青山真治監督の『Helpless』『EUREKA』『サッド ヴァケイション』は単なるロケ地が同じであるという三部作ではなく、ストーリーが繋がっている三部作です。
通称「北九州サーガ」と呼ばれている三部作ですので、舞台は北九州です。自転車旅で行ったことがある風景がたくさん映っているため懐かしさすら感じます。「EUREKA」は2本分を1本にしたような作品で、後半の「旅」の部分には熊本の風景が映され、そちらも懐かしく感じます。
Helpless 1996年
EUREKA 2001年
サッド ヴァケイション 2007年
順番に観ていけば、基本的に同じ役者が演じているため「ストーリーが繋がっている」ことが分かるのですが、唯一の違和感は光石研さんです。一作目では片腕のヤクザである安男を演じていて、終盤で自害したことになっていますが、二作目と三作目には土建屋のシゲオを演じています。「実は片腕ではなく、さらに偽名で生きていた」というオチかと期待したのですが、全く関係ありません。
Helpless 80分
EUREKA 217分
サッド ヴァケイション 136分
3本で「433分」もある超大作です。いっき観してこそ意味があるようなストーリーですので、休日を1日つぶす覚悟が必要です。「Helpless」だけ観ると「なんだかよくわからん」で終わってしまいますが、それは「サッド ヴァケイション」で全て明かされて…
「サッド ヴァケイション」のラストで衝撃の事実が明かされるわけですが、あれでは健次(主人公)の人格が崩壊してしまうのではないのかと思えます。
実は「宮﨑あおい出演作」を爆買いした時に「サッド ヴァケイション」を早めに手に入れていました。消化できずに山積みしている間に「EUREKA」が安く手に入り、ようやく観ようかと思った矢先に「北九州サーガ」のことを知りました。そこで「Helpless」も急きょ購入したわけですが、結果的には三部作を順番に観て正解でした。
3本セットで重いテーマを扱うため、観るのに覚悟がいるかもしれない。そう思えた「北九州サーガ」でした。
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