上級者にお勧め「健康という病」

健康問題への取り組みもある程度のレベルに達すると趣味の世界になってきます。他の趣味と同様にざっくりと初級、中級、上級クラスに分かれると思いますが、何事も素直な「初級」、悟りの領域に達している「上級」に比べてやっかいなのは「中級」の人たちです。「自分が信じるものが一番正しい」という宗教戦争になるのも「中級」です。そこを乗り越えると「この人は何をつまらんこと言っているんだろう」と冷静になれます。

今の「健康ブーム」はいろいろと面白いです。大勢の医者や専門家がいろんなことを言いあっていますが、相反することを平気で言い放つので、「初級」だと頭が混乱するかもしれません。「中級」だと特定の派閥に絶対的な信頼を持ってそれを信じてしまいます。「上級」ならそれぞれの言い分を自分なりに勉強して本質を理解しようとすることでしょう。そして「なるほどね。でもそれが絶対的な正解じゃないよね」となるはずです。特定の意見を盲目的に信じてしまうことこそが「愚の骨頂」です。

世の中に溢れかえっている健康に関する情報に混乱している老人の戯言みたいな書籍。

健康という病
健康という病 (幻冬舎新書)

健康という病が、いま日本列島を覆っている。メディアに溢れる健康情報は、それぞれ科学的根拠や統計、資料などの専門話を駆使して、いかにも説得力のある気配をもたらしているが問題は、それらがしばしば正反対の意見を主張することだ。そして私たちはついなるほどと納得し、きのうは東、きょうは西と流されてしまう。健康への過剰な不安から右往左往するこの暮らしぶりは、一種の病気と言えまいか―。正しい情報を見つけ出すヘルスリテラシーのすすめから、養生の作法、医療との付き合い方まで、健康ストレスがみるみる解消する新・健康論。

・「健康でありたい病」の私たち
・健康情報とどうつき合うか
・養生するか、病院頼みか
・「身体語」を聴くということ
・健康寿命と老いについて

直木賞など数々の賞を取られた超有名な著者が素人目線で健康問題を語るような内容ですが、上級を越えた仙人の域に達すると初級と紙一重なのだろうかと思えてきます。しかし、初級クラスの人が読むと「結局何もしなくていいのか」と勘違いしてしまいそうです。中級クラスだと一つ一つの事柄にうんちくを語り始めるかもしれません。上級クラスならさらに先があることに気づかされるかもしれません。

この「健康という病」のターゲットはかなり限定されると思いますが、団塊世代で今まで健康問題など意識などしてこなかった人たちは読むべき書籍です。上級クラスの人たちが読めば新しい気づきがあるでしょう。そして中級クラスを脱却したいという人たちが読めば「今まで何を拘っていたんだろう」と思えてくるかもしれません。



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