千葉遠征「波乱の房総半島」

2013年8月4日~6日

関東エリアも残すところ千葉・茨城・栃木となり、昨年末の暫定ゴール地点となった姉ヶ崎駅が今回の遠征のスタート地点となります。房総半島をぐるっと周り、犬吠埼、霞ヶ浦、水戸、宇都宮、日光、奥日光を走る4泊5日の旅になるハズでしたが。。。


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関東遠征「東京スカイツリーと千葉観光」の続きの房総半島については、「菜の花」に合わせて3月上旬を予定していましたが、房総半島をぐるっと周って犬吠埼までの区間距離と立ち寄りポイントと宿泊地を検討した結果、2日間で走りきることができる夏場にしました。

3日間で走るほどの距離でもなく、これといった観光地もなく、ひたすら走り続ける区間が長い。しかし、初日の移動を含めると2日間で走るのは結構キツイ。日暮れ前までには宿に入ることも絶対条件。

「走行距離」と「立ち寄りポイント」と「タイムリミットは18時30分」から初日の宿泊地を野島崎に決定。二日目は犬吠埼までの約160kmをひたすら走るのみ。


新安城から豊橋まで名鉄、そして品川まで新幹線、在来線で姉ヶ崎へ向いますが、千葉駅手前から先行する列車にトラブルが発生したとかで、なんども信号待ちで停車していて、10時25分頃ようやく姉ヶ崎駅に到着。

不思議なことに遠征の度に何かしらの試練があるもので、昨年は変な過酷さが続きました。今年の3月、4月、5月、7月はルートこそ過酷であっても、体調そのものは順調に来ていましたが、なんということか今回は遠征初日の夜が明ける前の2時か3時頃に急に奥歯に激痛が。。。

出勤日なら会社を休んで歯科医院へ向うところですが、遠征の場合は1日だけ取りやめるというわけにもいきません。出発前に飲んだ痛み止めがイマイチ効かないため、ドラッグストアで「効き目が強い痛み止め」を入手して騙し騙し旅を続けることにしたのですが、これが最悪な結果になるのです。


富津岬展望台(明治百年記念展望台)

野島崎までの区間にある立ち寄りポイントとしては、鋸山の日本寺大仏が挙げられますが、他にこれといったものが見当たりません。そこで観光ガイド本に「素晴らしい」と書かれていた「富津岬(ふっつみさき)」に立ち寄ってみましたが、はっきり言ってガッカリ岬ナンバーワンに認定します。特に夏場は観光目的に来るものではありません。ただでさえ歯が痛くてテンションが下がっているのに、わざわざ遠回りしてやってきた場所がガッカリ度100%ですから嫌になってきます。


「日本寺大仏」へのルートとしては鋸山ロープウェイ、鋸山登山自動車道(有料)、登山道、そして地方道がありますが、自転車ですから細い地方道をえっちらおっちら上ることになりますが、自動車も通行でき、終点には駐車場も完備されています。大仏を見るのが目的ならロープウェイや有料道路を使う必要はなく、実は地方道の終点にある駐車場から大仏までのアクセスが最短でもあります。

昭和44年6月、4ヶ年にわたる復元工事によって再現した総高31.05メートルある名実ともに日本最大の大仏さまです。
原型は天明3年(1783年)に、大野甚五郎英令が門弟27名とともに3ヶ年を費やして現在の地に彫刻完成したものです。当時は御丈八丈、台座とも九丈 二尺あり、天下にその偉観を知られていましたが、江戸時代末期になって、自然の風蝕による著しい崩壊があり、昭和41年に至るまで荒廃にまかされておりま した。


大仏を拝んだ後は羅漢エリアを散策しますが、急な階段のアップダウンで疲労困憊。歯の痛みが疲労度を倍増させているのかもしれません。


1580年(天正8年)、里見義頼によって築城された館山城。現在の館山城は犬山城を模して1982年(昭和57年)に再建された模擬天守であり、当時の天守の概要や外観については不明であるとのこと。城主の里見家は「南総里見八犬伝」のモデルになっており、この模擬天守には南総里見八犬伝に関する資料が展示されているのですが、時刻が既に17時を過ぎていて残念ながら入館できませんでした。


野島崎に向けて海沿いの道をラストスパート。ブロンプトンの遠征先で偶然にも「祭り」に出くわすことが何度もありましたが、今回の遠征でも南房総市の白浜地区で遭遇。観光目的では無くあくまでも地元の人々の祭りのようで、ネット検索してみても祭りの名称は分かりません。「下立松原神社」の祭りのようですが。


