「岸田ビジョン 分断から協調へ」は総裁選に合わせて急きょ出版された書籍ですが、中身は2020年9月出版された同名の書籍の改訂版です。昨年10月に買って読まずに放置していましたが、岸田政権になってから日本株の調子が悪いのでようやく読んでみました。
新総理の人物像と政権構想のすべてがここにある。コロナ禍を克服、経済成長と適切な分配の好循環をもたらす、「聞く力」の政治。
第1章 分断から協調へ
第2章 ヒロシマから世界へ
第3章 「信頼」に基づく外交
第4章 人間・岸田文雄
第5章 「正姿勢」の政治
第6章 闘う宏池会
改訂版で付け足されたのか「株で得た利益」に関する増税のことを触れていますが、本人が株に興味がないようで、たぶん全く分かっていません。外野から「株で儲けている金持ちの税金増やせ」と言われているだけです。最近「株主より社員を優遇せよ」が独り歩きしているような気がしますが、株式会社が全て上場していると思っているのでしょうか。そこから勉強した方が良いですよ。
そもそも「老後資金」の件をさんざん煽っておいて、老後のために資産運用してみようと株を買った人が大損するように仕向けていることはおかしいです。さらに年金制度を破綻させないための一つの政策が年金積立金の資産運用ですが、そこにも「株」が関係しています。株価が暴落すれば年金のための資産が減ります。
株のことを知らない人が日本のトップですから、株のことを知らない人にウケるような発言が続くわけです。
さて、書籍の内容ですが…
第1章 分断から協調へ
どこかの学校の先生が広く浅くあれこれ話をしているだけという感じを受けます。ここに「自分はこうしたい」、「自分ならこうします」、「日本はこれからこうすべき」といったメッセージはありません。
第2章 ヒロシマから世界へ
地元で活躍したお話です。
第3章 「信頼」に基づく外交
自慢話なんだろうかと思えました。
第4章 人間・岸田文雄
生い立ちです。
第5章 「正姿勢」の政治
選挙の裏話とか当選した後の苦労話とか。
第6章 闘う宏池会
党内の覇権争いの暴露話です。
正直言って誰に向けて書いた本なのかさっぱり分かりませんでした。支持者たちに無料で配る本なのでしょうか。
中小企業の創業者クラスの人の回顧録みたいな書籍「中経マイウェイ新書」というシリーズがあるのですが、なんとなくそれに近い立ち位置にあるのが「岸田ビジョン 分断から協調へ」なのかもしれません。政策に関する書籍を書いてください。
「皆が貧乏になれば誰も貧乏だとは思わない」思考の森永卓郎氏に似た考えを岸田総理が持っているとしたら、あの民主党政権時代のような停滞期に戻ってしまいますね。