忖度なしで解説「知らないと損する年金の真実」

投資関連本をポチするついでにFPの知識をアップデートするために年金に関する書籍もポチしました。年金の制度は頻繁に変わるため、「あと数年で自分も年金を貰う立場になるのか」と考えている人は知っておく必要があります。「何がどう変わるのか」というざっくりとした変更点だけ知りたいなら、特集記事が掲載されている雑誌でも十分です。テレビ番組や雑誌などで、ときおり年金制度に関して不安を煽るような自称専門家の解説を見かけますが、ほんとにそれは正しいのか知りたければ、忖度なしで書かれた書籍を読むべきです。

知らないと損する年金の真実
知らないと損する年金の真実 – 2022年「新年金制度」対応 (著)大江英樹

大江英樹氏は年金に関する専門家ではなく投資関連の専門家です。大江氏が年金に関することを徹底的に調べ上げて、巷に溢れている年金に関する情報が正しいのか、ズバッと忖度なしで暴露しています。この書籍を読むと、不安を煽る人がなぜそうしているのかが分かります。それは不安を煽る方が儲かるからです。情報番組なら視聴率を稼げる。雑誌なら売り上げ部数が伸びる。自称専門家ならテレビ番組への出演や書籍の出版や講演活動など儲けに繋がります。

日本人の9割がしている勘違い。思い込みを捨て、正しい知識を持てる人だけが得をする。2022年新年金制度スタート!1円でも多く受け取るための決定版。
目次
第1章 年金の本質
第2章 年金に対する誤解を解く―初級編
第3章 年金に対する誤解を解く―中・上級編
第4章 知っておくべき年金の歴史
第5章 年金改革で変わること
第6章 公的年金をうまく活用する
第7章 これからの年金との向き合い方


序盤は年金の積立金に関する解説です。これを読むだけで年金制度が破綻することはないと分かります。他国と比較して日本の運用の優秀さも書かれています。


年金制度の問題点で一番頻繁に使われるイラストです。昔は大勢で一人の老人を支えていたけど、将来的には現役一人で一人の老人を支えることになるというやつです。これだけ見せられたら「そんなこと無理!!」って誰でも騙されます。単純に65歳以上と65歳未満の割合だけの比較ならそうかもしれません。


そもそもなぜ年金制度がつくられたのか。ここを読めば「ものすごく賢い人たちが考えた仕組みなんだな」と素直に感じます。テレビドラマなどを観れば分かりますが、昔は大黒柱である長男が両親の面倒を見ていたのです。よって、主な稼ぎ頭が一家全員を養っていたのです。つまり、現役一人で二人の老人も支える構図です。

核家族化が進むと長男が親の面倒をみるということが不可能になってきて、社会全体で面倒を見ようというのが年金制度です。

「昔の人は年金をあまり払っていない」と言い分に関しても、あまり払っていない世代の人たちは年金を貰っていない自分の親の面倒をみていたとなるため、不公平ではないとなります。ただ、引っかかる点はあります。親の面倒を長男(長女)に全て押し付けた他の兄弟、姉妹はどうなんだ。昔は親の面倒をみてきた人が全て相続することになっていたので、もめごとはおきなかったらしいのですが、相続の制度が変えられたことで、親の面倒をみなかった兄弟(姉妹)が権利だけキッチリ主張するという相続トラブルが結構多いようです。


「1人の就業者が何人の非就業者を養っているのか」がよく分かる解説です。要するに昔は働きに出なかった人たちが今は働くようになっているので、割り合いはあまり変わっていないということです。パッと見、老人の人数が増えているのになぜ?と思えますが、非就業者とは老人に限定していません。子沢山で専業主婦の家庭から、少子化および共稼ぎの家庭にシフトしていき、さらに会社員の定年が55歳から60歳、65歳に高まり、65歳過ぎても働く人が増えています。


最近よく見かけるキーワード「富の再分配」も既に年金制度では導入されています。専業主婦家庭の手取り収入と将来貰える年金の比較です。保険料を2倍収めているのにも関わらず、貰える年金は25.7%多いだけです。手取り17.9万円のBさん家庭が貰う年金が17.5万円というのは割りが良すぎるので制度としてどうなのとは思いますが。


終盤は投資の専門家らしい老後資金に関する解説です。ここは大江氏の他の書籍のスーパーダイジェストになるので、もう少し知りたければ大江氏の書籍を買いましょう。



関連エントリー