今回の道東の旅は勢いで女満別空港往復のチケットをポチッしたため必然的に「女満別空港」が起点になります。
行きのフライトではロードバイクを飛行機輪行している二人組を見かけましたが、二人ともお揃いの頑丈な輪行袋を使っていました。畳んで持ち運びできるタイプの輪行袋ではないため、空港からホテルまでタクシーまたは空港バスで移動して、輪行袋をホテルで預かってもらう必要がありそうです。
万が一に備えるのなら軽量の輪行袋を携帯する必要がありますが、他の荷物といっしょに事前にホテルへ送っておけば何とかなりそうです。女満別空港スタートで旭川空港ゴールなら女満別空港の近くのホテルから旭川空港の近くのホテルへ「頑丈な輪行袋」を宅配便で送っておけばいいので、少し工夫すれば自前のロードバイクで北海道を周遊することも可能ですね。
ただし、4泊とか5泊になるとそれなりに荷物も多いので、ロードバイクで荷物を運搬できるのかという問題はあります。毎日同じジャージを着て毎夜洗濯なのでしょうか。気温の変化が多ければ防寒着も必要ですし、天候不順なら雨対策も必要ですので、無理に荷物を搭載したロードバイクというのは軽快さがなくなるので、ロードバイクである必要性も薄れるかと思います。
ブロンプトンを使う理由は「荷物満載の過酷な旅に使える」「袋に入れて宿に持ち込める」「輪行が簡単」だからです。中でも「荷物満載の過酷な旅に使える」が最も重要です。ブロンプトンを購入した時は「過酷な旅に使う」など考えていませんでしたが、今思えば頑丈なブロンプトンを選んで正解でした。荷物無しの日帰り輪行で観光地巡りなら軽い折り畳み自転車が良いかもしれません。
さて、今回の遠征では日程的に釧路往復が可能ですが、あれこれ欲張ると少し足りない、削ると余ってしまうという微妙な4泊5日です。「女満別空港→釧路→女満別空港」の間に「摩周湖」「阿寒湖」「美幌峠」を入れた場合に考慮すべき点は「走行距離」「獲得標高」「斜度」です。ぐるっと回るコースの場合は時計回りでも反時計回りでも「走行距離」と「獲得標高」は同じです。変わるのは上りと下りの斜度です。極端な例として「勾配5%を10km上って、勾配1%を50km下る」「勾配1%を50km上って、勾配5%を10km下る」ではどちらが良いのかということです。「ブロンプトンの旅」の場合は間違いなく前者です。(※軽装のロードバイクの時でも前者を選びますが)
ということで最後の最後で「釧路→阿寒湖」を「阿寒湖→釧路」に変更しました。「釧路→阿寒湖」で良いのなら「中標津」にも立ち寄れたのですが、ひたすら上りが続く「釧路→阿寒湖」を回避することをギリギリになって選択。
さて、この選択は正解だったのでしょうか。
宿を7時30分ごろに出発。序盤に短いに上りがあるだけで、そこを越えるとひたすら下りです。まるで剛脚になったかと錯覚するほどハイペースで、いつまでもブロンプトンを走らせることができます。
相変わらず「北海道はでっかいどう!」を感じさせてくれる景色です。どこまで走っても景色が変わりません。
途中の道路工事で足止めされましたが、宿から1時間30分で「道の駅 阿寒丹頂の里」に到着。ここまでのアベレージは驚きの28.5km/hでした。逆向きの場合は約40kmも上り続けることになります。
道の駅のある「阿寒町サイクリングターミナル」で「釧路阿寒サイクリングロード」のマップをいただきました。ここのサイクリングターミナルでは宿泊も可能ですが「満室」と書かれていました。日曜日の宿泊でも満室になるようですので、無計画の旅での飛び込みは難しいかもしれません。
事前に「釧路阿寒サイクリングロード」のことは調べてきましたが、どうしても「入り口」が分からなかったのです。その目印になるものを教えていただき、これで迷うことなく「釧路阿寒サイクリングロード」を走破できそうです。
