「労力換算平均移動距離」という考え方

平野部を200km走る場合、山間地を160km走る場合、激坂の峠巡りを120km走る場合、さて所要時間それぞれどのくらい掛かるのでしょう?

過去に走ったことがあるエリアならば、だいたいの目安は分かりますが、見知らぬ土地を走るとなると「さてどうなんでしょう」となるかと思います。地図を眺めて「だいたいこんなものでしょう」とざっくりでスケジュール組みをして、いざ走り始めると「こんなハズでは…」となったことは過去に何度もあります。たいていは「平均速度」、つまり時間あたりの移動距離をチェックしながらペースとして速いのか遅いのか判断しているからです。(「センチュリーラン」の定義が8時間で160kmとなっているため単純に距離で判断しがちです)

なんどもそのような経験をすると走行距離をベースとした「平均速度」で判断するのは間違っていることが分かります。平地の100km、山間地の100km、ヒルクライムありの100kmでは所要時間は全く違います。走行距離だけではなく、獲得標高および勾配に大きく左右されるのです。私は以前から「労力換算距離」という数値で判断していました。

労力換算距離=走行距離+獲得標高*20

平野部の100kmと山間地の100kmでは労力が違うため、必然的に所要時間も変わります。アベレージというものは何の役にもたちません。

直近の2か月間のデータを表にしてみました。

日付 ルート 走行距離 獲得標高 所要時間 (*1) 自転車
8月6日 奥三河の峠巡り 179.32 2,756 10.4 22.5 ニローネ
7月31日 静岡県縦断耐久ラン 140.56 905 7.9 20.1 ニローネ
7月30日 富士山スカイライン 103.14 2,515 8.0 19.2 ニローネ
7月24日 グランフォンド恵那 106.90 2,456 7.8 20.1 ニローネ
7月23日 激坂四天王との闘い 100.20 1,427 6.5 19.8 ニローネ
7月17日 ツールド高野山 108.60 2,128 7.5 20.2 キャスパー
7月16日 金剛山と暗峠 97.17 1,576 8.0 16.1 キャスパー
7月10日 三重の峠巡り(中部) 120.00 1,664 7.6 20.2 ニローネ
7月9日 鳳来寺山 74.83 981 4.3 22.0 アンティーコ
7月2日 三重の峠巡り(北部) 156.42 1,889 9.0 21.6 ニローネ
6月26日 三河湾スカイライン 74.60 739 4.0 22.3 キャスパー
6月19日 賀茂しょうぶ園 98.00 389 5.0 21.2 LupoD
6月13日 富士スバルライン 111.00 1,871 7.5 19.8 ニローネ
6月12日 ヤビツ峠と箱根旧道 103.00 1,863 9.5 14.8 ニローネ
6月11日 箱根国道一号と足柄峠 88.00 1,833 5.5 22.7 キャスパー
6月10日 ふじあざみラインと明神峠 81.00 2,128 7.0 17.7 キャスパー
6月5日 三重の峠巡り(北部) 125.00 2,076 7.5 22.2 ニローネ

(*1)
労力換算平均移動距離=(走行距離+獲得標高*20)/所要時間
所要時間には観光時間を除き、休憩と食事を含みます。

「労力換算平均移動距離」が上下する要因としては
・過去に走ったことがあるor初めて走る
・ロングヒルクライムなのか
・勾配10%以上の上りが続くのか
・単独なのか集団なのか

単独で走る場合は誤差の範囲も10%程度ですが、大勢で走ると予測不可能なほど予定が狂います。

2人なら単独で走る場合とそれほど変わらないかもしれません。列車を組んで多少の楽ができるといっても、それはあくまでも平地の場合のみで、山間地の場合は個人差があるためロスタイムは発生します。3人以上になると「遅い人のペース」「休憩が多い人のペース」が合算されるため、さらにロスタイムが大きくなります。

個人的には「遅いけど休憩殆ど無しでOK」と「速いけど休憩多い」がいっしょに走ることにムリがあると思います。

私の場合は山間地を一日走っても平均心拍数は140未満の“まったり”ペースです。その代わりに最低限の休憩のみで走り続けます。中途半端に長い休憩をとると脚が動かなくなってしまいます。昼食をガッツリとってもそれが走るためのエネルギーになるのは3時間後ですから、昼食をとるよりは、こまめに携帯補給品でエネルギーを補給した方が効率が良いです。そもそも「食べること」が目的ならば最初からそれに適したコース設定をします。

長くなりましたが、私の場合は時間あたりの労力換算平均移動距離“20km”を目安にしておけば「こんなハズでは…」とならずに済みます。

例えば走行距離120kmで獲得標高2000m、観光で2時間というルートを設定した場合、概算の所要時間は「10時間」となります。これを目安にペース配分をしていき、スケジュールに遅れが出た場合は観光時間を少し削って調整します。

なお、ブロンプトンの場合は“16km”にしておかないと、100%後悔します。



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