自転車遊び倦怠期の人にこそ漫画「ぶらりポタりずむ」を

ポタリングとは「自転車散歩」のことですが、ここ数年で広まったキーワードかと思っていましたが、自宅に有った三十数年前のサイクルスポーツに「ポタリング」という表記がありました。それより前の第一次自転車ブームの時期からサイクリングというくくりの中のひとつの遊び方だったのかもしれません。

(すでに終焉に近い)現在の自転車ブームはスポーツ志向が強く、若いころに自転車遊びをやっていて再開した人とか、昔から自転車遊びを続けている人から見ると妙な違和感を持っているかもしれません。

ロードバイクありきのような自転車ブームに対して「もっと気楽に自転車遊びをしようよ」と訴えかけているのが、この「ぶらりポタりずむ」であるわけです。

ぶらりポタりずむ
イセケヌ(著)「ぶらりポタりずむ」

この「ぶらりポタりずむ」の表紙の自転車はターコイズカラーのブルーノミニベロ16ロードですが、私が自転車遊びを再開して最初に買ったのがターコイズカラーのブルーノミニベロ16ロードですから、「この漫画を買うしかない」と衝動買いしたわけです。実はどのような内容の漫画なのか調べずに「ブルーノミニベロ16ロードが活躍する漫画」だと勘違いしたというのが本当のところです。

描かれていることに関しては私が中学、高校の時にやっていたスタンスと同じであり、四十半ばになって自転車遊びを再開した時の切っ掛けにも似ています。

一見すると初心者向けの漫画のように思えるかもしれませんが、実は違うと私は感じました。

「今の生活に何か刺激が欲しい」「もう少し違う趣味を楽しんでみたい」「自転車ってどうなんだろう。少し気になる」というような、これから始めようかと考えていて何か切っ掛けが欲しい人。

そして、「ロードバイクでたくさん走るのはもう飽きたけど、自転車遊びは続けたい」という倦怠期にある人に適した漫画です。

「少し走れるようになったので、これからもっとガンガン走れるようになりたい」と思っている初心者には、水を差すような感じがするので受け入れられないと思います。ロードバイクを買ってしまうと「たくさん走ること」が目的になってしまうのは仕方ありません。やれるところまでやるとそのうち飽きがくるので、それから自転車遊びの幅を広げてもいいかもしれません。

実は、自転車遊びの動力源は人間ですから、エンジンは強い方が良いです。ロードバイクで200kmを10時間で走りきるだけの能力があれば、アップダウンが多そうな山間地でも景色を楽しみながら、のんびり走ることが可能で、走るだけでなく観光も十分に時間を割り当てることができます。数十キロ走るだけでいっぱいいっぱいでは、行動範囲は限られます。自動車+自転車という方法を使えば、美味しいところだけ走るという方法もありますが。

ぶらりポタりずむ
エピソードとしてはこの「オリンパス・ペンF」が出てる話が好きです。このカメラの特色を上手く使ったエピソードは、作者のカメラ好きが良く表れています。

このハーフサイズカメラで24枚撮りフィルムを使えば1本で48枚撮ることができます。よって、47都道府県で1枚ずつ撮っていけば、1本のフィルムで日本一周の記録ができるというわけです。

中古で購入した「オリンパス・ペンF」に入っていたフィルムを現像してみたら、46箇所の名所の写真だった。調べてみると1県だけ抜けているため、元の持ち主の代わりにその抜けた県を走りに行くというお話ですが、これ以上はネタバレになるので割愛します。「走ることに必死にならなくても良いんじゃないの?」が伝わってくるエピソードです。

たくさん走ることに飽きた自転車遊び倦怠期の人に「ぶらりポタりずむ」をお勧めします。



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