実写版「タッチ」

どうしても観たい、でもDVDが発売されたら確実に買うから我慢しようと決めていた「タッチ」だが、我慢できずに頭文字Dとセットで観てきた。

予告編からラストがどんな感じになるのか、そしてアノ長編ストーリーのどの辺りのエピソードまで取り上げているのか、まさかアニメの劇場版第一作目「背番号のないエース」のような無理矢理すぎるラストシーンにしてしまうのでは、なんてつまらない心配をしていたが…

タッチ

双子の兄弟、達也と和也、そして恋物語のヒロイン、南。

三人が織り成す甘酸っぱい恋模様を繊細に描き、世代を超えて国民的反響を呼んだ あだち充原作 の青春ラブストーリー「タッチ」。

今でも多くの人々から愛され続けている作品が、水彩画のような映像とともに、キラキラと輝くピュア・ラブストーリーとして、新たにスクリーンに誕生します。

約120分の作品ですが、和也の不慮の死までを前半、それ以降を後半となっており、ストーリー構成がとても上手く綺麗にまとめ上げています。

アニメ版とは違い、実写版は今作品一本でものの見事に完結させていて、リアルタイムに漫画を読んでいた人、アニメを観ていた人には非常に懐かしく感じ、今作品でタッチを初めて知った人も十分すぎるくらいに楽しめます。

難点と言えば、話しの展開における「意味付け」が全くと言って良いほどに省略されているので、ストーリーの細かいところまで気にする人には辛いかもしれません。「なぜ?なぜ?なぜ?」と映画を観ながら「その理由」を考えてしまうような私みたいな人には。

幸い、私はちょっと前にアニメ版を改めて全話観ていたので「わっ省略しすぎ」程度で済みましたが。(たまたまベータのテープをDVD化するために観ていたのが幸いした)

前半部分で「うーん」と唸ってしまった人は原作本を読むか、テレビアニメ版ビデオを観ましょう。

後半部分は「ラスト」に向けて実写版オリジナルストーリーになります。といってもストーリーの本質である「和也の死から立ち直る」が底辺にありますのでご心配なく。

アニメ版の第一部が「和也の死」という悲劇で終わり、第二部が達也と南が「和也の死」から立ち直る所まで、そして第三部がまさに「熱血高校野球」が舞台となり「達也の野球」、「南の新体操」、ところどころに「青春恋愛物語」が入り乱れ、最終回でようやく…。全101話のまさに長編アニメです。原作は全26巻(オリジナルコミック版)。

この長編ストーリーをたったの2時間に納めるわけですから、ヘタすれば単なる“全編あらすじ”になってしまうところを立派な作品に仕上げています。と言いつつもテレビアニメ版と比べてしまうと、今作品の前半部分は“あらすじ”に思えなくは無いが。後半のストーリーは「こういう風に持って行ったか」と妙に感心。

私は原作の終盤しか読んでいないので、どうしてもアニメ版との比較になってしまいますが、映画を観ているうちにアニメ版と比較すること自体が無意味であることを実感。

タッチ
慰安室から泣き叫びながら飛び出す母のシーンから高架下で南が号泣するシーンまでの泣かせ所には思わず涙します。(でも意表を付いたカメラアングルはNG)

甲子園を賭けた運命の決勝戦。マウンドに立つのは達也。しかし、南は和也の死から立ち直れず自宅でラジオで中継を聴くが…

突然、吹っ切れた様に走り出す南、そのシーンのBGMはあの名曲「タッチ」。(思わず背中がゾクゾクした)

息子の死から立ち直れない母、偶然にも決勝戦当日にある人の訪問により心が開放される。(ジーンと来ます)

ラストシーンの上杉達也が新田明男に投じた3球。1球それぞれに込められた思い。

「淡く切ない青春恋愛ドラマ」それがタッチ。

ps.
原作を知っている人で今作品を観て「うーん」と唸った人はパンフレットを購入しましょう。
犬童監督がその疑問に答えてくれています。



関連エントリー