2018年4月4日
貨物船のようなフェリーでは船内で何もすることが無く、居場所も限定されるため、暇を持て余します。「朝は、まだか、まだか」と6時ごろから日の出を待ちますが、縦長な種子島の向こうの雲に太陽が隠れています。フェリーは速度が遅いためいつまでたっても種子島の横を通っている雰囲気がします。待つこと20分、ようやく太陽が眩しく現れ、今日も晴天になりそうです。
「フェリー はいびすかす」は外観も内装もフェリーというより貨物船です。「まるまる1日使える」ことを重要視したい人にお勧めです。他の移動手段では到着時間が中途半端になります。
自転車超初心者のH君とはここで分かれ、私は反時計回り(約80km)、H君は時計回り(約20km)で宿に向かいます。レンタサイクルは嫌、ミニバイクも嫌、バス代もったいないetc、で約3万円の折り畳み自転車を購入したH君ですが、全く試走すらせずに持ってきたため、鹿児島空港から谷山港という短い区間を走っただけで「もう自転車は嫌!」になっています。特に鹿児島中央駅から谷山港までの約14kmの区間に1時間30分以上掛かったので、彼が反時計回り(約80km)するには途中で宿泊が必要になります。
ひたすら走るのも面白みに欠けるため「志戸子ガジュマル園」に立ち寄ってみましたが、開園時間まで40分待つ必要があります。どうしても見たいわけでもないため、さっさと離脱。
この辺りは前回も走っていますが「こんなにきつかったかなぁ~」の連続です。2010年から2014年の期間は我ながら呆れるほど走っていたので、今とは脚力も持久力も違うのかもしれません。島の周回道路なのに山奥の道路を走っているような雰囲気が漂います。
東シナ海展望所
海が見えても高台であり、町まで下ってもすぐに上り返します。とにかく平坦区間が殆どないためブロンプトンでは非常に厳しい道です。
まだ4月の上旬ですが、すでに藤の花が満開になっています。全般的に今年の花は咲くのが早すぎます。
いなか浜
前回はソフトバンクでは繋がらなかった永田集落ですが、今は繋がるようになったみたいです。ここから少し進むと林道区間になります。
えっちらおっちらの連続ですが、“山奥の道”ではないため安心感があります。もちろん熊が現れることがないことも一つの要因です。前回は猿でしたが今日はヤクシカに出会える回数が多いです。ブロンプトンで静かに近づいても驚いたように逃げていくので少し寂しい気持ちになります。そんなに慌てて逃げなくてもいいのに。
林道区間もアップダウンの連続ですが、コーナーの先にヤクシカの群れがいる可能性があるため、下り区間も徐行です。
おサルさんが日向ぼっこしながら毛づくろいしています。
またまたヤクシカのファミリーです。
こちらはファミリーから逸れたのか小鹿が1頭のみ。親を呼んでいるのか鳴き声が可愛らしいです。
1時間40分掛かってようやく林道区間を通り抜けました。この林道区間だけはバスが通らないため、島のどっち回りでも路線バスの終点は林道の入り口になります。ハイキングが好きな人は林道区間だけ歩いてみるといいかもしれません。ゆっくり歩いても4時間くらいでしょうか。
「林道を突破すれば島の反対側は平坦だ~」と普通は思うもので、勢いよく下ってもすぐに上りが始まります。海側の景色も殆ど変わりません。
道路の右側が海なら左側は山です。すぐそこから見上げるような山になっています。この地形が「屋久島は雨が多い」になっているようです。
今朝は6時前にコンビニのサンドイッチを二切れしか食べていないため、随分前から空腹との闘いになっていました。食事処を探すのも大変です。遠くから「定食」の幟が見えたので「中間ガジュマル」をくぐった先にある民家のような定食屋さんにピットイン。
つわの花定食
飛び魚の唐揚げ、飛び魚のつけあげ、とこぶしの煮付け、亀の手汁、小鉢、サラダ、ライス、香のもの、フルーツ、コーヒー
これで1200円ですから超お得です。美味しいものをお腹いっぱいいただいて、今日の宿までいっきに走ります。
この巨大な「中間ガジュマル」は連続テレビ小説「まんてん」のロケ地になっていたようです。
まだまだアップダウンが続きます。下りの勢いで上ることができないブロンプトンではペースが悪すぎて、グロスアベレージは12km/h程度です。
残された宿題「ヤクスギランド」へ向かう道に入りましたが「なんじゃこりゃ!」と叫びたくなるほどの急こう配です。諦めて途中から押し歩きです。縄文杉トレッキングのシャトルバスの乗り場もこの先にあり、その下見を兼ねているためとにかく押し歩きします。
ヘトヘトになりながら「屋久杉自然館」に到着。ここでH君に「H君だと宿からずっと押し歩きになるよ」とメールすると「はい、バスで行きますから問題ありません」とすぐに返事がきました。※この後もH君が自転車を使うことが無かったため、わざわざ折り畳み自転車を買う必要があったのかは疑問が残るところです
時刻は午後2時30分、頑張れば「ヤクスギランド」に辿り着くことはできるかもしれませんが、翌日の縄文杉トレッキングのために体力を残しておきます。ということで宿に向かいましたが、宿のインターフォンを押しても反応なし。狭い町ですのでぐるっと周っても15分程度。30分後に、再び宿のインターフォンを押しても反応なし。おかしいな、H君から午前11時ごろに宿に着いたとメールがきたのに。※H君は時計回りの約20kmに4時間近く掛かったらしい
早く風呂に入りたいのに狭い町をあちこちぶらぶらします。桜は既にこのような感じです。例年なら「ちょうど今が満開」だっただけに少し残念です。午後4時、宿のインターフォンを鳴らすが反応なし。なんでだろう。
よく見ると張り紙に「ここへ電話してくれ」のようなことが書かれています。そこはどうやら別の店舗のようです。だったらインターフォン要らないのでは?
