日本一周補完計画 岐阜編「高山~白川郷~郡上八幡」

2014年8月2日、3日、9月14日

ブロンプトンの旅の第四章となる「日本一周補完計画」をどこから始めるのか検討した結果、まずは「世界遺産」をコンプリートさせることにしました。岐阜の白川郷(富山の五箇山)、群馬の富岡製糸場と絹産業遺産群、島根の石見銀山がそれに該当します。小笠原諸島については訪問すること自体が困難であり、わざわざブロンプトンを持ち込んで走るような場所ではないため、ブロンプトンの旅からは除外します。

群馬と島根については1泊2日の強行スケジュールではなく、往路と復路にもいろいろとオプションを付けた遠征にするため、まずは近いところで、岐阜の白川郷と富山の五箇山に行くことにしました。「日本一周ルートのどこに接続させる」という自分ルールがあるため、日本一周ルートに接続させている「藪原~野麦峠~高山~郡上八幡~岐阜」を延長させることに仮決定。問題は「いつ行くのか」となりますが、岐阜の「ダイナランド ゆり園」を撮影してみたいという思いを数年前から抱いていたため、ユリの花の見ごろ時期が決行日となります。

ユリの花が見ごろになった8月上旬。週間天気予報によると土曜日よりも日曜日に晴れ間が見えるらしいので、初日は高山から五箇山まで、二日目は五箇山から白川郷を経由してダイナランドでユリの花を撮影して、郡上八幡がゴール。というスケジュールを立ててイザ出発。

高山~白川郷~郡上八幡
高山~五箇山 80.0km(1069m/1302m)
五箇山~白鳥 95.9km(964m/917m)
白鳥~犬山 122.7(573m/890m)

2014年8月2日


「18切符を試してみたい」という思いつきで各駅停車に揺られながら、10時11分、ようやく高山駅に到着。「高蔵寺駅 – 高山駅」の区間の運賃は2590円ですので、僅か220円のお得となりました。私のように三河上郷駅から乗車して、高山駅で降りる場合は特急を使っても最速で10時2分着ですので、各駅停車でも十分かもしれません。


少しだけ高山の町並み散策。高山は昔から変わらず観光客が多いようです。私も何度も訪問していますが。。。


高山の隣町になる飛騨市に到着。こちらは観光客があふれているという雰囲気はなく、メインの観光スポットに観光客が集まっている程度で、そこから少しでも外れると観光客らしき人たちを見かけることはありません。


「あゝ野麦峠」の記念碑が「本光寺」、赤い欄干の橋が目印の「真宗寺」に立ち寄って、白壁土蔵街を散策。一見すると用水路のような瀬戸川には鯉が泳いでいて、津和野のスケールを小さくしたような雰囲気。のんびり散策したい人に適した観光地かもしれません。


「ひだコロッケ本舗」の具沢山で食べごたえある「飛騨牛たっぷりのコロッケ」は200円なり。注文してから揚げるので熱々です。


「飛騨古川まつり会館」の入館料は800円。入館するとちょうどタイミングが良かったようで、古川祭の3D映像を大スクリーンで鑑賞。引き続き、からくり人形の上演も。しかし、来場者が私のほかには1組の家族だけというのが。。。静かに展示物を見ることができましたが、寂しさを感じます。高山市という大きな観光地がすぐ隣にあるだけに、あえて飛騨市を訪問するというのは特別な理由が必要かもしれません。単に「高山観光には飽きた」の場合が多そうですが。

本日の激坂の楢峠越えが控えているため、これで観光タイムはオシマイです。


飛騨市から快適な川沿いの道を北上。「こんな道が続くと良いけどね」と思いつつ、天生峠を越える白川郷へ向かうルートとの分岐点に到着。思わず「ちょっと待って」と呟いた坂が目の前にあります。ソニーのナビでルートを確認するも、どうやら目の前の坂を上ることになるようです。「やれやれ」ですよ。


序盤の急坂を上ると、再び川沿いのサイクリング向きの緩い上りに変わり、「なーんだ、楢峠って緩いね」と思わせておいて。。。


はい、急坂の上りがひたすら続きます。車が全く通らないため、えっちらおっちら、立ち漕ぎや蛇行走行もしながらも進みます。


途中から路面状態が悪くなり、傾斜もさらにきつくなり、無理に上り続けると膝が壊れます。ひたすら押し歩き。


開ける景色で気分を紛らせつつ、ひたすら歩きます。急いでも仕方がないため、小休憩を何度もとりながら、歩きます。とにかく歩きます。ハイキング気分などは無く、遠征の荷物を積んだブロンプトンを押し上げるという雰囲気。


