日本一周補完計画「萩~出雲」苦行の道

遠征の4日目と5日目で「萩~出雲」を走りますが、日本一周の時に“あえて”外した区間になります。「日本一周補完計画」の枠組みに入りますが、改めて地図を眺めても楽しさを想像できません。よって「何もない」を自分の目と足で確認するためのサイクリングとなります。

二日分を1本にまとめます。

遠征四日目


雰囲気がある旅館ですが何故か夕食付きプランがありません。朝食も手間を必要とするのは鮭を焼くことでしょうか。なぜ人手を掛けることができないのかは、チェックインの時に分かりました。部屋数が多く、観光客を大勢受け入れている割に全て一人で切り盛りしているからです。


この手の旅館が繁盛していた時代は仲居さんを大勢雇って活気があったのでしょうが、時代が変わり、観光客が旅館ではなくホテルを選ぶようになると、経営が厳しくなります。コストダウンの最終段階は「オーナーが独りで切り盛りする」となります。今の時代に合うようにリフォームする金銭的な余裕も無さそうですから、このまま宿が取れなかった観光客のための受け皿として営業していくのかもしれません。

古い旅館に宿泊する人は耳栓を持参しましょう。


7時30分過ぎに宿を出発しましたが、昨日から続くアップダウンは終わりそうもありません。景色が殆ど変わらないことも疲れる理由の一つですが、ちょっとした上りが非常にきつく感じるのは、やはり寝不足が原因です。22時から2時までは完全熟睡タイムですから、その時間帯に眠れなかったのは辛いです。

呆れるほど何もない道が続きます。平坦ならまだ許せますが、アップダウンアップダウンアップダウンのようにエンドレスです。


「観光客は来ないだろう」と思える場所にある「西堂寺六角堂」

木造で一面4.26m、高さ11mの六角円堂であり、一重の裳階(もこし)付き、屋根は宝形造りで本瓦葺きで江崎湾内の突出した岩上に建っており偉観です。裳階(もこし)や内陣の柱は、すべて六角柱です。大内から毛利の時代にかけて祈願所として世の信仰があつく、海の中の寺「浮島西堂寺」とも呼ばれ、広くその名を知られています。また、この寺の地蔵尊は、使用人との許されぬ恋に落ち海に身を投げた娘の化身として伝えられ「子育て地蔵」と呼ばれています。
http://www.oidemase.or.jp/tourism-information/spots/13908

プチ観光にもなりませんでした。


9時57分、道の駅で「リンゴのソフトクリーム」をいただきます。リンゴの味がするので、リンゴをすりおろして混ぜているのかもしれません。


10時18分、島根県に突入です。そろそろアップダウンが終わることを期待しましたが、全く終わりません。


ひたすら続くアップダウンは脚への負担が大きすぎるため、苦行になってきました。


国道を迂回する県道を走っていたら突然「自動車道」になってしまいました。迂回路の説明はどこにもありません。


生活道路を駆使して海沿いの道に出ましたが、心身ともにダメージが大きく、「何やってんだか」という気分になっています。


13時、道の駅で昼食タイムです。精神的ダメージを回復するにはグルメが必須です。

道の駅の裏手に大げさな撮影機材で何かを待っている大勢のカメラマンがいます。それを眺めながら海鮮丼を食べていると、壁に列車の写真が飾られていることに気が付きました。どうやら、道の駅「ゆうひパーク三隅」は撮り鉄に人気がある撮影ポイントのようです。大勢のカメラマンが何を待っているのか分かりませんが、急いで海鮮丼を食べ終えてカメラマンの列に紛れ込みます。


待つこと数分、豪華寝台列車「瑞風」がやってきました。いっせいにシャッター音が響き渡ります。実は慌てる必要はなく、「瑞風」がここを通るときはものすごくゆっくり進みます。撮り鉄のためのサービスタイムみたいなものでしょうか。


大きな三脚と高そうな機材を使っている人も結構多く、早めにスタンバイして「瑞風」の通過を待っていた人が大勢いるかもしれませんが、ちょっと来てコンデジでちょいちょいでも撮れるものはあまり変わりません。オリジナリティも求めるなら何度も通う必要があるため、たまたま立ち寄った時に「瑞風」を撮る機会があったというのは運が良いかもしれません。