これが見印になる「公園」です。少し手前にGSがあるので、GSを見かけたら通りすぎないように減速します。
そしてここが「釧路阿寒サイクリングロード」の「入り口」です。ここさえ見つけたら迷うことなく釧路市内まで行くことができるはず…
旅の直前にこのような情報を得てしまったため少しばかり気が重いです。
「ランニング中の地域住民がヒグマらしき動物を1頭目撃」「ヒグマの足跡と思われる痕跡を発見」
つまり、この「サイクリングロード」周辺にクマが居る可能性があるということです。国道240号線(まりも国道)にもクマの目撃情報があるため、阿寒湖から釧路の区間は要注意です。
クマ除け代わりに大音響で音楽を鳴らしてサイクリングロードを進みますが、誰にもすれ違うことがないため妙にドキドキします。
10kmほど走ると視界が開けてようやくサイクリングロードらしい雰囲気になってきましたが、それとともに暑さが襲ってきます。北海道とは思えない暑さです。天気予報では雨になっていましたが、真夏の暑さです。
暑さのため途中で3回も休憩を取ってサイクリングロードの終点までやってきました。実はここがゴールと気が付かず、いきなり一般道に出てしまい、自転車道を探すことになったのです。できれば初走行者向けに「ここがゴールです」と大きな看板を設置して欲しいものです。
鶴見橋の丹頂鶴のオブジェを見ると「釧路に来たんだ」と実感します。この新釧路川沿いに南下して、国道38号で釧路駅を目指します。
「普通のバス停を撮って何が面白いのか」となりますが、この「釧路中央郵便局」は、映画「僕等がいた」のロケ地で印象的なシーンで使われています。
「道の駅 阿寒丹頂の里」から約35kmに2時間30分も要して11時30分ごろ釧路駅に到着。「釧路阿寒サイクリングロード」は予想より遥かに時間を要しました。特に前半の“林”の区間は路面状態が悪いため速度が落ちます。結果的に宿から74kmを4時間でしたので、「阿寒湖→釧路」にしたことは大正解でした。逆向きだと阿寒湖の手前で「日が沈む!日が沈む!」と焦っていたかもしれません。
釧路駅の構内もロケ地になっていますが、入場券を買ってまで見たいというマニアではないためパスします。
映画「僕等がいた」を観た人なら「あっ、あの公園か」とすぐに分かる噴水が目印の栄町平和公園です。お洒落した七美が矢野を待つ場所ですが、ある事情で矢野が来れなくなり、好きすぎて我儘全開の発言をする七美の態度には観ていてちょっと引いてしまうのは私がオジサンだからでしょうか。
泉屋本店も「僕等がいた」のロケ地ですが、店内には映画のポスター類が見当たりません。客商売なら使わない手はないのですが何か事情があるのでしょうか。釧路人のソウルフード「スパカツ」をいただきました。普通盛りでも結構な量があって完食するのも一苦労ですが、隣の席の若い人はブログネタにするのか大盛りチャレンジしていました。今の私には大盛りは厳しそうです。3年前ならいけたかもしれませんが。
「スパカツ」が出てくるまで随分待たされ、結構なタイムロスになっているため、ロケ地巡りをどこまでやるのか迷います。
幣舞橋は「僕等がいた」と「ハナミズキ」のロケ地です。
「僕等がいた」で矢野が激走しているシーンはこの辺りでしょうか。
出世坂は「ハナミズキ」のロケ地です。
出世坂を上ったところに「幣舞(ぬさまい)公園」があります。ここからの景色は「僕等がいた」の原作で描かれているようです。
映画「僕等がいた」では「釧路市生涯学習センター(まなぼっと幣舞)」からの眺めが使われたようです。
時刻は12時50分、ここでタイムアップです。
なぜ時間を気にするのか?
