おまけの鹿児島観光サイクリング編

鹿児島空港から長崎鼻の区間、そして桜島エリアも既に観光をしながら走っているため、今回の旅の初日と最終日の行程は殆ど決めずに出発しました。

4日目に屋久島から種子島に渡って「種子島サイクリング」を楽しんだ後に5日目に鹿児島市内に戻り、鹿児島中央駅から空港バスで鹿児島空港へ向かうという予定を考えたことで、「鹿児島空港→セントレア」のフライトは最終便にしました。しかし、4日目が確実に「雨」になることが分かった時点で、4日目にうちに鹿児島市内に戻ることに決めたのですが、結果的にそれは大正解でした。

同行のH君の脚力では朝6時に宿を出ても、屋久島から種子島に渡るフェリーに間に合わないからです。仮に間に合ったとして、5日目の「谷山港→鹿児島中央駅」を走ったあとに「日帰り温泉でゆっくりしてから鹿児島空港へ」というH君のリクエストに応えることができません。「自走する脚力は無い、でもJRに乗りたくない」ではどうしようもありません。

4日目の昼のフェリーを使うこと、5日目は朝から完全フリーにしたこと、それらから導き出してH君が考えたことは後ほど。

過去のブロンプトンの旅『鹿児島遠征「桜島と霧島神宮」』や『「篤姫ゆかりの地」と豪雨の「長崎鼻」』で鹿児島市内も多少はぶらぶらしているため、改めて立ち寄るとしたら「西郷どん」絡みでしょうか。

2018年4月3日


9時50分、鹿児島空港をスタート。

まずは空港から徒歩圏内であるのにも関わらず存在感が薄い「西郷公園」に立ち寄ってみます。空港内でアピールしない限り存在を知ってもらうことは難しいと思います。私も過去2回、存在を知らずに立ち寄っていません。


西郷公園では日本一大きい西郷隆盛像が待ち構えています。


殆どは単独の旅であり、ツイッター繋がりで同行いただく時も脚力は十分にある方々ばかりでしたので、今回だけはスタート直後の数分で「ちょっとまずいかも…」という雰囲気になりました。スタートして十数秒でH君がどんどん遅れ、3分程度で全く見えなくなります。数分走って待つと走った時間の半分くらいは待つ必要があります。海までひたすら下りですので、それほど差は開かないだろうといつも通り下っていくと、あっという間に絶望的な差が開きます。

とりあえず当面の目的地は鹿児島中央駅だから走行ルートも教えてあるのでなんとかなるだろうと先に進みます。下りきってJR線沿いの道を走って幹線道路から外れた地点で電話してみると、「うーん、まだそこなのか」という状況。「下りきるとJRが使えるので電車で移動すれば?」と助言しても電車が嫌いなようで「ゆっくり行きます」とのこと。

頭の中でタイムスケジュールを組み直してみると、「仙巌園」に立ち寄っても鹿児島中央駅に到着は午後1時。H君に「鹿児島中央駅に午後1時集合。鹿児島中央駅だよ。鹿児島中央駅。分かった?」と念を押すと「はーい」と軽い返事。なんとなく怪しい。


『鹿児島遠征「桜島と霧島神宮」』の時は素通りした「仙巌園(センガンエン)」に今回は立ち寄ります。時間を掛けて散策する観光地らしい観光地はここくらいです。


平日ということもあってか来園者の日本人の割合は非常に少ないです。大河ドラマ「西郷どん」絡みでもっと日本人の観光客が多いかと思ったのですが、中国や韓国からの団体客ばかりです。

仙巌園は、万治元(1658)年、19代島津光久によって築かれた別邸です。錦江湾や桜島を庭園の景観にとりいれた、雄大な景色が仙巌園の最大の魅力です。幕末の名君、28代島津斉彬がこよなく愛し、徳川将軍家に嫁いだ篤姫も足を運びました。
名勝 仙巌園[磯庭園]とは


今年の桜は開花が早すぎて数日前から散り始め、楽しみにしていた「仙巌園の桜」の撮影を楽しめません。例年なら今日がベストな日だっただけに残念です。


走りながら「車の往来がない場所で桜島と記念写真を撮りたい」と思ってもなかなか見つかりません。この「ザビエル上陸記念碑」がある祇園之洲公園は桜島側に突き出ているため少しぶらぶらしてみます。


