ロードスター、ベリーサ、フィールダー、アクア

「どうせ二台買うのなら、一台は実用車、もう一台は遊べる車を選びたい」という思いを持ったことから今回の悩み事が始まったわけです。

車そのものの選択肢は必ずしも多いわけではありませんが、「2台の組み合わせ」に悩む日々です。逆に「組み合わせ」で考えなければ悩むことはないともいえます。

ブロンプトンを積むことができない車は殆どありません。国産車に限定すれば、ブロンプトンすら積むことができない車はS660くらいでしょうか。もともとS660は選択肢にないため、問題になりません。

そもそも「これだ!」と直感で欲しいと思えた車が無いことが、根本的な原因であるわけですが…

嫁さんの車を先に決めてしまえば、私の車の候補は絞られてきますが、この先10年以上も乗る車を妥協で買うのは後悔しそうです。ゆえに、揺れに揺れまくっているわけです。

自転車NG期間は暇を持て余すので、嫁さんの車の最有力候補であるベリーサの実車を確かめにマツダのディーラーへ行くことにしました。


ディーラーの店頭前の一等地には試乗用のロードスターが置いてあり、店内の一等地にもロードスターが置いてあります。

今の時期にマツダの車を見に来る客はロードスター目当てでしょうし、話題性のある車ですからセールス的にはそれかもしれませんが、ちょっと違うんじゃないかなというのが私の感想。


このディーラーは客が来店しても完全放置と言う珍しい店舗です。ロードスターをじっくり見ていた客がいたので違う車をあれこれ見て回り、ロードスターが空いたので運転席に座ったり、トランクをチェックしたり、結構な時間を掛けて眺めていても完全放置状態。

ロードスターのシート位置があまりにも低いため「どっこいしょ」になってしまいます。頻繁に乗り降りすることは無い車ですが、腰を痛めそうです。間違いなく年寄りにはムリです。


今日は荷物の積載量を確認することが本来の目的ですので、片っ端から展示されている車の後部座席を倒して、メジャーで実寸チェック。フレアワゴン、デミオ、CX-3ともにロードバイクを積めそうですが、CX-3に収納するのは苦労しそうです。デミオも奥行きは十分ですが、こちらも荷物の出し入れに苦労しそう。フレアワゴンは100点満点です。

「フレアワゴンで良いんじゃないの」と珍しく嫁さんと意見が一致。しかし、実用車の位置づけを軽自動車にしてしまうと、「4人乗車で遠出」に難ありです。だからと言って私が日常的に使うにはストレスが溜まりそうです。フレアワゴンでは良い組み合わせを思いつきません。

店内に30分以上いても放置状態は変わらず、カウンター内の人たちは何やら忙しそうで声をかけにくい。試乗車の移動をしていた気が優しそうな人を捕まえて、ベリーサの試乗をしたいことを申し出ると、生産台数が非常に少なく、ニッチな車だけに展示車も試乗車も殆どないらしい。少し前までは社員が乗っていて、今まではお客さんにはそれを見てもらっていたが、デミオに買い換えてしまったとのこと。

それは残念。。。と諦めかけた時、他の店舗にベリーサがあるのか確認してもらえることに。

偶然すぎることもあるもので、たまたま他の店舗と試乗車をトレードすることになっていて、ベリーサがこの店舗にやってくるらしく、それも“今”移動中。そんなことがあるんだ。

と、しばし待っていると綺麗なベリーサが到着。2世代前のデミオがベースになっているプレミアムカーという位置づけのベリーサ。そう、2世代前というのは嫁さんのデミオそのものです。発売開始から11年も経っている設計が古い車です。「SKYACTIV TECHNOLOGY」などというものが無かった時代の車です。

なぜベリーサが貴重な車になっているのかは、最近のマツダの車を改めて見ると分かります。好き嫌いが分かれる極端なデザインなのです。「マツダの車が好きだけど、今のマツダのデザインは嫌い」という人が少なからずいるため、生産中止になるはずだったベリーサを継続販売するしかないのです。「今のマツダのデザインは嫌い」と言っているのは殆どが女性だそうです。よってベリーサを購入しているのは女性です。

