さよなら愛犬ココ

昼の休憩時間に携帯電話が鳴る。

いつもなら、私の席は電波の届きが悪くて携帯電話が使える状態ではないのに…

携帯電話のディスプレイを見ると、妻からの電話である。

私「もしもし」

妻「ココが死んじゃった(泣)」

私「えっ(絶句)」

妻「さっき、病院から電話があった。急変だって(泣)」

私「昨日は少し元気そうだったのに…」

2006年7月29日

今日、愛犬ココの調子が悪いらしい。
食欲が無くて下痢に血便状態。
昨夜までそんな気配は無かったのに。

2006年7月30日

妻が寝ずに様子を見ていたが、ココは一晩中寝れなかったらしい。
私と娘は出かける予定を中止しようかとしたが、妻が一人で病院へ連れて行くとのこと。
昼、出先に妻からの電話。

入院して緊急手術することになった…

面会時間が夕方5時からになっているため、夕方まで待つ。

ココと面会すると、なんだか目の様子が変?

担当医の説明によると「子宮蓄膿症」が発症していたため緊急手術で子宮を全摘出したとのこと。
取り出したものを見せてくれたが、まるでスプラッタの世界。
担当医曰く「出術は成功。4,5日後には元気に退院できます。」

担当医の話しぶりからするとそれほど深刻なものではないような雰囲気であった。

2006年7月31日

ココは疲れている様子であるが、顔つきは随分良くなった。

担当医曰く「この子、餌を全然食べないんですよ。工夫はしているんですけど」
私たち「結構頑固な子で、いつものは散歩を行く直前にしか食べませんし、気に入らないものは絶対食べません」
担当医曰く「そうですか。餌を食べて元気になれば退院ですからね」

担当医の「大丈夫です!」を信じて帰宅。

2006年8月1日

ココはかなり疲れている様子である。
エリザベスカラーをしているため、まともに寝れないのでは?
食事をとっているのであろうか?

病院スタッフは面倒をしっかり見ていると言っているが…

2006年8月2日

今日はココの餌を持っていくことにした。

檻(?)の扉を開けると、迎いに来てもらえたと思ったのか檻から出ようとする。
病院スタッフ(?)から出さないように注意を受けているため、ココを檻から出ないように話しかける。

ココは人の言うことを聞く良い犬である。

好物のササミを食べ始めたが、いっしょに持っていったドッグフードの匂いが嫌いなのか、ササミをほんの少し食べただけで拒否。

予定では明日の退院である。
帰る私たちを寂しそうに見送るココ。

2006年8月3日

夕方、携帯が鳴る。妻からである。

「病院から重要な話があると連絡があった」

慌てて帰宅して、妻といっしょに病院へ向かう。
どう考えてもココはまともに食事をとっていないため、今夜はココのおやつを一通り全て持っていくことにした。

檻(?)の扉を開けると、ココは待っていたかのように体を半分外に出した。
明らかに「おうちに帰りたい!」という訴えている雰囲気である。

持ってきたココのおやつを一通り口元に差し出すが、なかなか食べない。
散歩の時にあげるビスケットを差し出すと、ようやく食べだした。
“ようやくありついた食事”の如くガツガツ食べるココ。
やはりまともに食事をとっていなかったようだ。

獣医から「重要な話」の説明があった。
(先日の担当医との別の人)
出術は成功していて“通常”なら体力の回復次第に退院できるのだが、ココは白血球減少に加えて赤血球が破壊される症状が出ているらしい。
今夜から薬を使って様子を見るとのこと。落ち着けば3日後には退院だそうだ。

ビスケットを食べた件を話したところ、逆に驚かれた。
やはり全く餌を食べていなくて、今夜から鼻から管を入れて流動食を与えることにしていたそうだ。
とにかく今は何でも良いから食べさせることが重要(そりゃそうでしょうに)。
ココが唯一食べたビスケットを、与えてもらう餌として病院に預けて今日のところは引き上げた。

明日、ココの好物を沢山差し入れしようね。
月曜日には退院だね。
重要な話なんていうからどうなるのかと思ったよ。

とココが戻ってくる日を楽しみに帰宅。

2006年8月4日

昼の休憩時間に携帯電話が鳴る。

私「もしもし」

妻「ココが死んじゃった(泣)」

私「えっ(絶句)」

妻「さっき病院から電話があった。急変だって(泣)」

私「昨日は少し元気そうだったのに…」

妻「今朝、吐血して、手当てしてもダメだったんだって(泣)」

私「大丈夫って言っていたのに…」

私は早退して帰宅。

家に入り、ココの餌箱を見た途端、涙が止まらない。

暫くして娘が帰宅。ココの事を話すと号泣。

夕方、妻が仕事から帰宅。(泣きながら)

3人でココを迎いに行くが…

白い箱に入れられた哀れなココの姿を見た途端、涙がボロボロ流れ落ちる。

あれほど帰りたがっていたココ。

元気になれば帰れるからと病院に預けていたが、こんなことになるとは。

「大丈夫」と言われていたのに…

もう涙が止まりません。

ココといっしょに無言の帰宅。

ココの一番のお気に入りだった場所を見るとココの姿が浮かんでくる。

ココが元気だった頃の姿を思い出すと再び涙が止まりません。

2006年8月5日

動物火葬場でココとお別れ。

もう精神的には落ち着いているつもりであったが、お経を聞いている間、涙が止まりません。

火葬の間、今度は後悔のためか悔しくて悔しくて涙が止まりません。

こんなことになるのなら「出術」の後に連れて帰りたかった。

ココは帰りたがっていた。毎日いつ迎えに来てくれるのか、それだけを考えて待ってくれていた。

入院4日目には「迎いに来てくれたんだ」という表情で私たちを見ていた。

入院5日目には「今日は絶対帰るんだ」という弱々しい体で檻から出ようとしていた。

もし“回復の見込み無し”と言ってくれていたら、その時が来るまでずっといっしょにいたかった。

動物病院で一人寂しく最期を迎えたココ。寂しかっただろうに。

こめんねココ。

今までありがとうココ。

さようなら、愛しきココ。


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