ブルベデビューイヤーの昨年はロードバイクで簡単にSRを取れてしまったため、今年はブルベに参加するモチベーションどころか参加する理由や目的が無かったわけですが、ブロンプトン弐号機を買ってしまったことで話は急転換。
「ブロンプトンでSRを取る」は本当に実現可能なのか? 「ブロンプトンってそういう自転車じゃないから」と言っては何も始まりません。「ロードバイクで特に苦労することもなくSRを取れてしまったのなら、クロスバイクならどうだろう」とは考えません。難易度が少しばかり高まりますが間違いなくクロスバイクでもSRを取れます。
ブルベをゲームとして考えるのならば「ギリギリの闘い」になるほど「やってやる」とモチベーションが高まり、楽しさ&面白さも高まります。ということで走りに関しては圧倒的に不利な「ブロンプトン」というわけです。
3本ともギリギリの闘いだったと言えます。
「中部300の徹夜走行」、「近畿200丸岡の観光気分」、「名古屋600の膝痛」という経験をすべて注ぎ込んで挑む「近畿400金沢・能登イチ」が「ブロンプトンでSRを取る」のラストゲームとなります。
タイムテーブル
「近畿400金沢・能登イチ」のコースについては、ブロンプトンの遠征で走ったことがある区間が多いため、前半は「(走行距離+(上昇値*2-下降値)*25/1000)/21」、後半は「(走行距離+(上昇値*2-下降値)*30/1000)/20」で組んであります。
通常なら能登半島だけでも2泊3日の旅になりますが、「近畿400金沢・能登イチ」では27時間以内に走るのです。観光ポイントは前半の200km地点までに豊富にあるため、前半は観光ブルベとして十分に楽しむことができます。暗くなってからの後半はひたすら山の中を走り、PC4からPC5までは単なる移動区間みたいなもので、このスケジュールを見る限り「ターニングポイント」はPC4になります。PC4までにマージンを1時間作ることができれば、致命的なメカトラブルが起きない、膝が壊れないという条件付きで完走率は100%。
しかし、名古屋600で痛めた膝が完治していないため走ってみなければ分からないというのが実情です。
早起きして車で移動というわけにはいかないため、前泊となります。金曜日を午後半休して、三河安城駅から金沢駅まで移動。名古屋から特急を利用しましたが、せっかく車両の最後尾を確保したのに米原で進行方向が逆になり、“席の後ろ”が無くなってしまう事態発生。ブロンプトンを足元に置くという窮屈な移動となりました。この反省から復路については、金沢から米原までは特急、米原から三河安城までは新幹線を使いました。
4時20分起床で、金沢駅近くの宿を5時スタート。まずは膝の様子見で、恐る恐るペダルを軽く踏み込んでみたところ、まだ違和感はありますが、なんとかクランクを回せそう。しかし、膝に爆弾を抱えて走るようなものですから、ゆっくりゆっくりと集合場所に向かいます。
5時15分過ぎには既に大勢の参加者たちが待機中。200、300、600と同様に天気に恵まれたブルベになりそうです。
前泊したため、荷物は少し多めとなっていますが、フロントバッグを使うかどうかギリギリまで悩んだ中途半端な荷物量です。「オルトリーブ シートポストバッグ Mサイズ スレート」は見た目ほど荷物が入りませんが、荷物を積むことができるというメリットがあります。
今日もロードバイクばかりだなと思っていると、なんと「BRUNO MINIVELO MIXTE(ブルーノ ミニベロ ミキスト)」が現れる。フロントシングルですから上りが大変そうですが、すでに300kmの認定を取得済みだそうです。休憩を最小限に留めて走り続ける作戦を取るしかないというのは私と同じです。このブルーノミキストは序盤からロードバイクに混ざって爆走したので、再会することになるのは日付が変わってからとなります。
