ビアンキニローネで400kmブルベ「BRM328名古屋400自転車乗りの休日」

今年の名古屋ブルベの200kmは超初心者向き、300kmは“風さえなければ”初心者向きという優しいコースが続きました。BRM328名古屋400のサブタイトルに「自転車乗りの休日」と書かれていることもあり、コースが発表されるまでは400も初心者向きのコースだろうかと思っていたのですが、400からは難易度がいっきに高くなり「これぞブルベ」というコース設定になっています。

アンティーコで参加を予定していた名古屋ブルベの400kmですが、コースが発表された時点で「ミニベロではムリ」と判断してロードバイク(ビアンキ ニローネ)を投入することにしました。その練習を兼ねて過酷な中部200に参加して、ニローネの場合のペース配分の検証と不具合箇所を確認しました。振動吸収性を最優先させて投入したタイヤ「グラベルキング26c」を引き続き使うことにして、ヘッドの不具合はパーツを入手してセルフメンテ。

ブルベの参加初年度に使ったパナモリORC16なら、山間地を走るコース設定のブルベにも対応可能ですが、“認定完走”だけが目的ではないため、あえてニローネを使うことにしたのですが、結果としては「パナモリORC16だったらもう少し楽ができたかもしれない…」でした。

さて、BRM328名古屋ブルベ400kmの「スタート~PC1」の区間の獲得標高は1926m/1589m、「PC1~PC2」の区間の獲得標高は1804m/2091m、前半の205kmで3730mも上るという非常に過酷なコース設定になっています。ヒルクライム遊びで山を走り回っていた時期でも200kmで3700mも上ることはなかったため、ある意味「初体験」となるわけです。


時間制限内にPC2を通過すれぱ、残りの区間の獲得標高は非常に少ないため、トラブルさえなければ時間内完走は間違いありません。足切りせずに前半を走りきることができるのか、それに尽きる400kmブルベということです。

山間地をひたすら走る前半パートは非常に過酷ですが、平野部と海岸線沿いを走る後半パートを休憩多めでゆっくり走っても、気持ちさえ切れなければ認定完走が可能という優しさにあふれたコース設定ともいえます。


6時少し過ぎに自宅を出発。桜は既に三部咲きでしょうか。4月の最初の週末に満開を迎えそうですが、あいにく週末の3日間は雨予報。その雨で桜が散ってしまうかもしれません。


6時30分、ブリーフィング。200の時は初心者ぽい人もちらほら見かけますが、さすがに400、特に今回の過酷な400に参加する人たちは何やら異様なオーラを発しています。前半の200kmで3700mも上るのですから、あの過酷な中部200より非常にキツイことを予想できます。今回に関しては経験値が低い人が気軽に参加するようなブルベではありません。

今回も最初から独り旅になることを覚悟してスタート。ところがスタートして数キロでサドルバッグに装着させていたリアライトが吹っ飛んで緊急停止。スタート前に「恵壱さん」に指摘されていたのですが、中部200の時は特に問題がおきなかったため大丈夫だろうと思っていたのですが、どうやらあの時は泥除けが上手いことリアライトがタイヤと干渉することを防いでくれていたようです。

吹っ飛んだリアライトを回収していると、爆走集団「めばるーず」が通り過ぎていきます。休憩多めの「めばるーず」ですから、いつもは各PCで追いつくのですが、今回は残念ながら二度と見かけることはありませんでした。


9時28分、矢作ダム。今朝は妙に心拍数が高まってしまい、150bpm未満で走ることができない状態が続くため、この時点でかなり疲れを感じます。頑張るつもりはなくても今日の参加者たちがやけに速いため、周囲を見ながら“普通”に走っていても心拍数が150~160bpmに。。。

序盤から単独走であっても、気持ち的には最下位を走りたくないという変なプライド。300まではミニベロでしたので、“安定のシンガリ”で十分ですが、ロードバイクを使っているのに最下位というのは哀しくなってきます。

実は、小渡のコンビニの先をいつものように右折してしまいました。曲がった箇所がQシートの距離と違うと途中で気が付き、まさかと県道11号をしばらく眺めていると参加者らしき人が走っているのが見えたためUターンしています。私と同じように“いつものように”と曲がってきた参加者とQシートを確認しつつ、コースに復帰。この時点で走行距離に誤差が発生しているため、次に曲がるところで悩むことになるのです。