本日の宿まで残り20kmほどのところで小休憩。「ガリガリ君元気ドリンク味」はどうなんでしょうか。食べた感想としては「あり」だと私は思いました。


「ガリガリ君」を狙ってきたのかネコちゃんが寄ってきました。にゃーにゃーと催促するので、「ガリガリ君」を少しあげましたが気に入らなかったようです。

それにしても「萩~出雲」の区間は予想通り何もありません。あるのはアップダウンの道だけです。気分転換で今日もハイキングします。浜田城跡に登る道は自転車で走るのは困難なため押し歩きですが、それすら途中で厳しくなりブロンプトンを放置して本当にハイキングになってしまいます。


浜田城跡からの景色もなかなかのものです。


ここも天守閣跡には何もありません。

古田大膳大夫重治(ふるただいぜんだゆうしげはる)は、元和5年(1619)に徳川頼宣(とくがわよりのぶ)の和歌山転封にともなって、伊勢国(三重県)松坂から浜田に国替となった。所領は、那賀・美濃・邑智郡と丹波国船井郡内(京都府)で5万5千余石が与えられた。領内各地を検分の後、現在地に築城することとし、亀の縁起に因(ちな)んで、鴨山(かもやま)を亀山(かめやま)と改めたという。翌年2月から築城にかかり、11月に地普請の大概を終え、元和9年(1623)には城及び城下の諸工事を完了したと伝える。
http://www.city.hamada.shimane.jp/www/contents/1392950863464/

「萩~出雲」の区間にある唯一の観光施設は「島根県立しまね海洋館アクアス」です。ソフトバンクのCMに「島根のおじさま」役で登場するシロイルカが居る水族館です。そのシロイルカのバブルリングを楽しみにしていましたが、シロイルカの水槽が改装工事中で見ることができそうもありません。迷いましたが「島根県立しまね海洋館アクアス」をパスします。

まだ時刻は午後3時。宿に入るには早すぎるため宿の近くにある「石見畳ヶ浦」を観光します。


「石見畳ヶ浦のノジュール」は、へんてこな椅子がずらっと並んでいるように見えます。


地震によって飛び出した岩礁「馬の背」。近くで見るとかなり大きいです。


海食洞

午後4時ごろに宿に入り、まずは洗濯です。待っている間に温泉に入り、そして早めの晩酌。


今回の自転車旅で唯一の宿の夕食です。やっぱり温泉宿なら夕食をゆっくり食べたいですね。
 
千畳コース
・先 付 烏賊和え物
・造 り 鯵たたき カンパチ 白身
・煮 物 鰈煮付け
・洋 皿 烏賊のムース
・強 肴 ケンボロー芙蓉ポークのちゃんちゃん焼
・蒸 物 茶碗蒸し
・ご 飯 白飯
・吸 物 真丈
・香の物 一種
・水菓子 西瓜

ごちそうでした。

夕食後も晩酌していたらいつのまにか寝ていました。

本日の走行距離は109.4km、獲得標高は1129mという少な目でしたが、ひたすらアップダウンが続く道をブロンプトンで走るのはとても疲れます。

走行マップ

20171009萩~浜田

遠征五日目

今回の自転車旅の最終ゴールとなる出雲空港を目指して走りますが、飛行機を使う場合は「遅れ」が許されません。出雲空港の近くの温泉に入るため、そこまでのグロスアベレージは15km/hが絶体条件になります。シミュレーションでは8時スタートで15時ゴールになるはずが、上手くいくのでしょうか。


宿の朝食は「基本セット+バイキング」です。和食の部分が基本セットで足りない人はバイキングメニューを好きなだけ食べてくださいという方式です。写真に写っていませんが、完食後にパンを3個追加しました。よって完全に二人分の量です。

宿を8時少し前に出発。まだアップダウンが続きますが、昨日までと違って今日は平日です。通勤車両が非常に多いのは仕方がないとしても大型車が予想以上に多いです。道幅がそれほど広くないため、愛知県並みにすれすれで追い抜かれる頻度が高く「もう嫌だ!」と何度も心の中で叫びますが、その手の大型車のナンバーは島根ではありません。なぜその県の大型車がここを走る?と疑問に思えてきます。

すれすれで追い抜かれるといっても「速度を落とさずに強引に追い抜く」という愛知県のようなことはないため安全性は確保されています。ブロンプトンに取り付けてあるバックミラーを常に確認しながら、大型車が後ろに来たら追い抜きされやすいように配慮すれば大丈夫です。この5日間で一度も大型車にクラクションを鳴らされていません。


そろそろ疲労のピークが来ています。ちょっとした上りでもインナーローを使って時速8km前後でのろのろと進みます。※私のブロンプトンのフロントギアは「50/34T」です