狭い町のどこにも見当たらなかったH君は、チェックインできなかったので「別の店舗」へ荷物を全て預けて、バスに乗って観光していたようです。うーん、やっぱり自転車は要らんかったのでは?
夕食は近くの定食屋さんで「黒豚トンカツ定食」を選択。実は昨日も鹿児島市内でも食べましたが、厚みが全く違います。あちらは観光客向けの「とりあえず黒豚トンカツ定食」でしたが、こちら「地元料理あわほ」は食べごたえある「黒豚トンカツ定食」です。これで1200円ならお得です。
食後は「三岳」で乾杯!
※翌日の縄文杉トレッキングは別レポートにします
2018年4月6日
週間天気予報、前日までの天気予報、そして当日の天気予報が変わることなく今日は「雨」になっています。雨雲レーダーをチェックしてみると、雨雲がたどり着くまでに1時間以上あるため、気合を入れて宮之浦港まで走れば雨に濡れることなくゴールできそう。6時45分、安房港の宿をスタート。
「雨が降る日は風向きが違う」は今回は最大限のメリットになって、常に強い追い風です。
追い風アシストに助けられ、あっという間に「屋久島空港」に到着。これで2012年9月のコースに接続できました。ここから先は無理な雨中走行の必要性はゼロですが、まだ降り出しそうもないため自走します。
「ロードバイクなら気持ち良く走らせることができそうだなぁ~」という感じのアップダウンは最後まで続きます。
「海のすぐ近くからこの景色」を見る機会の3度目があるのかどうか。
7時45分、ゴール!
出発の直前まで「フェリー はいびすかす 屋久島 (宮之浦港) 8:10-10:10種子島 (西之表港)」で種子島に行く予定でしたが、種子島を雨中走行したくなかったため、急きょ予定を変更しましたが、結果的にそれは正解でした。H君の脚力ではフェリーに間に合いません。
さて4時間ほど宮之浦港で時間をつぶす必要がありますが、雨が降り出すタイミングが分からないため、“散歩”となります。
この時間から食事ができる場所を探しますが、ようやく見つけたのは8時50分になってから。通りに看板などがないため、運よく見つけることができたという感じです。建物も外観からして営業しているのか分からない店です。
宮之浦港にある観光施設は非常に限られます。土産を買ってから、寂れた感じの「屋久島町歴史民俗資料館」、フェリーでやってきた観光客向けの「屋久島環境文化村センター」を見学して、「益救神社(やくじんじゃ)」を参拝して、フェリー乗り場に戻るとH君を発見。宿からバスで来たそうで。
11時30分ごろに屋久島ラスト飯にします。選んだのは「飛び魚」ですが今回は刺身にしました。歯ごたえは何とも表現しづらい独特なものです。酒のつまみに良いような気がします。
復路はいかにもフェリーという外観の「フェリー屋久島2 宮之浦発13:30-17:40鹿児島着」です。自転車は折り畳んで袋に入れても同額のため、下船後のことを考慮して折り畳まずに乗船します。ただし、乗船できるのが一番最後になるため、混雑時は船内の場所取りで圧倒的に不利になります。今日は乗船客が非常に少ないため、船内はどこも空いています。
強風の影響で30分遅れの入港だったため、そのまま30分遅れでの出港です。このあと、非常に体調不良で苦しむことになるのですが、乗船のアナウンスがあってすぐに建物外の寒い中、ブロンプトンと40分以上待っていたことで風邪をひいたようです。
以上、残された宿題だった屋久島一周サイクリングでした。
走行コース1
走行コース2