夕陽を背に走り続け、なんとか日暮れ前に野島崎に到着。日曜日なら宿泊客が少ないという予想は見事に外れ、実は宿の確保に苦労しました。庶民価格で泊まることができる宿は非常に限られ、予約時に空きがあったのはたったの1軒のみ。野島崎周辺のホテルの駐車場はどこも満車状態になっているため、関東地区の人たちは早めの夏休みなのでしょうか。


18時45分頃に民宿に到着。周辺の大きなホテルに隠れるように存在する民宿だったため、実は最後に迷いました。庶民価格の民宿ですから夕食に豪華さはありませんが、ゆっくりできました。相変わらず歯が痛い。。。


遠征二日目は、ひたすら犬吠埼を目指して外房の海沿いの道路を走ります。何かないものかと探しても、自転車旅の途中で立ち寄るような観光スポットは皆無です。夏場ですから若者たちなら海水浴が定番で、ファミリー客なら鴨川シーワールドでしょうが、オッサンの自転車独り旅では場違いです。「景色を見ながら走る」を期待しても、海沿いの道路のはずなのに海が殆ど見えません。写真は建物が面白そうに感じた道の駅「ローズマリー公園」。残念ながら営業時間前。


犬吠埼へ向かう途中にある唯一の立ち寄りポイント「月の砂漠記念像」。海水浴場の片隅にこの像が設置してあるだけですが、月夜にここから星空を眺めるときっと良い雰囲気なのかもしれません。あくまでも想像ですが。。。


房総半島サイクリングで一番の楽しみは「九十九里浜」のハズですが、予想に反して海沿いの道路からは、並走する「九十九里有料道路」がジャマして全く海を見ることできません。なんのためにここを走っているのか途中から分からなくなってくる始末。房総半島は自転車で走るには退屈でつまらないところだとつくづく思った次第。海水浴場へ向かう細い道が所々に表れるため、少し様子を見に行ってみると北を見ても南を見ても遥か遠くまで砂浜が続いていることが分かりますが、ただそれだけのことです。


暑い中を大いに落胆しながら走っていると、ガタッガタッと後輪から妙な振動が発生。これは山梨遠征「身延山久遠寺と昇仙峡」の明神峠の下り区間で起きた症状と全く同じで、今回も原因不明のタイヤのトラブル。前回は振動さえ我慢すればなんとか走り続けることができたため、今回も大丈夫かもしれないと走り続け、数キロ走った時点で再びタイヤをチェックしてみると、なんとタイヤゴムが剥がれてきています。このままバーストの可能性が高いため「タイヤブート」を貼り付けて走行再開。空気圧は若干低めにするとガタッガタッがコツッコツッ程度になったため「これなら走行可能かも」と犬吠埼を目指して気合を入れて走る。

実は奥歯の痛みが酷くて、痛み止めを飲んでも3時間程度しか効きません。さらに歯茎まで炎症を起こして、非常に辛い状態にあります。早めに銚子に到着して宿に歯科医院を紹介してもらい、今日が無理でも明日の午前中に治療をしてもらえば、旅を続けることができるのではという、あくまでも願望。実は今回の3日目の走行ルートは立ち寄りポイントを欲張ったため、ぐるっと大回りしてから宿に向かうことになっています。よって最短コースで宿へ向かえば走行距離は半分以下になるため、午後から走り始めても余裕があるのです。ところが、そのようなシミュレーションを見事に粉砕するような出来事が起きるのです。


タイヤブートを貼り付けてから10km程度走るとパッシュ~シュ~シュ~と派手なパンク。タイヤゴムの剥がれはさらにひどくなっているのは仕方がないとしてサイドカットまで発生して、これがチューブをバーストさせたようです。この時点で「終った。。。」と確信。しかし、路線バスは無し、最寄駅までは結構な距離がある。とにかく今日の宿には行きたい。なんとかせねば。

ブロンプトンの遠征の時は「万が一」に備えて、いろんなものを携帯しています。まずはアロンアルファでタイヤブートをタイヤにガッチリと貼り付けます。次にバーストしたチューブをハサミで20cmほど切って、これをタイヤブートの上からアロンアルファで貼り付けます(もちろんタイヤにも貼り付けます)。チューブを二重にすることで、タイヤゴムが無くなってもいきなりバーストすることを防ぐことができるのではという、これまた憶測というか願望。さらに空気圧をママチャリ程度の低圧にして、空気圧でタイヤが割けるのを防止。低圧ゆえに慎重にゆっくり走る必要があります。さらに上りがきつくなりますが、ひたすら歩くよりはマシです。


