「内装5段変速は微妙です」とはどういうことなのか

ブロンプトン初号機の修理後、冬場のカスタマイズ期間中にやりたいことがあったため、小牧のショップに「内装5段変速」のホイール組みを相談しました。「組むことはできますが内装5段変速は微妙です」と意味深なことを言われましたが、その時はシフターの調整が難しいことなのかなとそれ以上は突っ込んだ話には発展せず、「内装5段変速のホイールが欲しい」という依頼だけして、「10速化」作業は自分でやることにしました。

ホイールさえ手に入れたら、もともと外装2段変速仕様のS2Lを「10速化」させることは難しくありません。ポン付けで終えることができます。

まずは「10速化」させて、いつものトレーニングコースで検証。ジテツウでギア構成の再確認。構成を変更してさらにジテツウで確認。この時点で「内装5段変速は微妙です」が何なのか薄々感じましたが、後戻りはできません。

仕上げで「20速化」させて、激坂巡りのサイクリングで最終確認。

「20速化」させたことで「内装5段変速」が活きることになるとは、ホイール組みを依頼した時点では想像もできないことでした。今回の「20速化」に取り組むのための情報収集で、M3Lを「内装5段変速」にカスタムしただけで十分に満足しているレポートを数多く見かけました。それ故に「Sturmey Archer SRF5(W) 内装5段変速」に対する期待は大きかったのは当然です。

はっきり言って、ブロンプトン内装3速を内装5速にするだけでは大して変わりません。費用対効果は非常に悪いです。

ギア構成としては「SRF5(W) 内装5段変速」の2~4速が「SRF3 内装3段変速」の1~3速に該当するため、「SRF5(W)に交換すれば、重いギアと軽いギアが手っ取り速く手に入る」と思えます。

4速をベースにギアを設定した場合は「下り」のギアが手に入り、さらに超激坂のギアも手に入るので、実際に「SRF5(W)」を手に入れるまではワクワク感が非常に高かったです。

ところが、「SRF5(W)」の1速はパワーロスが尋常じゃないほど大きく、どうしても回して上りたいという特別な理由が無い限り使えるものではありません。5速もパワーロスが大きく、無理やり回すことになります。下り専用のギアゆえにパワーロスに気が付かないかもしれませんが、緩い下り区間を快適に走ることができるというわけではありません。

つまり、実用的なのは2~4速のみとなり、「内装5段変速」なのに実質「内装3段変速」と同じです。といっても、1速に関しては、緊急時の保険にはなるため、「5速化」がムダなカスタマイズであるとは言い切れませんが。

ここまでのカスタマイズでは「内装5段変速は微妙です」そのものです。3速をベースとしたギア構成では5速は重すぎて使えない、1速も使えない、よって4速をベースにしたギア構成にして、パワーロスが大きい下り用のギアを手に入れる。そして、どうしても超激坂を上りたいための1速がある。まさに「微妙です」そのもの。

さて、ここからどのようにして「微妙です」を突破させるのか。

パワーロスが少ない3速をベースとしたギア構成にして、外装2段変速とセットで使えば「内装3段変速」には無い「中間のギア」が手に入ります。M3Lで走っていると「中間のギアが欲しい」と常に感じるため、10速化(実質6速)のメリットは大いにあります。そして、パワーロスが少ない3速を常用することで平地巡航が多少なりとも楽になります。

しかし、上り区間のギアが足りない。

4速をベースにすれば激坂の上りのギアが手に入るが、下り区間と平地区間でデメリットが。。。

下り、平地、緩い上り、激坂の上り、全てをカバーさせるにはどうしたらいいのか。

フロントダブル化。

ということで、長くなりましたが、「内装5段変速ギア」のメリットを最大限に引き出すためには「20速化」させる必要があります。

「中間のギア」が要らなければ、「SRF3 内装3段変速」はそのまま使い、フロントダブル化させるのがお得です。下りと激坂の上りのギアが手に入ります。

「ややこしいことは考えたくない」という場合は「6速モデル」を使いましょう。ポン付けで終わる「6速化キット」というのもあります。カスタムそのものを楽しむのではなければ、ショップの立場としては「6速化」を勧めるでしょう。そういうこともあって「微妙です」という表現だったのかもしれません。



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