天生峠との分岐点から“2時間”も掛けてようやく「楢峠」に到着。いやはや大変なハイキングでした。本日の苦行はこれでオシマイと下り始めると。。。峠を越えた先の富山市への分岐点で、なんと予想外の事態が発生。地方道にはポツンと簡易的なバリケードが置かれていて「富山市方面はこちら」と国道471号へ行くように看板が設置されています。この先はハイキング用の林道らしいので、いけないことはないでしょということで迂回しません。迂回していたら宿に着くのが何時になるのか分かりません。


林道は途中から「まさにハイキング」というような状態になり、押し歩きを強いられ、大幅なタイムロス。ダメ元でブロンプトンを走らせてみたら、さすがに無理だったのか、あえなくパンク。急いでチューブを交換して、危ないところは押し歩き、多少はマシなところは乗車を繰り返して、なんとか林道区間を突破。最後の観光ポイント「相倉合掌作り集落」に立ち寄れるのかどうか微妙。立ち寄っても暗くなる前には宿に入れるかなと妄想していると、なんと路面状態が良い下り区間で再びパンク。途中からコーナーリングが不安定になっていたので、スローパンクしていた可能性が高く、コーナーリング中にリム打ちパンク状態になったようです。再びチューブを交換。しかし、予備チューブを使いきったため、3度目のパンクが無いことを祈りながら宿を目指します。当然ながら「相倉合掌作り集落」に立ち寄る時間は無くなりました。


体力面よりも精神面で疲れ切って、18時少し過ぎに五箇山の宿に到着。グレードアッププランの夕食を堪能しながら独り反省会。

強行した林道で大幅なタイムロスになってしまい、チューブを2本もダメにしました。3度目のパンクに備えて、いちおうパッチを貼ってみましたが、1本は3箇所、もう1本は5箇所も穴が空いていたので、スローパンク状態になってしまうかもしれません。仕方がないため、切り札になるかもしれない古新聞を貰っておきました。

もともとスケジュールでは1時間の余裕があったため、迂回路で2時間のタイムロスとしても19時には宿に着けたのかもしれません。しかし、迂回路も富山市と五箇山の分岐点で五箇山方面へ行くことができるとは限りません。行けなかった場合は、宿に向かうことが不可能になります。宿に行くためには林道を突破するしかない。そのように判断したのです。

就寝前に天気予報をチェックすると、なんと天候が急変して、翌日は「曇りのち雨」。これでは高山スタートにした意味が全く無くなってしまいました。逆回りなら、初日に「ユリの花撮影」を楽しみ、2日目に林道を通ることになり、林道があの状態なら迂回路を走り、最悪「富山駅」から輪行すれば良いのですから。

2014年8月3日


少しでも前倒しのタイムスケジュールで進めたいため、朝食を1時間早めていただき、早々と宿をスタート。写真は「流刑小屋」です。五箇山地方の庄川の東岸は、加賀藩の流刑地だったそうです。この小屋は観光のメイン通りから外れた場所にあるため、車やバイクで訪問した場合は気が付かないかもしれませんね。ブロンプトンでぶらぶらしていると小さい標識にも気が付くため、ちょっと立ち寄ってみるかとなります。


このような景色を見ると五箇山は山奥の部落だと感じられます。


世界遺産「菅沼合掌造り集落」。集落をぶらぶらするも特に見どころはありません。観光地というよりも普通に生活しているという雰囲気。


車だと見落としてしまいそうな道路から見る「菅沼合掌造り集落」の全景。観光地化せずに、このまま静かに過ごさせてあげたい、そのように感じた集落でした。


国指定の重要文化財「岩瀬家」。先を急ぐため外観のみ拝見。


道の駅「白川郷」で休憩タイム。飛騨産の榧(かや)の実を使ったソフトクリームを美味しくいただきました。空模様が怪しいため先を急ぎます。


えっちらおっちら急坂を上って、白川郷の集落を一望できる展望台に到着。こちらはさすがに観光客が大勢います。ここから「雪景色」を見てみたいものですが、さすがに「ブロンプトンの旅」では実現できそうもありません。