海沿いの道を走っているはずなのに何故かずっと山の中を走っています。宿から47km走って、ようやく海に出ました。和田珍味本店の横の駐車スペースからの眺めもなかなかのもので、遠くに見えるのが「神島」です。


「国土交通省認証『とるぱ』で全国ランキング1位をいただいた絶景」を眺めながら「和田珍味本店」の「フグの骨せんべいが付いたソフトクリーム」をいただきます。通常のソフトクリームとの差額は50円ですので、それが「フグの骨せんべい」の価格になります。


ここまで立ち寄りポイントが全くありません。予定より早いペースで来ているため昼食タイムをとります。ちょっと奮発して海鮮親子丼をいただきましたが、朝食二人分の効果が大きくて、ご飯を残してしまいました。


食後は道の駅からの景色を眺めて胃袋が落ち着くのを待ちます。


道の駅から先は少し遠回りになりますが国道を離脱できるコースを設定しました。海沿い、川沿いに“まったり”“ゆっくり”とサイクリングできるはずです。


ゴールまで残り30kmでようやくサイクリングらしい雰囲気になって気持ちも落ち着いてきました。この堤防道路は車とバイクの通行が禁止されているため、とても気持ちよく走ることができます。


堤防道路のゴール間際になるとなぜか水が無い川になっています。この先に進めば理由は分かります。

思いのほか順調に来ているため、たまたま通り道にあった施設に立ち寄ってみることにしました。


西谷墳墓群史跡公園です。写真は何もないように見える1号墓です。


こちらの2号墓の中には展示室があって無料で見ることができます。時間調整に立ち寄るにちょうど良い規模の施設でした。


午後2時40分、湯の川温泉に到着しました。予定より20分早くゴールしました。


平日の昼間ですから利用客は私一人だったこともあって「このままここに宿泊したい」と思えるほどのんびり温泉を楽しみました。


15時34分、最終ゴールの出雲空港に到着です。まだチェックインには早いため空港の奥に行ってみますか。宍道湖が見えたらラッキーかな。

出雲空港には大きな公園が隣接されていて、方角的に飛行機の離着陸を見ることができそうです。

フライトスケジュールを確認すると16時に離陸、16時10分に着陸のシーンを見られそうです。

ということであれこれ構図を妄想しながらしばし待ちます。


16時の離陸です。大きさが予想できなかったため少し引きでの撮影になっています。これを踏まえて16時10分の着陸を待ちますが、16時15分になっても飛行機がやってきません。遅延情報を確認すると16時35分になっているため諦めて空港に戻ります。

飛行機輪行の準備をしていると、何やら観光バスらしきものが背後に停まってぞろぞろと大勢の観光客が降りてきます。出雲空港発着で団体客を扱える便があるんだろうか?

などと考えながらチェックインカウンターに向かうと、なんと団体客で長蛇の列ができています。いつもFDAなら5分もあれば余裕ですが、予定外のできごとです。どうやら富山直通のチャーター便を使う団体客の様で最悪なのは名古屋小牧行きはそれより少し前に飛び立ちます。

チェックインカウンターで手続きを終えるまでに20分以上要して、急いで土産を買うもレジで待たされ、さらにゲートでも待たされ、最後に飲み物を買う時もレジで待たされます。私の前のシニアさんが1円玉を出して清算しようとしてなかなか終わりません。搭乗開始の案内が流れ焦るばかり。。。


最後はバタバタとしましたが、4泊5日の自転車旅を終えて愛知に戻ります。

本日の走行距離は110km、獲得標高は1037mでした。


浜田~出雲

時間通りに名古屋小牧空港に戻るといつもより早くブロンプトンを受け取ることができ、終わりよければ全て良しかなと思ったものです。

通勤通学の列車ではなく自家用車で自宅に戻るだけですから気楽です。デミオDを走らすと往路の時と同じように空港周辺が渋滞しています。ここを過ぎればあとは順調という考えはあまく、広範囲で渋滞しています。集中工事している東名高速を使うことはできません。空港から10km進むのに1時間要して、自宅まで約36kmで1時間50分も掛かり20時20分着。公共交通機関を順調に乗り継げた場合は20時に帰宅できたはずですので、微妙なタイム差でした。

予想していた『「萩~出雲」の区間は何もない』はその通りでした。これっといった立ち寄りポイントは無く、交通量が多く、アップダウンがひたすら続く「萩~出雲」の区間を自転車で再度走ることは100%ありません。

FDA 25000円
高速+駐車場 2870円
飲食 14070円
宿泊費+洗濯 26600円
その他 3280円
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合計 71820円



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