「近畿400金沢・能登イチ」はQシートやルートラボを見ても「意図」が分かりにくいのですが、実際に走ってみるととても良く考えられたコース設定になっています。スタート直後の複雑な区間もこのように街並みを楽しんで走ることができます。
このような渋滞区間は極僅かで、すぐに交通量が少ない快適な道路を走ることができます。それと同時にブロンプトンでロードバイクに付いていけるわけはなく、もともと今日は膝を労わる必要があるため単独走行となってしまうわけですが。
8時56分、PC1に到着。(マージン49分)
麦茶1000ml
クロワッサンドーナツ(チョコ)
クロワッサンスイート
343円
ここでは「クロワッサンドーナツ(チョコ)」のみ食べて、リスタート。
PC1を過ぎると千里浜の景色を見ることができます。今回のブルベでは「千里浜なぎさドライブウェイ」を走るオプションコースが設定されていましたが、走った人がいたのかは不明です。
しばらくすると、お腹の腹の調子が悪くなってきたため「花のミュージアムフローリィ」に緊急ピットイン。今年の4月から無料開放されているらしくラッキーでした。トイレだけというのは気まずいのでちょっと園内を散策。
能登の観光ポイント。巌門まで往復するというのは大幅なタイムロスになり、さらに急坂区間でもあるため、この辺りから眺めてオシマイ。
まだまだ序盤ですが、妙に膝が痛みます。負荷を掛けていないのに何故なんでしょう。バス停の小屋で小休憩タイム。スプレー式鎮痛消炎剤「エアーサロンパス」をプシュ~。(この後も何度も使うことになります)
相変わらず膝が痛むため「日本の棚田百選 大笹波水田」で小休憩。膝の痛みで歩くのもキツイ状態。
シークレットポイントの「ヤセの断崖」で通過チェック。補給品として「みそ饅頭」をいただきました。時間に余裕が無いため「ヤセの断崖」の観光は無し。
再びお腹の調子が悪くなってきたため、道の駅「赤神」で休憩タイム。赤コーラ250mlと「みそ饅頭」でエネルギーチャージ。
いつもは向かい風に苦しむブルベですが、今日は運良く追い風となっています。追い風でも調子に乗ってペースを高めると膝を痛めるため、追い風アシストで楽に走ることに徹します。
しかし、輪島までのちょっとした峠道で膝に激痛が走り、緊急停車。無理しているわけでもないのに、これはかなりヤバイ状態です。まだ115kmほどしか進んでいません。
13時32分、PC2に到着。(マージン52分)
オレンジジュース1000ml
メイジおいしい牛乳500ml
ふり塩海苔オニギリ
ふり塩海苔オニギリ
手巻きおにぎりこんぶ
手巻きおにぎりうめ
804円
おにぎり2個は反射ベストのポケットに収納。
膝が痛みますが、相変わらずお腹の調子もイマイチで「能登の里山里海」でトイレ休憩。行楽日和ということもあってか、ここには観光客が大勢きています。
道の駅「すず塩田村」の日陰で赤コーラ500mlを飲みながら10分ほど横になります。150km前後で疲れがピークに来るのはいつものことです。長居をすると余計に疲れるため身体が落ち着いたところでリスタート。
遠征の時は荷物満載でもえっちらおっちらと上りましたが、今日は膝を壊すわけにはいかないため、ひたすら歩きます。押し歩きでも心拍数が140bpmを超えてしまう身体が妙な状態。
シークレットポイントの「道の駅 狼煙」で通過チェック。金沢から170kmもあるこんな遠くまで、ブルベスタッフの土田様、お疲れ様です。ひたすら孤独な走行でしたのでホッとしました。最高の補給品であるバナナをいただきました。赤コーラ250mlとともにエネルギーチャージ。
道の駅から続く急坂区間を突破すると、ようやく平坦区間に突入です。平坦だからと言ってタイムを稼ぐような走りはせず、膝を労わりながら走ります。
17時48分、PC3に到着。(マージン60分)
オレンジジュース1000ml
ロッテアイス爽冷凍みかん