白川郷にも何度も訪問しているため、ささっと流して離脱します。相も変わらず観光客で賑わっている白川郷でした。

この先はひたすら上りが続きます。


MIBOROダムサイドパークで御母衣ダムのダムカードをゲット。ここは休憩施設になっていて、「御母衣シアター」、「発電アドベンチャー」、「荘川桜の写真展示コーナー」、さらに2階には広い休憩スペースがあります。

まだ上り区間は続きます。

ひたすらひたすら上っていくと、「ひるがの分水嶺公園」を境に前振りもなく下り区間に突入。途中で停まるのが面倒になるくらい、いっきに下っていきます。「ユリ園」へ向かう道との分岐点で減速してみるも、空を見上げて「パス!!」と叫んで下り続けます。ユリの花と青空をセットで撮るイメージを持っていたため、雨雲が漂っている中での撮影など考えられません。

まだ時刻は13時少し過ぎ、この先はどうしようかなと考えながら走るも「今日はもうやめた」と突然開き直って美濃白鳥駅へ。


駅周辺をウロウロしてからコンビニで軽く補給。駅に戻り午後2時過ぎの列車に乗り込みます。


車内はこのように殆ど貸切状態だったのですが、郡上八幡駅で大勢の団体旅行客が乗り込んできて車内は通勤ラッシュ状態。添乗員らしき人がお客さんがいるとかいないとか何やら連絡を取り合っていて、なかなか列車が出発しません。こういう場合は、団体客向けに臨時列車を走らせるべきでしょう。不穏な雰囲気な中、列車は進み、景色が良い区間を過ぎると団体客は降り、再び平穏な時間が訪れましたが、しばらくすると学生さんたちの通学区間なのか、再び車内は混雑。この列車には二度と乗りたくないと思ったわけですが、美濃白鳥駅から再開させる必要があるため頭が痛いです。

雨に降られることなく18時30分ごろに帰宅。

「この続きをいつやるか」悩む日々は続き、ネタ探しをしたところ、美濃市の「洲原ひまわりの里」を絡めてみるのがちょうど良いと結論付けましたが、8月は週末になると天気が崩れて、ヒマワリの時期が終わってしまいました。

「遠征のルートは全て接続させる」という自分ルールのためだけに出かけるのは正直言って気が重く、白鳥から九頭竜湖を経由して福井市、それとも郡上八幡から山越えして恵那、それとも。。。無理やり感があって必然性が無いルートばかり。

「洲原ひまわりの里」のヒマワリの開花時期は2段階構えのようで、9月中旬に「ヒマワリ迷路」がオープンとのこと。ならばそれに絡めて再開です。

2014年9月14日


10時5分、美濃白鳥駅。絶好の行楽日和ということもあって、郡上八幡までの区間は結構な乗車率でした。美濃白鳥駅で下車したのは私を含めて2組のみ。この時期に美濃白鳥に何があるのか知りたいくらいです。


8月なら白鳥で宿泊して「白鳥おどり」を楽しむことができます。私も白鳥に泊まってお祭りを見物したことがありますが、郡上八幡に比べると規模が小さくローカルなお祭りでしたが、小さい町全体が賑わうことは間違いありません。

10時22分スタート。


白鳥から郡上八幡まで下りの追い風ということもあって、ブロンプトン弐号機でもアベレージ28km/h。下り用のギアが無いブロンプトン弐号機ではハムスター状態です。


こちらも30年前から変わらない観光風景。


妙に観光客が多いと思ったら、世間では「3連休」のようです。ブロンプトンの旅を始めた当初と比べると、多少なりとも景気が良くなっているのか、観光地の混み具合が違います。


ここからの景色も変わりませんね。10年前の夏場に訪問した時は、ここから飛び降りる若者が数多くいましたが、現在は飛び込み禁止になっているのでしょうか。


郡上八幡からは反対岸にあるローカルな道を走ります。交通量が殆ど無く、日陰もあるため、夏場のサイクリングに最適です。ただし、追い風の恩恵が無くなり、微妙なアップダウンが続くため、急ぐ場合には国道を走りましょう。

