

第1章 60歳は身の丈に合った住まいの考えどき
第2章 60歳からの家と新しいライフスタイルを考える
第3章 60歳にちょうどいい平屋「60(ロクマル)ハウス」へようこそ
第4章 60ハウスの快適オプションと外構について
第5章 建築家が教える家づくりに役立つコラム
第6章 実際に建てるには
第7章 人生は味わう

書籍タイトル「60歳で家を建てる」だけを見ると「60歳になったら老後に備えて、将来的なバリアフリー化も考慮した家を建てましょう」のように思えるのですが、内容的にはそれに近いとはいえ万人受けを狙っているわけではなく、読書層は結構限られます。

ターゲットはズバリ「新人類世代(1961-1970)」です。それより上でも下でも共感を得られないかもしれません。私は完全にツボにはまりました。

著者の思考が私に合っている気がして、何故なんだろうと第二章を読んでいる途中で著者のプロフィールをチェックしてみたところ、生まれ年が私と同じ1964年です。結婚した年も殆ど同じであることが本文から読み取れ、好きな車も似た傾向にあるため、趣味嗜好が似ているのかもしれません。

著者は「大改造!!劇的ビフォーアフター」に出演したことがあるらしく、クライアントに提案したのは「増築」ではなく「減築」だったそうです。番組が放送されたのが2004年ですので、先進的な発想だったのかもしれません。

60(ロクマル)ハウスの5つのいいところ
・コンパクトな平屋だから移動が楽
・コンパクトでも気持ちがよい空間
・住み始めてからもメンテナンスが楽でお財布にも優しい
・1000万円台で建てられる
・壁と間取りをカスタマイズできる

著者が提案する「60(ロクマル)ハウス」はマンションの間取りをそのまんま一軒家にしたような雰囲気です。二人暮らしにちょうど良いのも頷けます。マンションのように隣人の生活音に悩まされることは少ないため「いいとこ取り」といえそうです。

「60(ロクマル)ハウス」のメリットだけではなくデメリットも説明してから具体的な進め方に入ります。依頼するのならどこが良いのかも書かれているため、「60歳で家を建てる」は子供が独立した後の「夫婦二人の家」を検討している人たちのバイブルになる書籍です。

子供が同居するとしても、夫婦のための「60(ロクマル)ハウス」を建てて、敷地内に子供が自分で「離れ」を建てればいいのかもしれません。

しばらくあれこれと「自分の60(ロクマル)ハウス」を妄想してみる楽しみができました。



関連エントリー