デミオがフルモデルチェンジして、売れに売れまくってセールス的には大成功という状態の陰には「このデミオはないな」というデミオユーザがいたわけで、その人たちが目を付けたのが11年前の車であるベリーサ。今まではデミオに比べて割高すぎると敬遠されてきたベリーサですが、ようやく日の目を見るときがきたという雰囲気。


今見ても古さを感じない落ち着きがあるデザイン。 ※マツダのサイトから写真を拝借

シートに座ってみると何となく落ち着き感があります。11年間、インテリア類が多少変更されただけで基本スペックは何も変わっていません。つまり、今風のものはいっさいありません。極端な話、11年前に買ったデミオが新品になっただけです。

走り出しみると、変なクセが全くなく極めて自然な走りをします。単純にデミオのエンジンが1300ccから1500ccに排気量アップしたイメージ。しかし、僅か200ccアップとはいえ、トルクが十分にあるため、3名乗車でも結構走ります。もともと期待していなかったゆえにマイナス点になりません。オーリスの時は「最近の1500ccは走るよ」と言われて試乗して「どこが?」と感じたためマイナス点になりましたが。。。

ぐるっと試乗コースを終えての感想は「可もなく不可もなく極めて普通」です。昔のエンジンは素直で、単純にエンジンパワーと走りは一致します。1300ccでトルク不足を感じるようなシーンでも1500ccなら上積みを感じます。今風の「省エネチューン」がされていない証拠。

荷物がどれくらい積めるのかですが、ベリーサはデミオより積めそうです。

ベリーサを改めて眺めてみると、デザインもデミオに似ています。何かベースになっているデザインをずんぐりむっくりさせたのがデミオで、スリムにしたのがベリーサ。そんな感じです。

2世代前のデミオからの乗り換えなら、「今からこの車ね」と言われてもスムーズに乗ることができると思います。

ということで、嫁さんの車はベリーサにほぼ決まりでしょうか。検討すべき点は今どきの安全装備が何もないということです。

セールスから「ロードスターもどうですか」と試乗を促され、どうしようかな躊躇していると「乗ってみれば」と嫁さんが背中を押す。

「絶対楽しいのに決まっているよね」「ベリーサの後だけに」ってワクワクしながら、スタート。

「あれ?」「あれれ?」「山を走らないと分からないよね~」「うーん」「そうなの」「それじゃこれは」…

で、ディーラーに戻って一言「普通すぎる」。

見た目は良いけど、実際に走らせると、面白くないし楽しくない。街中だからそう思うのかもしれないけど…

セールス曰く「試乗する人たちに『踏んでも良いですか?』と言われてダメとは言えないのですが、遠慮なく踏まれると焦ります」だそうですが、なんとなくやりとりがよく分かります。ロードスターって踏まないと走りません。

なんというか、踏み込んでもエンジンがフラットトルクで重く回るので“グワン!”という加速感が無い。新車で当たりが出ていないだけなのかもしれませんが、もう少し軽く回るイメージをしていただけにガッカリ度が高い。

アルテッツァだと「ウゲッ!ウン?ウワッ!」という感じ。あくまでも個人的な意見ですが、クセがある方が面白いです。アルテッツァの場合はベタ踏みなどしなくてもグワッって回っていくので、アクセルコントロールがしやすい。

セールスもロードスターは1500ccで十分って言っていましたが、あれはハズレですよ。いくら車体が軽くてもトルクが足りな過ぎ。アクセルをグッと踏まなきゃダメなスポーツカーってどうなんでしょう。