国道257号に出て最初の自販機コーナーで水分補給を兼ねながらリアライトを修復していると、40分遅れで「単独サイクリング」をスタートした恵壱さん登場。あちこちヒルクライムオプションを追加させながらPC2まで走るらしい。スタート時刻を遅らせて、さらに寄り道をしながらPC2を足切り時刻前に通過してから自宅に戻る予定とかで、仮にブルベに参加していたら10時間くらいでPC2をクリアしそうですね。

小渡のコンビニで補給品を仕入れることなく進んでいます。ブリーフィングの時に、道の駅「平谷」で何かしらの補給を助言されましたが、タイムテーブルを作成した時点で道の駅で休憩を取るような余裕がないことは明白。しかし、道の駅を逃すと補給ポイントが無いので困ることに。。。

平坦なら補給しなくても100kmくらいは問題ありませんが、今日はひたすら上るため、本人が思っている以上にカロリーの消費が大きいです。

田舎の集落には1軒くらい“雑貨屋”があることは経験上分かっているので、国道418号に入ったところの集落の建物を1軒ずつチェックしながら進みます。


勘は当たり、雑貨屋で菓子パンを入手。ここでカロリーを補給しておけばPC1までエネルギー切れを起こすことはないでしょう。


国道418号は「これでも国道?」という感じのサイクリング向きの道が続きますが、すでに妙な筋力ダウンを起こしているため、ちょっとした上りでもインナーローを躊躇なく使います。

今日は明らかに何か変です。

道の駅「平谷」では水分補給のみでリスタート。


峠まで数キロですが、いっきに上り切る力がなく、小休憩。これでは先が思いやられます。


12時32分、ようやく治部坂峠に到着。タイムテーブルより約1時間も早いということは、やはり矢作ダムまでの区間を無理していたようです。


周囲を見渡すと雪がまだ残っています。私の場合、寒いと膝に負担が掛かるようで、すでに膝に痛みが出ています。2014年春の東北遠征の八幡平で右膝を痛めましたが、全く同じ個所が痛むため慢性化しているのかもしれません。ジテツウの時でも少し無理すると痛みます。


寒原峠を過ぎれば勾配7%が7.5kmも続く下り坂。しかしながら下りに不安感があるニローネでは、自転車の挙動に神経を使うため、下りなのに非常に疲れます。勾配5%程度なら快適な下りですが、勾配が少しでもきつくなると40km/hを超えないように常にブレーキングが必要になります。「下りは早く終われ」そればかり。


飯田市に向かうと見えてくる景色。自宅から飯田市まで自走したのは遥か34年前の高校2年の夏のこと。当時は飯田市からさらに北上して塩尻、甲府、富士五湖巡り、御前崎、そして自宅というコースを走りました。全て野宿でしたが、若かったからそれができたのでしょう。この年で野宿はムリです。


PC1でガッツリ補給。それにしても今日の参加者は剛脚が揃っているようで、走行中どころかPCでも殆ど見かけません。なんとなく単独サイクリングをしているような気分になってきます。


「PC1~PC2」の区間はひたすら国道151号を走るのですが、静岡県側は写真のような雰囲気の田舎道。茶臼山より北側の国道151号を走る機会はないため、新鮮な感じがします。実は見た目とは違って結構な上りが続くため、途中で何度も小休憩を取っています。どうしても身体が動かなくなって10分ほど横になったこともあります。


道の駅で休憩を兼ねて水分補給。「急いでも仕方ない」それしかありません。


17時11分、上る筋力が力尽き、途中で何度も押し歩きをして新野峠に到着。この時点での計算上のマージンは15分しかありません。このコースの素晴らしいところは、この峠を通過する時にマージンがゼロどころかマイナス1時間になってしまっても挽回できることです。それはロードバイクを使っていればなおさらのことです。※ミニベロでは上りのタイムロスを下りで挽回することは非常に難しいのですが


ということで、PC2到着時にマージンを1時間30分作ることができました。ここでもガッツリと補給しておきます。


国道151号のバイパス区間の迂回路については、下見しておいたため、なんとか迷子にならずに国道23号との合流地点に到着。 ※PC2を制限時間内にクリアしたのに迂回路で迷子になったためにタイムアウトした参加者さんの話は後述。


PC2以降は“おまけ”の200kmですから、普通に走れば間違いなく認定完走できます。精神的に余裕ができると走行中に考えることは「次に何を食べようかな」となってきます。PC2から通過チェックの半田市まで結構な距離があるため、その中間地点で気分転換の休憩タイム。「炭酸が欲しい」と思っただけのことです。