ところが、途中から通行止めになってしまったため、国道を走り、道の駅で休憩、ささっと進むと「あれ?美濃市の町並み?」、つまり「ヒマワリ畑」を通りすぎてしまいました。途中には案内板などいっさいなく、はてさてどうしたものか。地図をチェックすると、どうやら国道ではなく、ローカルな道をそのまま走ればヒマワリ畑の脇を通るようです。ということでUターンして、ヒマワリ畑へ。


ここが「洲原ひまわりの里」ですが、失礼ながら想像していたより規模がかなり小さいヒマワリ畑です。商売で運営しているわけではないため、大々的なアピールなどせず、興味がある人だけ訪問ということかもしれません。


今日も元気にヒマワリが咲いています。郡上八幡からの帰りに、ちょっと立ち寄ってみるのをお勧めします。


再び美濃市内に戻りましたが、約14kmも余分に走ったことになりました。


以前は見向きもされなかったかもしれない美濃の古い町並み。この手のものがブームになってきたためか、美濃の町並みも以前よりは観光地ぽくなっていて、それに比例するかのように観光客が大勢訪れています。車で移動しながらの「高山→郡上八幡→美濃」の町並み散策旅行がお手軽で良いかもしれませんね。


うだつ造りの代表的な民家「小坂家住宅(国指定重要文化財)」。店舗として営業中。


旧今井家住宅(市指定文化財)。こちらは入館料300円だそうです。

美濃市の「うだつの上がる町並み」も1時間くらい掛けて散策してみるのも良いかもしれませんね。案外、近場にこのような観光地化された古い町並みがあることを知らない人が多いのでは? 実は私もブロンプトンの旅を始めるまでは知りませんでした。

豊田市の足助町も最近は活性化させようと努力していますが、こういうのもブームなのでしょうか。


中山道を走る「関ヶ原~土岐」』で通った「鵜沼」を通り抜けて、『岐阜遠征「戦国時代の面影を巡る旅」』のゴール地点だった犬山城が見えてきました。

オプションのルートを日本一周のルートに接続させるだけなら、「白鳥~郡上八幡」の区間を走るだけでクリアです。しかし、「高山~郡上八幡~岐阜」を含めると4日間の行程となっているため、日本一周ルートそのものに含めることにしました。つまり、どのようにしたら日本一周ルートに含めることができるのかが課題となったわけですが、「関ヶ原~犬山」「犬山~郡上八幡~白川郷~五箇山」「五箇山~飛騨~高山」「高山~郡上八幡~岐阜」「岐阜~恵那」のように岐阜市周辺からいったん北上してぐるっと周って戻ってくるというルートにすれば、無理やりですが日本一周ルートの一部になるわけです。


15時40分、ゴールの犬山城に到着。

犬山駅から名鉄で移動の予定でしたが、夕方の名鉄の混み具合を考えるとブロンプトンでも悩みます。まだ時間が早いため、高蔵寺駅までこのまま自走して愛知環状鉄道で帰ることにしました。

そして、16時55分、高蔵寺駅に到着。美濃白鳥駅からの距離が119kmで所要時間が6時間33分。ブロンプトンにしてはハイペースゆえに、走行距離の割には結構疲れました。

高山~白川郷~郡上八幡

日本一周補完計画の岐阜編はこれにて完了です。

走行マップを改めて眺めてみると岐阜市から北上して、岐阜県北部をぐるっと周り、再び南下してくるルート設定には無理やり感があります。他の候補としては『懐かしの「能登半島」満喫の旅』の富山県の砺波市から五箇山、白川郷を経由して郡上市へ、そして高山市から飛騨市を経由して富山市に繋ぐルートも検討しました。五箇山を除けば岐阜県であるため、富山県にくっつけるのはどうかなと悩みボツとしましたが、高山市と郡上市を除いた「砺波市→五箇山→白川郷→天生峠→飛騨市→富山市」ならば富山県にくっつけても違和感がありません。今思うとそうすれば良かったと少しばかり反省。では、高山市と郡上市をどうするのか。「高山市→下呂市→恵那市」にすれば、岐阜市から北上して高山市で折り返し、恵那市に戻ってくるルートになります。中山道をいったん外れて岐阜県北部を周ってくるという感じです。

岐阜編はいったん完了としますが、富山編とセットで再考するかもしれません。

交通費 : 9,650円
宿泊費 : 10,800円
観光 : 800円
食事、おやつ、ドリンク : 3,440円
土産 : 700円

合計 : 25,390円



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