ブロンプトンの旅2017道東編「浜小清水~摩周~阿寒湖」

「ブロンプトンの旅では夜間走行をしない」という自分ルールがあるため、どうしても「宿」という制約が発生します。あれこれ立ち寄りポイントを検討しても、走るのは日暮れの時刻までとなるため、そこに都合よく宿があるのか。北海道の場合は町から町までの区間距離が長いため、まずは宿がどこにあるのか調べて「この宿なら日暮れまでに到着できる」が決め手となります。

2014年の道東の旅のように斜里町まで走れば宿の選択肢は複数ありましたが、今回は序盤に「ロケ地巡り」を組み込んだため、斜里町の手前で宿を探す必要がありました。シミュレーションをしてみると、ちょうど夕暮れの時刻に到着できる場所に都合よく宿があったため助かったのですが、今回の反省点は「他に選択肢がない」というのはなるべく避けたいということになります。


昨日購入した“おにぎり”を朝食代わりに食べて、朝7時スタート。遠くに見える山の先を目指してブロンプトンを走らせます。


小清水町役場を過ぎると“ひたすら”上り続けることになりますが、とにかく北海道の場合は上りも下りも長すぎます。

景色が全く変わらない中をひたすら上るというのは精神的に疲れ、バイクの人たちが気持ち良さそうに走り抜けていく様子を見るたびに、北海道は自転車で走るには広すぎるとつくづく感じます。


小清水町役場から約20kmも上ってようやく「野上峠」に到着。北海道とは思えない暑さも伴なって、すでに疲労困憊です。あと2つも大物をやっつなければ本日の宿に辿りつけないのに…


ちょくちょく写真を撮るのは「気を紛らわせるため」ということもありますが、下りながら「あっ!」と感じた景色を写真に収めることができるのは、自転車旅の特権ともいえます。

しばらく下って、川湯温泉駅を通り過ぎた先を左に曲がると摩周湖ヒルクライムが始まります。長丁場になるため、左折する所にある自販機で水を買っておきます。

滝汗状態でのヒルクライムは苦行そのもので、念のために持参したカロリーメイトで休憩を兼ねてエネルギー補給。もう摩周湖は諦めようかなと弱気になっていると、何やら外人さんたちがクロスバイクで上っていきます。2、3人というわけではなく結構な人数です。

「もうこうなったら押し歩きでいいや」と開き直って、インナーローが必要な区間は無理をせずにひたすら押し歩き。急坂区間を7~8km/hで漕いで上っても、4km/hで押し歩いてもゴールタイムは大して変わりません。この上りで終わりではないため、ダメージを考慮すれば押し歩きが正解です。


距離9.7km、標高差495mの摩周湖ヒルクライムがようやく終了。まずはゴール地点から硫黄山を眺めますが、標高差495mよりもっと上ったような達成感があります。

先ほどの外人さんたちは総勢10名くらいでしょうか。主催しているのは、網走を拠点とした外国人向けサイクリングツアーの企画運営をしている会社らしいです。この先は知床峠も走るらしいので、かなり過酷なサイクリングツアーを企画するものです。もしかしたら「大自然を満喫」がテーマなのでしょうか。


人生で3度目の「摩周湖」ですが、全て「晴れの摩周湖」です。「霧の摩周湖」を狙うなら近くで連泊するしかないのかもしれませんね。(※雨と霧は違います)


バスツアーなら「ふーん」で終わってしまうかもしれませんが、荷物満載のブロンプトンで上ってきただけに、景色が何倍も素晴らしく感じます。ちなみにこちらは「摩周第三展望台」からの景色です。駐車場が非常に狭く、川湯温泉側からのルートはコーナーの連続ですので、大型バスは来ません。

「摩周第三展望台」が頂点になっているため、ここからはひたすら下りです。


気持ち良く下り切ってしまおうかと思いつつトイレ休憩を兼ねて「摩周湖第一展望台」に立ち寄ってみます。こちらは“観光地”らしく設備が整っていて、観光客も非常に多いです。大きい駐車場が完備されていますが有料です。


団体旅行の集合写真を撮る場所からの景色も良い感じですが、大自然を感じるなら「摩周第三展望台」をお勧めします。


せっかくですから、摩周湖をイメージした「摩周ブルーソフトクリーム」をいただきます。青いリキュールを混ぜて少し青い色にしているらしいのですが、味の違いは全く分かりません。濃厚なソフトクリームには違いありませんので、訪れた際にはネタで食べましょう。