祇園之洲公園の防潮堤が低くなっている場所で記念写真。ちょうど雲が流れて桜島の噴煙が見えます。時刻は12時35分、これなら余裕で鹿児島中央駅に着くはずです。

ところが鹿児島中央駅へ向かう道路は信号地獄で思うように進みません。


大河ドラマ「龍馬伝」の放送に合わせて設置された「坂本竜馬新婚の旅碑」。

午後1時少し前に鹿児島中央駅に到着。ここまでで約35kmです。序盤の8km区間はひたすら下りで、残りは平坦ですので超初心者のH君でも余裕があるはずで「待たせたね~」と私が言う側でしたが、H君はどこにもいません。おかしいな。午後1時過ぎに電話すると「着きました!」って返事されますがどこにも見当たりません。「大きいロータリーだからどこにいるの?駅の入り口で待ってるけど?」と聞くと「大きくないですよ」って嫌なことを言う。「そこ本当に鹿児島中央駅?」「うーん?えっ!分かりました!」って電話を切られる。もしH君が「着いた!」といっていたのがJR鹿児島駅だとすると結構待たされます。その間に鹿児島中央駅周辺をぶらぶらしたいところですが、彼が今どこにいるのか分からないためひたすら待ちます。

待つこと二十数分、「やっぱりそうなったか」というオチでした。

食事処を求めて来た道を折り返します。待ち合わせには一番分かりやすい鹿児島中央駅を選んだのにそれが裏目に出て大幅なタイムロスです。


大久保利通銅像


鹿児島県に来たらグルメに「かごしま黒豚」は外せません。


そして、過去2回は食べる機会を逃した「白熊」です。「黒豚かつ定食+ベビー白熊」で1570円です。両方とも観光客向けの体験版みたいな雰囲気。白熊のレギュラーサイズは巨大すぎるので食後のデザートにはならないらしいです。


食後は甲突川沿いをぶらぶらします。例年なら満開の桜を楽しめたはずなのに残念です。いつの間にかH君が行方不明になっています。


西郷隆盛・従道誕生地

時刻は午後3時、甲突川沿いを2往復してもH君が見つかりません。電話すると「コンビニの駐車場で煙草休憩してます。フェリー乗り場まで行きますので大丈夫です」と言われてもとても心配です。午後3時15分過ぎにようやく現れたH君は「脚が攣りました」と情けないことを言いますが、「電車に乗れば?」という助言を却下するため、フェリー乗り場まで自走で連れて行きます。


フェリー乗り場の周辺には食事処が見当たらないため手前のコンビニで食料を調達。そして、フェリー乗り場に到着したのが午後5時ごろ。「ゆっくり走っても1時間あれば楽勝」のはずでしたが、約14kmの区間に1時間45分も掛かっていました。若いとはいえ試走もしていない超初心者の実力はこれが普通でしょうか。フェリー乗り場の最寄り駅から歩けない距離じゃないのでH君には自転車は要らなかったような。

貨物船のようなフェリーに乗って屋久島に向かいます。

屋久島サイクリング2018
縄文杉トレッキング2018

2018年4月6日


復路はこのフェリーで鹿児島市内に戻りましたが、悪天候の影響でフェリーが大きく揺れ、ひさびさに船酔いしました。食べたものを吐き、なるべく揺れが少ない位置を探してうずくまって鹿児島港までひたすら我慢の時間。

フェリーを降りて鹿児島市内の宿まで自走している間に体調が戻ったようで空腹感も出てきました。以前の旅でチェックしておいて立ち寄れなった食事処を探します。


鹿児島ラーメン豚とろ 天文館本店の「豚とろラーメン 大盛」です。食べて初めて分かりましたが「口になかでとろけてしまうチャーシュー」だから「豚とろ」。油ギトギトのように見えるスープも意外にもあっさり目。


宿に戻って一人晩酌です。風情のかけらもありませんが、ビジネスホテルのシングルルームは妙に落ち着きます。朝から夕方まで完全フリーの明日の予定を考えながら夜が更けていきます。

2018年4月7日


ホテルの朝食バイキングですが、軽食バイキングです。たくさん走るわけではないため普通の一人前で十分ですね。

宿泊費はお手頃な1泊朝食付きで4500円ですが、自転車乗りには不便かもしれません。折り畳み自転車なら袋に入れて部屋に持ち込めば良いのですが、自転車置き場をフロントに確認したところ市営駐輪場を紹介されたため、ホテル側で預かるという発想はないようです。

7時45分、ホテルを出発。序盤で使える時間は2時間ですが、あれもこれもというつもりはありません。


まずは定番の「西郷隆盛銅像」。今回は道のこちら側から眺めました。


大河ドラマ「西郷どん」の序盤はこの人が主役ではないのかという人物「島津斉彬(しまづなりあきら)公之像」。


上ってから気が付きましたが城山の展望台へのルートは2本あって、ブロンプトンと一緒では過酷になってしまうハイキングルートを選んでしまいました。自転車は車が通るルートを選びましょう。昼間なら桜島がとても綺麗に見えるはずです。


