日本の道路事情を考慮すると、“自転車で旅する”は敷居が高いものがあります。サイクリングのイベントは、道路事情に詳しい地元のサイクリストが綿密にプランニングしたコースをトレースするわけですから、とりあえずは安全性が確保され、走って楽しいコースになっているわけです。さらに単日で終わるイベントですから、娯楽の範疇ともいえます。
どちらかといえば、ブルベもサイクルイベントの延長線上にありますが、自転車旅は全く違うものです。
自転車旅を扱う雑誌は、隔月刊誌や季刊誌どころか定期刊行物すら壊滅状態にあります。今回の健康ブームから始まったと思われる自転車ブームでも、“自転車旅”という趣味は定着しなかったのかもしれません。
しばらくは“イベント”という位置づけで、自転車を楽しむ人たちは残っていくと思いますが、“自転車で旅をする”を趣味にする人たちは今後も超少数派であることは間違いないようです。
「シクロツーリスト(旅と自転車)」と「自転車と旅」は両誌ともVol.10で打ち止めになっていますが、「自転車と旅」に関しては2015年1月に総集編が発刊され、2015年4月に折り畳み自転車を使った自転車旅をテーマとした特別編が発刊されました。これでいよいよラストのような雰囲気がありましたが、2016年3月に「自転車と旅【特別編】BICYCLE×TRIP 2016」が発刊されました。
タイトルが「BICYCLE×TRIP 2016」になっているということは、「2017」「2018」のように年間1冊のペースで発刊していくのでしょうか。細々でも続ける事で、自転車旅をやってみようと興味を持つ人が新たに現れるかもしれませんね。
世の中には「コンプリートさせることが好き」という人たちがあるゆる分野にもいるものです。自転車旅がニッチなものならば、そういう人向けに特化させるのも面白いかもしれません。
会社勤めをしていては、一括の日本一周自転車旅というものは不可能ですが、年に数回、そして何年間も掛けて少しずつ続ける分割日本一周なら可能です。
・ブロンプトンの旅「日本縦断Aルート中」編
ネット:1949.5km
グロス:2088.7km
・ブロンプトンの旅「日本縦断Aルート西」編
ネット:2136.6km
グロス:2143.9km
・ブロンプトンの旅「九州・沖縄」編
ネット:2560.4km
グロス:2747.9km
・ブロンプトンの旅「日本縦断Aルート東」編
ネット:3904.8km
グロス:3926km
・ブロンプトンの旅「日本縦断Bルート」編
ネット:6862.5km
グロス:7352.4km
日本一周の後半は遠征の頻度を増やしたため5年間で達成できましたが、常識の範囲でコツコツと続けるのならば10年計画になると思います。
分割日本一周ネタで書籍を作るのなら年に1回のペースで発刊でも十分ですし、それを眺めながら「これなら自分でもできそう」と思う人が増えるかもしれませんね。
分割日本一周の場合は、輪行が必須になり、飛行機も使う必要があるため、折り畳み自転車をお勧めします。
折り畳み自転車なら観光地をぶらぶらしてもそれほど邪魔になりませんし、宿に預けて“自転車無し”で過ごす日があっても良いかもしれません。