「昼飯はどこにしようかな」という迷いはなく最初から決めていました。


「道の駅 摩周温泉」です。「昼飯、昼飯、昼飯…」と店内をウロウロしますが、なんと食事コーナーがありません。これは困りました。弟子屈町(てしかがちょう)の中心部に行けば食事処が見つかるのでしょうか。どうしようかな。

「カロリーメイトが残っているので最悪それでもいいか」と走り出すと、すぐ近くにラーメン屋らしき建物を発見。


入り口に非常に目立つように「昇龍軒に来たらとりあえず弟子屈餃子定食830円」の張り紙があったため「弟子屈餃子定食」を注文。これが予想以上に美味しくて結果オーライです。


腹が膨れたので本日の最後の大物をやっつけて宿に向かいます。


しかしながら、腹が膨れた程度でサクッと越えることができるということはなく、長い長い上りが続きます。途中で3回も休憩を取っても、上る筋力が無くなり押し歩きの連続。北海道の場合、上り始めると「この上りはいつ終わるんだ」と思わせてくれます。


この「双岳台」で「雄阿寒岳」を眺めたら、距離が23.2km、標高差が616mもあった上りの終わりですが、今日のコースはブロンプトンで走るには過酷すぎました。

国道241号線(阿寒横断道路)は、須藤英一氏の著書「日本百名道」に掲載されているため、ぜひ走ってみたかった区間でしたが、正直言って自転車では楽しくないです。


ガイドブックに掲載されている「双湖台」に立ち寄ってみましたが、施設は廃墟状態です。駐車場は解放されているため観光には支障ありませんが、今となっては立ち寄る人は皆無かもしれません。遠くに見えるのが「ペンケトー」です。その先に「パンケトー」があるはずですが、この角度からでは見ることができません。


「阿寒湖までひたすら下り」という期待は外れて、最後の上り区間で今日の限界が来たため、阿寒湖の先にあるオプションをバッサリとカット。


午後3時30分ごろに阿寒湖に到着。ブロンプトンで一通りぶらぶらした後、いったん宿に入り風呂と洗濯。夕食までに1時間20分ほどあるため、徒歩で散策します。


まずは「阿寒湖アイヌコタン」をぶらぶらします。「阿寒湖アイヌシアター イコロ」でアイヌ古式舞踊を観覧しようか迷いましたが、独りで観ても寂しいためパス。


クマ牧場で飼われていた体重500kgもあったヒグマだそうです。クマ牧場で良い餌を食べて巨大化したのでしょうか。有料の施設に入らなければ土産屋が並んでいるだけという雰囲気ですね。ぐるっと一周して撤退。


阿寒湖の湖畔を歩いてやってきたところは「トーラサンペ ル・ミナ まりもの微笑み小径」です。「自転車禁止」と書かれていたため、「観光を中止して、いったん宿に入ろう」と決めた理由でもあります。

散策道にはアイヌに関するオブジェが飾られていて、夜になるとランタンが小径を照らして神秘的な雰囲気になるようです。


これは「カムイの剣」なのでしょうか。

宿でいただいた観光マップによると、遊覧船乗り場の先にも遊歩道があって、何やら「ボッケ」なるものがあるらしい。まだ時間はあるので「とりあえず歩きますか」と寂しい散策路を歩きますが、なかなか「ボッケ」に着きません。「ボッケって何だろう」という興味本位だけで歩きますが、そろそろ夕食の時間になってしまいます。


途中からは早歩きでようやく「ボッケ」に到着。

「火山活動により発生した硫気ガスや水蒸気が熱い泥とともに噴き出している泥火山です。ボッケとはアイヌ語で『煮え立つ』という意味です」

ということで「ボッケ」を覗いてみると、ボコボコと何かが出ています。硫黄臭いので長居はできません。


これで「阿寒湖」ともお別れです。


宿の食事は「これでもか!」という雰囲気の品数で“おかず”だけでお腹いっぱいです。

部屋の風呂は“おまけ”で大浴場を利用するのが基本みたいですが、大浴場の温度が高すぎて浸かることができません。北海道のお風呂はどこも高温なのでしょうか。


浜小清水~摩周~阿寒湖

本日の走行距離は108km、獲得標高は1766m、アベレージ16.8km/hでした。荷物満載のブロンプトンで獲得標高が1000mを超えると少しばかり休憩を取っても筋力が回復することがないため、遠征二日目は久々に疲れ切った一日になりました。



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