「次にヨーグルトを食べたい」と思ったので通過チェックで補給。ここから通称「知多イチ」となります。昼間は交通量が多くて嫌になってくる「半田~河和」の区間も、さすがに深夜となれば交通量が非常に少なくて快適です。しかし、なぜか群青色の服を着た人たちがウロウロしているため、前方不注意は厳禁です。師崎までの区間に1箇所だけてなく何箇所にもそういう人たちが出没していましたが、いったい何をしている人たちなんでしょうか。怖いものがあります。

PC3では眠気覚ましの缶コーヒーとノド飴を購入。


2時31分、「シュールな知多半島」をイメージした野間の灯台。この景色を見ることができたことは貴重な体験です。今回のブルベに参加していなければ一生見ることはありません。

この後も“のんびり”快適に走ることができるかと思っていたのですが、「PC1~PC2」までの区間のように妙に全身に力が入らなくなって小休憩の連続。


東海市の通過チェックが最後の休憩ポイントになります。ここまで来たら急ぐことは全くないため、他の参加者たちがさっさとリスタートする中、私は「朝食タイム」としました。 ※最後尾あたりになると参加者たちの走行ペースが殆ど同じで、休憩ポイントで何度も再会することになります。


大府、刈谷を通過する頃には夜明けを迎え、そろそろこのブルベもゴールが近づきます。夜明けとともにゴールを迎える400は「感動のゴール」という演出感があって結構好きです。知立に入ると、迷子になりそうな参加者さんを発見。話を聞くと例のバイパスの迂回路で迷子になって、タイムアウトになってしまったらしい。過酷な前半をクリアしておいて、その直後に迷子になってタイムアウトとは悲しすぎます。この先もゴール間際とはいえ、分かりにくい個所があるため、ルートをガイドさせていただくことにしました。すでに23時間切りは不可能で、24時間切りは確実であるため、時間を気にする必要はありません。

国道155号の曲がり角、そして県道56号の「自転車通行禁止」区間の迂回路までガイドして、そこでお別れしてラストスパート。

ところで、あの迂回路をどれだけの人が知っているのか疑問に思います。私は地元民で38年前の通学で通っていたため問題ありませんが、県道56号を走るといきなり自転車通行禁止の標識が現れ、迂回路の説明はいっさいありません。


そして感動のゴールです。なんとか予定通り「24時間切り」を達成しました。名古屋ブルベのスタッフの皆様、ありがとうございました。

走行マップ

距離 : 403.40km
獲得標高 : 3,953m
平均速度 : 20.7km/h
平均ケイデンス : 76rpm
平均心拍数 : 138bpm


スタート前に咲いていた桜の開花が、1日経過してさらに進んだような気がします。

心拍数の推移

今回のブルベの疲労感はアンティーコで参加した300よりもさらに酷い状態にあります。パナモリORC16とニローネの違いなのか、ただ単に過酷なコースだったからなのか、それとも序盤のオーバーペースが原因なのか、理由が分かりません。400のゴール後の疲労感からして、さらに200kmは難しい状態にあります。とりあえず、富山まで往復する600には実績優先でパナモリORC16を投入することにします。

区間 距離 標高差 高度下降 平均速度 平均心拍数 平均ケイデンス
スタート~矢作ダム 50.83 611 319 21.9 158 81
矢作ダム~道の駅「平谷」 35.27 719 92 17.0 157 74
道の駅「平谷」~治部坂峠 5.28 269 0 10.8 155 65
治部坂峠~PC1 28.10 181 978 27.0 141 74
PC1~新野峠 37.32 1,157 514 14.0 146 64
新野峠~PC2 50.43 295 1,240 27.5 136 82
PC2~通過CK 86.38 353 445 23.1 131 80
通過CK~PC3 28.57 76 71 21.8 124 79
PC3~通過CK 51.23 116 128 20.1 116 75
通過CK~ゴール 29.97 176 149 20.6 126 76

追記.

風磨堂さんがブログに迂回路のことを書いていたので、地元民だけが知っている正式な迂回路を公開。自転車通学している人だけ通行しているのが実情。通常、あの区間の県道56号は走りません。

Aコープのところを通る1本隣の道を走ります。

軽車両通行禁止の区間は自転車で通るには非常に危険だから「軽車両通行禁止」になっているのです。



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