17時20分頃に犬吠埼に到着。これで「房総半島」は完走です。良い思い出が非常に少ない房総半島でした。実際に走ってみての感想としては、「日本一周のルートからバッサリカットしても問題なし」「千葉市内から犬吠埼を目指した方が幸せ」です。


歯の痛みはともかく、ブロンプトンのタイヤがこれでは旅を続けることは不可能。明日と明後日の宿をキャンセル。ところが明日の宿は既にキャンセル料が発生する為、宿に直接連絡しても、話がすんなり通じない。「楽天で予約なら楽天でキャンセルしてください」と言われてもキャンセル料が発生する場合は、楽天のオンラインではキャンセルできないのです。宿も人も困った様子ですが「こちらで調べて手続きします」とのこと。そして、自宅近所の歯科医院に治療の予約を入れて、これにてDNF決定。次回の「繋ぎ」のことを考えると、銚子からそのまま帰宅するのは非常に効率が悪いため、JRの線路沿いを走って、行けるところまで行きます。再びバーストした時点でリタイア。


18時15分頃に民宿に到着。居酒屋民宿というだけのことはあって、居酒屋さんが民宿も“ついでに”経営しているような雰囲気の宿でした。これなら好きなだけ飲み食いして、そのまま寝ることができますね。

歯が痛くて睡眠不足が続く日々。三日目も4時頃には目覚めてしまい、二度寝もできない痛み。情報番組を見ているとなんということか、愛知県を襲った雷豪雨が関東に向かっていて、正午ごろには銚子にやってくるではないか。せめて正午まで走ることができれば、次回のスタート地点を上手く設定できるのに。。。


「鹿島神社→潮来→佐原」を予定していましたが、変な場所でバーストすると泣きを見るので、銚子から利根川沿いの道を走ります。JRの成田線が並走しているため、バーストしても数キロ歩けば駅に辿りつくハズ。ゆっくりゆっくり慎重に走ってやってきたのは東国三社の一社「香取神宮」。香取神宮、鹿島神宮、息栖神社を巡りたいところですが、トラブルによる妥協ルート上にある香取神宮だけで我慢。


この「楼門」が国の重要文化財に指定されています。ちなみに本殿は改装中です。


次にやってきたのは古い町並みが残る「佐原」。写真は“じゃあじゃあ橋”とも呼ばれる「樋橋(とよはし)」。


伊能忠敬の銅像。「ブロンプトンで全国制覇」を目指しているのですから伊能忠敬の故郷に立ち寄らないわけにはいきません。


利根川にはサイクリングロードがあるらしいのですが、そこを走る余裕がないため、利根川沿いの快適な道路をひたすら西へ西へと走ります。天気が崩れる日は東からの風が吹くため、朝から追い風基調で快適。しかし、向かっている正面には分厚い雨雲が漂っています。まだ時刻は10時過ぎ。天気予報より雲の流れが速いのか、どう考えても直撃必至です。


ナビで最寄駅を検索すると残り2kmほど。なんとか濡れずに済むか。タイヤの事を忘れて気合を入れて走ると5分後に。。。いきなりの雷豪雨。慌ててナビをバッグに収納するも、カッパを着る余裕も無く、全身びしょ濡れ。1分間で「今さらカッパを着てもムダ」という状態。ドシャ降りの中を走るも、ナビが無ければ地方の駅がどこにあるのか分かりません。やっと辿り着いたと思ったら線路の反対側に駅舎があり、歩道橋を使って線路を渡ることに。試練は最後まで付きまとうもので、もう勘弁してください。


全身びしょ濡れで駅に到着。パッキングして切符を買おうとすると券売機が雷で使用停止。窓口で購入して東京駅行きの時刻を確認すると、上手いことに2分後にやってくる。どうせ着替える場所も無かったため、そのまま乗車して、列車内のトイレで全着替え。

東京駅で新幹線に乗り換え、豊橋駅で名鉄に乗りかえ、午後3時45分頃に新安城に到着。往復とも乗り換えの待ち時間が殆ど無く効率が良い輪行でしたが、「なんだかな~」という遠征でした。

初日
距離: 113.5km
高度上昇値: 587m
平均スピード: 20.6km/h
所要時間: 8時間10分

二日目
距離: 164.1km
高度上昇値: 630m
平均スピード: 22.2km/h
所要時間: 10時間26分

三日目
距離: 54.0km
高度上昇値: 163m
平均スピード: 20.6km/h
所要時間: 3時間14分

交通費 18,650円 ※新幹線は回数券を使用
宿泊費 13,600円
観光 600円
土産 1,050円
その他 4,878円(3222+896+760)

旅費合計 38,778円



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