トマトキュウリタマゴサンド
512円
中間地点でようやくマージンを60分作ることができました。タイムテーブルより31分遅れですが、想定の範囲内です。
そろそろ夕食タイムですが、なぜか食欲が全くありません。オレンジジュースで流し込むような感じで無理やりサンドイッチを食べておきます。
見附島(軍艦島)で記念写真。能登にやってきたらここで記念写真を撮らないわけにはいかないでしょう。「能登半島」のアピールポイントナンバーワンですから。
夕陽に染まる恋路海岸。この時間にここを走ることは二度と無いでしょうね。しかし、1泊2日で能登イチをするのなら、この辺りで宿泊でしょうか。いや、能登半島の観光を満喫したいのなら2泊3日でしょう。
ここで、ふとあることに気が付きました。「道の駅 狼煙」を過ぎて平坦区間に入ってからは膝の痛みが消えています。なぜなんでしょう。
恋路海岸を過ぎるといよいよ山岳コースに突入します。まだ薄明かりがある時間帯はいいのですが、完全に日が沈むと周りが全く分かりません。月明かりが無い山の中の上りは精神的に疲れます。上りがどこから始まるのかどこまで続くのか全く分からない。それが闇夜の怖さです。
急坂はひたすら押し歩き。緩い坂でも少しでも長ければ途中で10~30秒の小休憩。その繰り返しで少しでも膝に違和感を覚えたら停車します。僅かな休憩だけでも膝の疲労感がなくなるため、もしかしたらこれが膝を壊さない走りなのかもしれません。
ここまでの走りで押し歩きしても大幅なタイムロスにはならないことは実証されています。ブルベにおいて一番大きいタイムロスは「休憩」そのもので、PCでの休憩を最小限に留め、少しでも身体に変調を感じたらすぐに停車して様子を見て、落ち着いたら前に進みます。その場合は自転車から降りません。
膝に爆弾を抱えていたので上り区間においてはいつもの半分のパワーしか出せないため、余分なタイムロスは厳禁です。ブロンプトンの場合はタイムロスした分の挽回は不可能。
「もう勘弁して」と嘆きたくなる上りが続き、ようやく「桜峠」。恋路海岸から2時間近く掛かっています。これでようやく上りはオシマイということで「道の駅 桜峠」でトイレ休憩。下りに備えてウインドブレーカーのベストを着込んでリスタートするとトラップの如く上りがちょくちょく現れる。能登空港を過ぎてしばらくすると、ようやく下り。。。中華ライト2本が役に立ちましたが闇夜の下りは怖すぎです。
21時26分、下り終わったところのコンビニにピットイン。
レモネード1000ml
旨辛フライドチキン
297円
旨辛フライドチキンが妙に美味く感じるマジック。
ここで恋路海岸からは穴水までの区間が「山越えコース」なっている理由が「休憩ポイントの有無」であることをようやく理解しました。遠征の時に走った「海沿いコース」の約50kmには休憩ポイントがなくハンガーノックになりかけた経験があります。「海沿いコース」といっても平坦ばかりではなくアップダウンの連続ですので、開き直って能登空港周辺を走る「山越えコース」を選択したのはコース設定の上手さです。能登空港周辺で休憩を取った参加者が多かったかもしれません。
景色は見えない誰もいない静寂な闇夜の「ツインブリッジのと」は、なんとなく不気味な感じがします。
ここから次のPCまでは極僅かと思っていたら、走行距離の割には非常に長い時間を費やしたような錯覚に陥り、精神的に疲れてきます。遠征で走った時は何とも思わなかった上りですら激坂に感じてしまい、押し歩きの連続。この辺りが心身ともにピークに来ていたのかもしれません。
23時15分、PC4に到着。(マージン61分)
焼きプリン
朝食bifixヨーグルト
ルーツアロマブラック
343円
「PC4到着時にマージンを1時間作ることができたら」という予想通りの結果となりました。距離が82.1km、獲得標高が920m/893mになっている「PC3→PC4」の区間を膝を労わりながらグロス15km/hで走ることができました。