朝の時間帯は地元の人たちの散歩コースになっているようで、年配の方々がハイキングコースを元気に歩いていました。


城山からは一般道を下ると巨大な「せごどん像」が現れます。


観光土産店の看板みたいな「せごどん像」ですが、その裏手の洞窟内には西南戦争の絵図が展示されているので少しだけ勉強になります。


こちらが本物の「西郷洞窟」。


「西郷隆盛終焉の地」

今年の大河ドラマのラストはどのように描写されるのでしょうか。


薩摩義士碑


天璋院(篤姫)像


西南戦争の銃弾跡


私学校跡


鹿児島県鹿児島市にある「鹿児島駅」ですから、普通に考えれば立派な建物があると想像しますが、実際はローカル駅です。新幹線が開通した時に名称変更した鹿児島中央駅に主役の座を取られ放置されたような雰囲気です。


ローカル列車に乗車して…


霧島温泉駅までワープ。駅名に「温泉」が付いていますが近くに霧島温泉はありません。


今日は桜島港周辺をうろうろする予定でしたが、ローカルニュースで「芝桜が綺麗な霧島高原 まほろばの里」を見たため急きょ予定を変えてやってきました。


今のご時世だとこの手のものはアウトになりそうですが、園内の土産店にジブリショップがあるためセーフなのでしょうか。

「まほろばの里」のチラシを見ればそれはもう期待するわけですが…


写真:霧島高原まほろばの里サイトより


冷たい風が吹き荒れる中、誰も歩いていない丘を散策します。


無残な状態です。


あまりも寒いため身体が温まりそうな食べ物を探して「鶏うどん + あわめし」をいただきました。


「まほろばの里」へ向かう途中には綺麗に咲いている芝桜もありました。ここで記念写真を撮っている人たちを往路も復路も見かけたましたが、やはり「まほろばの里」でガッカリした人が多かったのかもしれません。


「まほろばの里」までひたすら上ったということは復路はひたすら下りです。あっという間に「塩浸温泉龍馬公園」に到着。


今日の霧島地区の気温は8℃となっているため非常に寒いです。まだ日差しが照っている時は良いのですが、天気がころころと変わって困ります。


駐車場には結構な台数の車が停まっている割には人を見かけません。皆さんこの「龍馬とお龍の湯」に入っているのでしょうか。


「龍馬とお龍が通った山道」にも興味がありますが、マップがないことには所要時間の見通しが立たないためやめておきます。代わりに龍馬資料館「この世の外」を見学することにしましたが、小さい資料館ゆえにパッと見るだけなら5分で終わってしまいます。他に観光客がいないこともあって話好きな係員さんの詳しい解説付きで滞在時間は30分ほど。「龍馬伝」を観ていないので話が分からないことだらけでした。

終盤のスケジュールをあれこれ検討していた時に、鹿児島市内以外からでも空港行きの路線バスがあることが分かりました。最悪、自走でもたいした距離ではないため問題ありませんが、汗だくになって飛行機に乗りたくありません。「温泉入ってそのまま空港へ」がベストです。「塩浸温泉龍馬公園」のすぐ近くに日帰り温泉施設「日の出温泉きのこの里」がありますが、路線バスのバス停の有無と時間が問題です。

バス停があることはすぐに分かります。さて空港行きバスの時刻は…。


なんと運が良いことに1時間後にあります。それにしても本数が少ないですね。


しばし、温泉に浸かって疲れを少しでも取ります。


客層は「地元の常連客」ばかりのようですが、のんびり過ごすことができました。さっさとパッキングして路線バスに乗りますが、乗客は鹿児島空港まで私一人です。


16時、鹿児島空港に戻ってきました。随分前にH君は空港に来たらしいのですが、妙に荷物が少ない。

「もう自転車は嫌!」となったH君は、折り畳み自転車と自転車用品を自宅に宅配してもらうようにホテルに依頼したとかで、普通の観光客より荷物が少ないくらいです。やっぱりH君の場合は、最初から自転車は要らんかったような気がします。


午後8時のフライトですから4時間ほど時間があります。とりあえず午後6時までは自由行動にして展望デッキで飛行機撮影を楽しみますが、風があまりにも冷たくて身体が震えます。


このカットが撮れ、しばらく間が空きそうになったため撤収。周りを見ると展望デッキにいる人は皆無でした。


18時、H君と合流して鹿児島ラスト飯です。身体が冷え切ってしまったため「黒豚カレーうどん」を選択。


おかげで汗が出るほどになり、ソフトクリームでクーリング。

気温25℃が続いたあとに8℃まで下がったことで気温の変化に身体がついていけず、終盤に体調不良になりましたが、充実した4泊5日の旅でした。



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