「歴史を変える」側の結末はこれも“お約束”な展開です。
戦車や軍用ヘリを持っていても「多勢に無勢」、いくら蹴散らしても何万人もの兵に攻められたら勝てるわけありません。
どうやって生身の兵が「戦車」や「軍用ヘリ」に勝つのか興味があったが、「なるほどそうきたか」と妙に感心。
でも「ベトナム戦争」あたりからネタを持ってきたような気がする。“ゲリラもの”ってどうしてもそこにいくから。
そこそこ盛り上がった「歴史を変える」側に対して「歴史を守る」側ってどうなの?
なんだか「犬死に」にしか思えん。無意味に次々と殺されていく…
関が原の合戦の歴史上最大のキーマンになっている小早川秀秋(藤原竜也)をどう描くのか。
これがこの戦国自衛隊のストーリーの最大ポイントになっていて、小早川を歴史通りに東軍に付かせることが、嶋村の悩んでいた「歴史は、俺たちに何をさせようとしているのか…」の答えとなってくる。
家康を憎んでいる小早川だが姉・おしの(白石美帆)を人質に取られてしまった事で東軍を攻めることができないのだが、ついに小早川が東軍を攻めるに値する事件が起きる。
ここでブチ切れた小早川が東軍を攻めてしまったら歴史が変わってしまう。これを何とかしたのが伊庭である。
戦国の世を憎む小早川は、家康が太平の世を作ってくれるという伊庭の言葉を信じて、歴史通りに行動することを決心する。
そして歴史通りに東軍が勝ち、石田三成に成り代わって西軍大将に収まっていた嶋村は、東軍に捕まり石田三成として処刑される。
ここまでは全てが納得いく展開で「良いドラマ」でしたが…
ラストがいけません。ムリヤリにストーリーを終わらせてしまっている。
タイムスリップの予兆がおきて、生き残った自衛隊の面々は元の時代に帰ることを期待する。
プラズマが走り、あと少し、もう少し、というところで家康軍が自衛隊に襲い掛かる。
邪魔になるものを徹底的に排除する方針をもつ家康にとっては、伊庭を生かしておくことが許せないのである。
一人また一人と無残に殺されていく自衛隊。
伊庭に危機を知らせにきた小早川も一矢報いることも無く殺されてしまう。
さて、いっきに盛り上がってきたラスト。
空にプラズマが走る中、伊庭は堂々と家康軍の前に立つ。
誰もがここでプラズマが伊庭の体を包むだろうと期待して観ていただろうに…
なんと伊庭は矢を撃たれ銃撃され、ボロボロの瀕死状態になった時にプラズマが伊庭を包む。
そして元の時代に戻ってきたのは(恋心を持った)同僚に守られた深見萌(佐藤江梨子)ただ一人。
しかし、深見は記憶を失っていた。夢遊病者のように放浪する深見。
戦国時代を撮影していたデジカメは光につつまれ消えていく。出来事を全て消去するかのように。
うーん、哀れじゃ~。
もう少しで元の時代に戻れることが分かっていたのなら、自衛隊の皆さんは家康軍とまともに戦わずにジープに乗って逃げ回っていれば良かったのに…。
それと小早川も「伊庭を守る」なんて格好付けて、銃の使い方も知らないのに機関銃を握り締めても意味無いじゃん。
ほんと「犬死に」ジャン。
伊庭も「うお~」なんて叫ばずに、あと5秒、我慢していれば愛する妻と娘が待つ時代に戻れたのに…。
後味が悪いドラマでした。