極論すぎる書籍「炭水化物が人類を滅ぼす」

糖質制限に関することはネットでいくらでも拾うことができます。面白いことに糖質制限の是非でバトル状態。なぜに敵対するのでしょうか。まるで宗教戦争です。

部分的な情報だけでは知識が偏ってしまうため、糖質制限の元締めに近い人の書籍を購入してみました。


炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学 (光文社新書)

インデックスについてはAmazonから拝借します。

はじめに

I やってみてわかった糖質制限の威力

II 糖質制限の基礎知識

III 糖質制限にかかわるさまざまな問題

IV 糖質セイゲニスト、かく語りき

V 糖質制限すると見えてくるもの

(1) 糖質は栄養素なのか?
(2) こんなにおかしな糖尿病治療
(3) 穀物生産と、家畜と、糖質問題
(4) 食事と糖質、労働と糖質の関係

VI 浮かび上がる「食物のカロリー数」をめぐる諸問題

(1) 世にもあやしい「カロリー」という概念
(2) 哺乳類はどのようにエネルギーを得ているのか
(3) 低栄養状態で生きる動物のナゾ
(4) 「母乳と細菌」の鉄壁の関係
(5) 哺乳類はなぜ、哺乳をはじめたのか
(6) 皮膚腺がつないだ命の連鎖

VII ブドウ糖から見えてくる生命体の進化と諸相

(1) ブドウ糖――じつは効率の悪い栄養
(2) エネルギー源の変化は地球の進化とともに

VIII 糖質から見た農耕の起源

(1) 穀物とは何か
(2) 定住生活という大きなハードル
(3) 肉食・雑食から穀物中心の食へ
(4) 穀物栽培への強烈なインセンティブ
(5) 穀物に支配された人間たち

冒頭の「はじめに」「I やってみてわかった糖質制限の威力」だけで何が言いたいのか分かります。素人のブログに書かれていることはこの辺りと同じですので、さくさくと読み進めることができます。

「III 糖質制限にかかわるさまざまな問題」と「IV 糖質セイゲニスト、かく語りき」は惰性で読み、なんとか「V 糖質制限すると見えてくるもの」まで辿り着けば、“糖質制限”の本質が分かってきます。第6章のウシとかパンダの話は豆知識として知っておくのも良いかもしれませんが、このあたりで読むのをギブアップしても全く問題ありません。これ以降は糖質というものを悪役にするための難しい説明がひたすら続くだけです。

読むのが苦痛になってきたため、第7章と第8章は斜め読みしました。真剣に読んだとしても「ふーん」で終わるだけです。

「糖質」がどういうものか歴史を含めて真剣に知りたい人にとっては良い参考書かもしれませんが、「糖質制限ダイエット」に興味がある人にとっては単に難しい話が延々と続くだけです。

ぱっぱーんとざっくりまとめると「炭水化物は肉体労働のために安く手っ取り早くエネルギーを得るためのもの」「悪くいえば貧乏人の食べ物。炭水化物以外でエネルギーを補給すると金が掛かる」となります。まあそうでしょうね。ブルベで400kmとか600km走る時は菓子パンが役に立ちます。コンビニのメロンパンで軽く500kcalも摂取できます。2個食べてもたったの250円です。たんぱく質と脂質で1000kcalも摂取しようとしたらいくら掛かるのでしょうか。

運動している人には、こちらの「Burkeらが推奨するアスリートの糖質摂取」は参考になります。
http://www.wound-treatment.jp/new-data/2015-0105/1.pdf

こちらの挑戦記も参考になります。失敗から学ぶことは多いです。
4kg増!糖質制限ダイエットに失敗…その理由と今後の方針

こちらは「糖質制限さえすれば痩せるでしょ」は間違っていることを誰にでも分かるように解説
糖質制限ダイエットで逆に太った!

「炭水化物さえ食べなければ他のものを好きなだけ食べても良い」なんて真に受けている人がいたらこちらも読んでおきましょう
好きなだけ肉や魚や野菜を食べたら、やっぱり太る

スーパー糖質制限はあくまでも糖尿病患者に有効であって、ダイエット目的なら“普通”の食事から米、パン、麺類を減らせばいいだけです。単純に“普通”が多すぎるだけです。

なぜ「炭水化物を減らせ」なのかは、バランスよく削ってしまうと栄養不足になるからです。身体を動かすためだけのエネルギー源の糖質を減らしても、肉体労働をするわけじゃなければ弊害がないため、糖質を減らせばいい。しかし、糖質はいろんな食べ物に含まれているため、いちいち調べて食べないようにするのは難しい。そこで手っ取り早く炭水化物を減らす。炭水化物を食べなくても糖質は必要十分に摂取できる。というわけです。

スーパーダイジェストにまとめると「炭水化物は肉体労働者の食べ物だ」となります。

どうやら書籍のタイトルが「糖質が人類を滅ぼす」ではなく「炭水化物が人類を滅ぼす」となっているところがポイントのようです。

さて、現在取り組んでいる「自転車ダイエットファイナル」は、「毎日たくさん食べて、毎日20メッツ分の運動をしたらどうなるか」ですが、今のところ順調に進んでいます。しかしながら、じわじわと体重が減っていくため、精神的にきついものがあります。いっきにどーんと減ればいいのでしょうが、逆にそれは間違った方法といえます。(※身体に悪いという意味です)



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