皆川寛子(伊東美咲)が父の借金“3000万円”を背負った理由が『みながわ』復活である。このことはストーリー序盤で明らかにされ、そのひた向きさに弟・勇太郎(森山未來)は少しずつ姉に理解を示すと共に自身の心の成長も果たしていった。
ドラマの内容としては姉・寛子に振り回されながらも成長していく弟・勇太郎が真の主人公みたいな感じがしますが、かえってそれがドラマとして面白くしています。
中盤は少し“中たるみ感”はあったが、6話の「テレビ出演」からいっきにストーリーは突き進む。7話の「望月大地(鶴見辰吾)との『みながわ』復活計画」では弟・勇太郎がついに姉を全面的に受け入れ、8話で死んだと言われていた母・容子(萬田久子)が登場。そして9話では『みながわ』の土地が競売に掛けられるのを阻止するため二人して金銭を工面する。この連続する4話での勇太郎君の活躍は賞賛に値します。やっぱり主人公は勇太郎だよねと誰もが思ったはず。それほどの活躍ぶりでした。
その連続する4話は全て一つ前の話が伏線となっており、最終回に向けて順調に進んでいると思わせておいて、いきなり「『みながわ』を捨てて孤児院を救うことを決意する寛子」となるとは…。
再び姿をくらました母の代わりに孤児院を手伝う寛子であるが、その施設が借金のため閉鎖の危機にあることを知る。偶然にもその金額は自分が『みながわ』のために工面した“300万円”である。悩んだ末、寛子は孤児院に全額寄付することを決意するが、それと同時に『みながわ』の復活は絶望的になる。
ようやく姉を理解できるようになり、二人で『みながわ』の復活をしていくことを決意していた勇太郎は『みながわ』よりも孤児院を選んだ姉に絶望感を抱きに姿を消してしまった。
さてこのドラマは行き着く先はいかに…。
という感じなのですが、いやはや「孤児院を救う」という設定にはムリがあるのでは思います。
仮にここで寛子によって閉鎖を免れたとしても、それは一時的なものでしかなく、再び閉鎖話は持ち上がります。収入が無ければ維持できるわけがありません。つまり“誰かが”とか“どこかが”援助しなければこの孤児院を維持することができない状態にあるわけです。
行政の補助がどうなっているのか知りませんが、その補助金よりも支出が多いのでしょう。もし寛子がこの孤児院の存続を永久的に望むのならば、それを維持するために寛子は寄付を続けるのでしょうか。そのために寛子はキャバクラで働き続けることができるのでしょうか。孤児院が閉鎖になったとしても、そこの子供たちはバラパラになってしまいますが別の孤児院で生活することはできます。公園暮らしの大人のようになることはないのです。一時的な感傷のために弟の夢まで奪ってしまっていいものでしょうか。
あんなことされたら誰でも勇太郎のような気持ちになると思います。
さて『みながわ』復活計画ですが、もっと頭を使った良い方法を思いつかなかったのか不思議です。
ドラマの中の『みながわ』ブラントというものは絶大的なもののようです。
もし『みながわ』ファンが本当に大勢いるのなら、ファンクラブを設立して会員の皆さんに投資してもらえれば全て解決します。3000万円の借金ですので3000人のファンが会員になってくれたら一人一万円の投資でいいのです。
『みながわ』存続運動が起き、奇跡的な復活劇となることを期待します。