それは「くしろ湿原ノロッコ号」を激写するためです。「釧路~塘路」を2往復するため、撮影のチャンスは最大で4回です。既に1回目の時刻は過ぎているため2回目に間に合うのかどうか。
急いで北上すると遠くから汽笛が聞こえます。路肩に停めてウエストバッグからデジカメを取り出し、適当にフレーミング。カシャ!
なんとか1枚だけ撮ることができましたが、なんだかカッコ悪いです。往復運行とはいえ、車両の向きは変えないため、見た目はバック走行になりますね。ということは、釧路に戻って再び13時35分に発車する時が狙い目ですが街中で撮っても面白くありません。事前に地図を眺めて目星をつけた撮影ポイントへ向かいますが、時間が気になるため全開でブロンプトンを走らせます。
目的の場所には13時30分に到着。どのように通過するのか妄想しながら「くしろ湿原ノロッコ号」が来るのを待ちます。
待つこと約20分。ついにやってきました。1発勝負ですからひたすら連写です。うーん、イメージとは違いましたが仕方ありませんね。
本日の最後の立ち寄りポイントは、2014年の遠征で立ち寄る予定だった「細岡展望台」です。「行きたかったのに行けなかった」という場合は期待値が当初より高まり「ようやくあの絶景を眺めることができるぞ」となります。
幹線道路から外れて細岡展望台まで往復すると約14kmありますが、展望台でゆっくりしても所要時間は1時間あれば十分という見込みでした。しかし、細岡展望台まで残り2km地点からダートです。荷物満載で無理に走るとパンクするので押し歩きです。汗だくで上りのダートを押し歩いていると、観光客の車がエアコンを効かせて涼しそうに追い抜いていきます。一台くらい「乗っていく?」って言ってくれる人はいないのか。あー寂しい。
ヘトヘトになりながら細岡展望台に到着しましたが、もうなんだかどうでもいいやという気分で何も感動がありません。
楽な方法(車や列車)で夕暮れ時に訪問すると非常に感動する景色に出会えるのかもしれませんが、日差しが強い中を滝汗の疲労困憊では感動する余裕もありません。とりあえず「細岡展望台に行ったことがある」という経験値は手に入れました。
細岡ビジターズラウンジでドリンク休憩してから再びダートを押し歩きすると、再び汽笛が鳴り響き「くしろ湿原ノロッコ号」が通り過ぎていきました。あいにく茂みが間にあったため撮影はできず。
道東は100km走っても200km走っても景色が変わらないためもう飽きてきました。精神的に疲れを感じていると「もしかしてブロンプトン?」って叫ぶ人とすれ違いました。佐多岬から宗谷岬まで走って現在は南下中だそうです。そのシニアさんの愛車もブロンプトンで、荷物満載です。ブロンプトンの旅をしていて初めて出会った「ブロンプトンの旅人」です。私よりかなり年配の雰囲気でしたので定年退職後の趣味かもしれませんが、その年になってから「ブロンプトンで一括日本一周」はすごいことです。“一括”なら輪行しないのでブロンプトンである必要はないと思いますが、あえてブロンプトンを使うところは私以上に拘りが強いのかもしれません。頑張ってください。
17時ごろに宿に到着。日帰り温泉施設というより地元の人の銭湯代わりに使われている施設らしく、平日なのに温泉の利用客が多いです。こちらも温泉の温度が高くて湯船に入れません。今日もシャワーだけか…
諦めがつかないので夕食後に再び温泉に入ることにしました。夕暮れ後は涼しくなったため露天風呂にしてみたところ、ちょうど良い温度でした。
それにしても3軒連続で湯船の温度が高いというのはどういうことでしょうか。疲れが取れない理由のひとつに「風呂でのんびりする」ができないことが考えられます。
阿寒湖~釧路~標茶
本日の走行距離は143km、獲得標高は695m、アベレージは21.9km/hでした。