ということで、嫁さんの思惑通り「想い出づくりのための試乗」になりました。ロードスターを試乗すれば諦めるだろうと予想した嫁さん。。。

山を走り回るのでなければロードスターは無いです。どうせ不便ならコペンが良いです。コペンは面白い。


本屋でこんなものを購入して、他の選択肢が無いのか調査。そのことで返って悩みが増えてしまったわけですが。


ついでに近所のカローラ店に立ち寄ってカタログを貰いました。こちらはさすがトヨタのディーラーらしく、駐車場に停めたタイミングで「御用をお聞きします」と若いセールスが近づいてきました。「○○と○○のカタログをください」と話すと、さっさとカタログを用意してくれます。なんと素早い。。。車の説明が必要かどうかとか担当セールが誰なのかとか、まあ忙しいです。この店舗には初めてきたのですが、某店舗に25年くらい前にいたセールスがこちらに転勤になっていることを親父から聞いていたので、その人の名前を出すと、「呼んできます」って。では挨拶だけでもという展開に。あかん忙しすぎる。

で、現れたAさんは、新人の頃の面影が全くなく、貫録ありありです。うちの親父はこの店舗でAさんから車を買っているので、親父の名前を出したことで、Aさんも私のことを分かったのでしょうが、ぶらっと来て鉢合わせになってもお互いに誰なのか分からなかったはず。

カタログだけ貰って帰るはずが、Aさんのノリが良いので試乗をさせてもらうことに。


カローラフィールダー ※トヨタのサイトから写真を拝借

これまた偶然なのか、珍しいことにフィールダーの1800ccの試乗車が置いてある。オーリスの1500ccを試乗した時に「1800ccなら山道も大丈夫です」とセールスが力説していたので、このタイミングで1800ccがどの程度のものなのか判断できるので運が良い。

さすがに山道まで行くには遠いため、ほぼ平坦区間をぐるっと周るだけですが、1箇所だけ結構な上り区間があります。「3名乗車でこのくらい走れば十分なのかな?」という印象。ただ、1800ccでもこの程度なのかというガッガリ感はあります。

荷物もたくさん積めて、4名乗車でも普通に走る分には問題なく、今どきの安全装備はフルに搭載されているため、「実用車」として考えれば100点満点です。しかし、ベリーサとフィールダーの組み合わせは無いです。実用車を2台も買う必要はありません。ハスラーとフィールダーの組み合わせなら大いに考えられます。

ベリーサの対抗馬で検討していたラクティスの試乗車は残念ながら置いてなく、代わりに提案されたのが…


G’s AQUA ※トヨタのサイトから写真を拝借

「ハイブリッドは嫌いです」という私に「試しにどうですか。カッコ良いでしょ」とAさん。確かにG’sのアクアは見た目が良い。こういう機会が無ければ乗ることはないだろうから、ついでに試乗。G’sだと、さすがに足回りの固さを感じます。これなら山道を走っても大丈夫かもしれません。

以前、プリウスに乗った時に感じた気持ち悪さがありません。3名乗車だから早い段階からエンジンパワーに頼るからでしょうか。しかし、上り区間でアクセルを踏み込むとエンジンがうなる割には進まない。「モーター + 1500ccのエンジン」というわけじゃないのか。平坦区間で速度を落とすとモーターだけで走っている感じ。

うーんなんだかな。要するに負荷が掛かっていないとモーター、負荷が掛かるとエンジンというわけですか。「モーター + エンジン」でハイパワーというわけではない。1500ccのエンジンがこれまた低パワー型だからちっとも走らない。2名乗車で街中を走るだけなら燃費が非常に良い車ということのようで。

収穫があったのか無かったのか分からない試乗でした。

改めて思ったことは車に対して「面白い」「楽しい」を求める人は非常に少なくなり、その少ない人たちも家族のために諦めていることが多いのではないのか。アクアが売れまくっている現実を見ると「今の世の中そういうもの」と落胆させられます。「面白い」「楽しい」以外に何もないコペンはアクアと対極にある車なのかもしれません。コペンに「走り」と「少しばかりの実用性」を足すと86になりますが。

おまけ


蓮の花も今年は早いようです。



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