今回のブルベにおいて最大のオアシス(希望の光?)となったPC4には大勢の参加者が休憩していました。無理せずに走ればだいたい同じくらいのペースになるのかもしれません。当然ながらロードバイクの人たちはグルメも休憩もたっぷりありそうですが。
PC4からゴールまで約130km。「あと130kmで終わる」と思うと精神的に楽になってきました。400kmのうちの130kmでなく、1500kmのうちの130kmですから「もう少し」という感覚になるのは当然です。正直言ってブロンプトンでブルベというのは苦行そのもので、特にブルベ600kmは二度と走りたくありません。ここでリタイアしてしまったら「最初からやり直し」になってしまうため、意地でも今回のブルベ400kmを完走するのです。
富山県に突入。
2時9分、氷見のコンビニで食事。
麦茶1000ml
でかまるもやし味噌(カップ麺)
296円
気温が下がってきたこともありカップ麺で体を温めます。(追加でPC2で買ったオニギリを1個)
氷見からは参加者たちと何度も会うことになるため、精神的に楽になってきました。「他の人も走っているんだ」そう思うだけで前へ進む気持ちが強くなってきます。同じペアに何度も抜かれたということは、やはりロードバイクの人たちは休憩が多いのかもしれません。
ハットリくん。
今回も仮眠なしで日の出を迎えました。ブロンプトンの場合は走るのがシンドイため、眠くなる余裕がありません。走るだけで負荷が掛かるブロンプトンは徹夜走行に最適です。正直言って嫌ですけど。
明治31年に建てられた城端駅。終盤にこれを見せたいためのコース設定かも。正直言って、氷見を過ぎてからはどこを走っているのかさっぱり分かりませんでした。ナビに表示されるルートだけが頼りですから。
5時29分、PC5に到着。(マージン75分)
ミルクカフェエスプレッソ
メイジガルボミニブラックポケット(チョコレート)
255円
370km地点にPCを用意したのは「仮眠タイム」を確保してほしいからでしょうね。区間距離が96kmあるため、ロードバイクなら仮眠を取っても十分に挽回できます。
しかし、最後の「おまけ」に参加者たちは苦しめられるのです。ゴールまでたったの30kmしかありませんが、最後の最後に峠越えという「おまけ」です。もう上る筋力が残っていないため、医王トンネルまでひたすら押し歩きです。もちろん医王ダムを見に行くなんていう余裕はありません。
石川県に戻ってきました。長き闘いもそろそろ終焉を迎えます。
兼六園&金沢城址を通るコース設定。最後まで「観光ブルベ」を楽しんでほしいという意図が良く分かります。「近畿400金沢・能登イチ」はロードバイクなら間違いなく観光ブルベになり、26.5時間でゴールを目指すのなら2時間くらいの仮眠もとれそうな楽しいコース設定です。
7時30分過ぎに、PC6に到着。PC6が暫定ゴールであり、この時刻がゴールタイムになります。疲労困憊ながら26時間切り。
クリーミーラテ
ふんわりかき氷いちご
275円
そしてゴール地点で手続きをして「近畿ブルベ400km」の完走認定をいただきました。
これで「ブロンプトンでスーパーランドナー達成!!」です。
大きな達成感を抱きながら帰路につきました。
近畿ブルベのスタッフ様、ありがとうございました。
駅弁(かにちらし)
626円
距離: 411.1km ※宿~ブルベ~金沢駅
高度上昇量: 3,035m
高度下降量: 3,035m
平均スピード: 19.1km/h
平均心拍: 128bpm
その他出費
三河安城-金沢 7460円
夕食、おやつ、朝食 1325円
ビジネスホテル河口 3700円
金沢-三河安城 8640円
ハンバーグランチ 700円 ※三河安城
駐車場 1400円 ※三河安城