某A氏が秋葉原を探索して「すごい」ものを発見した。それはいかにも怪しい中国製DVDプレイヤーである。日本のメーカーが中国で生産した「中国製」ではなく、聞いたことも無い中国のメーカーの製品である。この製品を発見した時に「これはすごい」とA氏は瞬間的に判断したらしく、数台まとめ買いしたそうだ。もちろん店頭ではその「すごい」ことは分からない。情報通のA氏だからこそ得ていた知識である。そしてこの製品を「すごい」と思えるかどうかはA氏に近い価値観を持っているかどうかである。
無名な中国メーカーのDVDプレイヤーなら1万円以下(たいてい“特売品”扱いで8000円前後)で買える。しかし、この怪しい製品は日本のメーカーの同等品よりもかなり高い。つまり何がすごいのか分からない人には「なんでこんな無名メーカーそれも中国製がこんなにするの」と思えるであろう。(ただし、物事を深く考える人ならば「高い理由」をきっと調べるだろう。)
A氏から「欲しかったら1台譲るよ」と連絡を貰ったとき、私は「欲しい」と即決した。私とA氏の価値観は似ている面もあるので、この手の話なら私が乗ってくるだろうとA氏も日頃思っていたようだ。
さっそくそのブツを受け取り、A氏から頂いた秘密のメモを見ながらある操作をすると「おー、ほんとうだー、すごいー」と一人で微笑んでしまった。傍から見ればきっと「変な人」に映ったことだろう。
「DVDと中国」
この間にどのような秘密があるのか?
それは両者のことをちょっとは知っていれば私が即決した理由も分かることだろう。
それで今回の「価値観」であるが、「この製品の機能を使ってどうかしよう」という事ではなく、「この機能を持っている製品を所有することに価値がある」と思えるかどうかなのである。つまりは他人から見ればどうでも良い事かも知れないが自分は他の人とは違うものを持っているという自己満足感を得ることに価値を見出すことができるのかである。